「下半身不随」と「下半身麻痺」の違いは何でしょうか?麻痺にもいくつか種類がある!?
下半身を動かせない状態を指す言葉として、「下半身不随」や「下半身麻痺」をよく聞くかと思います。
これらの言葉に、意味の違いや使い分けなどはあるのか、ふと疑問に思うこともありますよね。
結論からいいますと、
「下半身不随」は一般的な言い方で「下半身麻痺」は医療専門的な言い方であり、異なるものではあるものの、一般的には大きな違いはないといえます。
「不随」という言葉は、字のとおり「随(したが)わない」という意味です。何に随わないのかというと、その足を動かせない人の意思です。
そう考えると、「不随」という言葉には、若干主観的なニュアンスが含まれているのかもしれません。
他方、「麻痺」は、脳や脊髄等の中枢神経や、そこから身体各部に伸びている末梢神経が外傷等により障害されることにより、身体機能の一部が損なわれている状態を指す医学的な用語になります。
「不随」との対比でいうならば、「麻痺」はその症状のことを指す言葉であり、客観的なニュアンスを含みうるかもしれません。
以上を踏まえると、
「麻痺」という状態が生じたことにより、意思にしたがい身体を動かすことができなくなる(=「不随」が生じる)といえます。
そう考えると、「不随」と「麻痺」は異なるものであると考えられます。
もっとも、これはあくまで厳密に言えばこういう考え方になる、というものです。言葉というのは使用される中で多様なニュアンスを含むことが往々にしてありますので、一般的な認識としてはどちらも同じような状態を指すと考えて差し支えないと思われます。
「下半身不随」は「下半身を思い通りに動かせない」、「下半身麻痺」は「下半身が麻痺状態のため動かせない」ですが、どちらも第三者的目線で観測したときは同じような状態に見えるため、同じようなニュアンスで使われるようになったのではないでしょうか。
なお、「麻痺」はその程度により2パターンに大別でき、また麻痺が生じている範囲により4パターンに分けられます。
まず、程度によるパターン分けは、完全麻痺と不全麻痺の2つです。
完全麻痺は文字通り全く動かすことができなくなることをいい、感覚神経、運動神経、反射神経等がすべて障害された状態を指します。
たとえば交通事故での頚髄損傷などで脊髄が水平方向に大きく損傷された場合に生じることがあります。
かたや不全麻痺は、脊髄の一部分の損傷により、感覚神経や運動神経の機能、反射機能などが部分的に障害された状態をいいます。
また、範囲による分け方として、単麻痺、片麻痺、対麻痺、全麻痺の4つが挙げられます。
人間の体を、左上半身・右上半身・左下半身・右下半身の4部分に分けたとき、
1部分のみに麻痺があることを単麻痺、左半身・右半身どちらかに麻痺があることを片麻痺、上半身・下半身いずれかに麻痺があることを対麻痺、すべての部分に麻痺があることを全麻痺といいます。
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