交通事故コラム

過失割合

高速道路での追突事故…過失割合は?【弁護士解説】

2024.12.27

過失割合

高速道路上での追突事故

過失割合はどうなるでしょうか?

 

このページでは、交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士がご質問にお答えします。

 

高速道路で追突された場合の過失割合

民法では「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定されています(民法第722条2項)。

これを「過失相殺」といい、過失相殺によって定められた被害者及び加害者の過失の割合を「過失割合」といいます。

過失割合は、原則として、東京地裁民事交通訴訟研究会編別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)という文献をもとに判断されます。

 

この一般的に『別冊判例タイムズ38号』と呼ばれる文献の中にも高速道路で追突された場合の類型があります。

 

高速道路は当たり前ですが、一般道路と異なり高速で走行することが前提とされているため、

追突事故における過失割合の考え方も一般道路のそれとは異なるところもあります。

 

パターン別に過失割合を見ていきましょう。

 

被追突車が何の不適切な運転もなかった場合

ここからは便宜上先を走っていて追突された被害者側の車両を「被追突車」と呼び、後ろから追突した加害者側の車両を「追突車」と呼ぶこととします。

被追突車が何の不適切なハンドル操作やブレーキなどがなく、道路交通法を遵守して走行していたにもかかわらず、

専ら追突車の前方不注視などの過失により事故が発生したという場合には、当然被追突車(被害者側)の過失は0です。

 

被追突車が理由のない急ブレーキをかけた場合や不適切な運転があった場合

『別冊判例タイムズ38号』でも、

高速道路においては、時速80㎞を超える高速度での走行が許容される一方、本線車道での駐停車が原則として許されていないのであるから(法75条の8第1項本文)、前車が危険防止の必要もないのに急ブレーキをかけた場合の危険は一般道路のそれとは比較にならない。」として、

一般道路に比べて前車の過失が重く評価されています。

 

現に、高速道路上で被追突車が理由のない急ブレーキをかけたことにより事故が発生した場合には、

原則として被追突車50:追突車50の過失割合が認められることになります

(一般道路の場合には被追突車30:追突車70の過失割合が原則です。)。

 

ここでいう「理由のない急ブレーキ」とは、道路交通法24条にいう「危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキ」のことです。

ですから、逆に被追突車が「危険を防止するためにやむを得ない急ブレーキ」をかけていた場合はそれを別途考慮し、被追突車側に有利に過失割合を修正する必要があります。

 

被追突車(先行車)が駐停車していた場合

被追突車が駐停車していた場合には、

駐停車していた場所や、駐停車後の退避を懈怠していた、停止表示機材の設置を懈怠していたなどの過失があるかどうかなどによって被追突車側の過失が変わってきます。

 

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による交通事故解決サポートを行っております。

交通事故被害に遭いお困りの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。