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高速道路上の歩行者の事故の過失割合はどうなる?【弁護士解説】

2024.12.29

過失割合

高速道路上の歩行者の事故

過失割合はどうなるでしょうか?

 

このページでは、交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士がご質問にお答えします。

 

高速道路上の歩行者の事故

民法では「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定されています(民法第722条2項)。

これを「過失相殺」といい、過失相殺によって定められた被害者及び加害者の過失の割合を「過失割合」といいます。

過失割合は、原則として、東京地裁民事交通訴訟研究会編別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)という文献をもとに判断されます。

 

この一般的に『別冊判例タイムズ38号』と呼ばれる文献の中にも高速道路で追突された場合の類型があります。

 

高速道路は当たり前ですが、一般道路と異なり高速で走行することが前提とされているため、

追突事故における過失割合の考え方も一般道路のそれとは異なるところもあります。

 

パターン別に過失割合を見ていきましょう。

 

歩行者が本線車道上にいた場合

歩行者が高速道路の本線車道上にいた場合の過失割合(過失相殺率)は80とされています。

したがって、被害者(歩行者)は、発生した損害のうち80%が自己過失分ということになり、相手方に請求が可能なのは20%分ということになります。

 

これは高速自動車国道法第17条1項に次のような規定があることから導かれます。

高速自動車国道法第17条1項「何人もみだりに高速自動車国道に立ち入り、又は高速自動車国道を自動車による以外の方法により通行してはならない。

 

この条文にあるように、歩行者が高速道路上にいること自体想定されておらず、

また逆に歩行者が高速道路上にいる時点で歩行者側に重大な過失があると言わざるを得ません。

 

基本的には歩行者側の過失が大きいため、原則として加算修正はされませんが、

車両運転手に著しい前方不注視などがある場合には10~20程度歩行者に有利に修正されることもあります。

 

歩行者が駐停車車両の近傍にいた場合

先ほども見たように基本的には歩行者が高速道路上にいることは想定されていませんし、

走行車両の運転手としても予見が難しいでしょう。

 

しかし、駐停車車両がある場合にはその付近に人がいることは容易に知ることは可能でしょう。

したがって、歩行者が駐停車車両の近傍にいた場合の基本的な歩行者の過失は40とされています。

 

なお、道路の状況や駐停車の態様等によりますが、おおむね駐停車車両から10m以内の範囲が近傍と判断されます。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による交通事故解決サポートを行っております。

交通事故被害に遭い、お困りの方はぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。