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交通事故で手術を受けた場合に慰謝料請求について知っておくべきポイント

2024.11.05

入通院慰謝料 後遺症慰謝料 慰謝料

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 交通事故で手術を受けた場合の慰謝料の相場
  • 手術が慰謝料に与える影響
  • 後遺症が残った場合の慰謝料の相場

等について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による賠償金の無料査定サービスを行っております。

交通事故被害に遭い、賠償金の請求について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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交通事故による手術後の慰謝料請求の基本

交通事故で手術を受けた場合、慰謝料を請求することが可能です。

手術により高額な治療費が発生するだけでなく、日常生活の再開には多くの時間を要するため、被害者の精神的および肉体的な負担は相当なものとなります。

 

そのため、多くの人が交通事故に関連した慰謝料請求についての不明点を抱えることが少なくありません。

手術による治療費は慰謝料とは別に請求可能であり、慰謝料は病院での治療期間を基に決定されます。

 

慰謝料請求の基準と相場

交通事故による慰謝料請求に当たっては、いくつかの基準に基づいて額が算出されます。

 

主に自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3つがあります。

 

自賠責基準は最低限の基準であり、自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準に定められています。

 

自賠責保険は自動車損害賠償保障法第5条で強制加入が義務付けられている保険であり、交通事故被害者はこの自賠責保険により迅速かつ平等に賠償金を受け取ることができます。

しかし、強制加入である反面支払われる保険金額としては低額であり、被害者にとって適切な賠償金額が支払われるものとは到底言えません。

 

任意保険基準はその名のとおり加害者が自賠責保険とは別に加入している任意保険会社の支払基準になります。

任意保険会社は支払う保険金額ができるだけ低くなる方が自社の利益が大きくなりますから、

自賠責基準額を下回らない範囲で金額を低くしようとしてきます。

 

一方で、弁護士基準や裁判基準は、より実際の被害に即した慰謝料額として設定されることが多く、

これによって保険会社の提示額を大幅に上回る金額が受け取れる可能性があります。

 

そのため、適切な慰謝料を得るためには、弁護士への相談を行い、専門家のサポートを受けつつ交渉を進めることが推奨されます。

 

交通事故による手術の慰謝料の相場

交通事故における手術後の慰謝料の相場は、入院や通院期間に基づくものです。

 

具体的には、怪我の治療に要した日数、手術の種類とその影響、さらに後遺障害の有無が相場に影響を与えます。

 

ただし、手術の有無そのものが慰謝料の金額を増減させる要因とはなりません。

 

では何が慰謝料金額を増減させる要因となるのか?

具体的に見ていきましょう。

 

手術が慰謝料に与える影響

交通事故による手術は、被害者にとって多大な負担となります。

手術が必要なケースでは、通常の治療に比べて治療費が高くなり、身体的・精神的な苦痛も増大します。

 

基本的に、交通事故の慰謝料は病院での治療期間に基づいて算出されるため、手術の有無が慰謝料に直接影響を与えることは少ないですが、

手術に伴う精神的な負担や生活への影響は、総合的に考慮されることがあります。

 

手術の有無と慰謝料の増額条件

交通事故において手術を行った場合、その事実だけでは慰謝料の増額には直結しないことが多いです。

ただし、手術による治療期間の延長や、手術後の生活への支障、精神的苦痛が大きい場合には、これらが慰謝料増額の要因として考慮されることがあります。

 

弁護士基準(裁判基準)について定めている『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)では、

生死が危ぶまれる状態が継続したとき、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰返したときなどは、入通院期間の長短にかかわらず別途増額を考慮する」とされています。

 

このように、手術をしたときの状態や手術回数などによって、入通院期間による一般的な慰謝料相場より増額が認められることがあります。

 

 

交通事故後の後遺症と慰謝料請求

下肢複雑骨折の後遺障害等級

交通事故により手術を受けた後には、後遺症が残る場合があります。

この後遺症は、被害者の日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があるため、慰謝料請求の重要な要素となります。

 

交通事故被害者の方の身体に残った後遺症は、多くの場合で自賠責損害調査事務所内部での調査を経て、第1級~第14級の後遺障害等級に分類されます。

認定される後遺障害等級によって慰謝料の金額が大きく異なるため、適切な認定を受けることが非常に重要です。

 

後遺症の等級と慰謝料の関係

後遺症の等級は、交通事故による身体的な損傷の程度を評価するためのもので、自賠責保険では等級が1級から14級まで設定されています。

この等級が高いほど損傷の程度が深刻とされ、慰謝料の金額も増大します。

たとえば、骨折による後遺症が認定されると、等級に応じて数百万円以上の慰謝料が請求できることがあります。

正な慰謝料を得るためには、交通事故専門の弁護士に相談し、詳細な診断書や証拠書類を用意することが重要です。

 

関連記事:後遺障害慰謝料を知る!最新の早見表と計算方法

関連記事:交通事故で後遺症が残ってしまった場合の慰謝料請求について弁護士が解説!

 

手術痕や傷跡の後遺障害認定

交通事故により手術を受けた場合、手術痕や傷跡が残ることがあります。

これらの外貌醜状も後遺障害として認定される可能性があり、等級に基づいて慰謝料が決定されます。

外貌に与える影響は個人の生活において大きな負担となるため、正確な等級の認定が求められます

醜状障害の等級は、傷跡の大きさや目立ち具合によって判断されるため、専門医による詳細な診断が必要です。

正確な等級認定を受けることで、適切な慰謝料を受け取ることができるため、弁護士のサポートを受けることが推奨されます。

 

 

手術をすれば後遺障害が治る場合

外貌醜状などの後遺障害については、レーザー治療の手術をすることで後遺症が治る場合もあります。

また、そのほかの後遺症についても手術を行えば状態が改善するという判断になることがあります。

 

このような場合に、手術をすることは強制されていません。

東京地方裁判所平成24年3月16日判決(交通事故民事裁判例集45巻2号334頁)では、

治療(特に手術)は,その性質上,身体への侵襲を伴うものであり,また,その効果の確実性を保障することができないものであるから,交通事故の被害者に対し,治療を受けることを強制することはできない。したがって,一般的に考えられ得る治療をすべて施しても症状の改善を望めない状態に至らなければ,症状固定とはいえないとすることは相当でなく,被害者がこれ以上の治療は受けないと判断した場合には,それを前提として症状固定をしたものと判断するほかなく,治療の内容及び身体への侵襲の程度,治療による症状改善の蓋然性の有無及び程度,被害者が上記判断をするに至った経緯や被害者の上記判断の合理性の有無等を,交通事故と相当因果関係のある損害の範囲を判断する際に斟酌するのが相当である。

 

と判示しており、手術を受けない場合でも症状固定等の判断を行い、その時点での症状で後遺症を判断することになります。

 

弁護士によるサポートの重要性

交通事故による手術を受けた場合、慰謝料請求を進めるにあたり、弁護士によるサポートは非常に重要です。

弁護士は、保険会社との交渉や法的手続きの代行を行うことで、被害者が適正な慰謝料を受け取れるよう支援します。

 

手術による慰謝料の増額を主張する場合にはカルテなどが必要となりますし、

適切な後遺障害等級認定にあたっては、後遺障害診断書が必要となります。

 

 

後遺障害診断書の作成にあたっては、弁護士のサポートによりポイントを押さえた後遺障害診断書の作成ができるかどうかで、

適切な後遺障害等級の認定を得られる可能性が大きく変わってきます。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

被害者の方お一人お一人にとって最も適切な慰謝料を獲得できるよう尽力いたします。

 

交通事故被害に遭い、慰謝料請求についてご不安をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。