後遺障害等級の解説

外傷性散瞳|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

外傷性散瞳(まぶしさ)

こちらのページでは、外傷性散瞳の症状や自賠責保険における後遺障害について解説しております。

外傷性散瞳とは

散瞳(病的)は、一般的に、瞳孔の直径が開大してしまうことにより対光反応が消失又は減弱する症状をいいます。そして外傷性散瞳は字のとおり、交通事故などによる外傷を原因として発生した散瞳を指します。

人間の目には、瞳孔、虹彩という部位があります。瞳孔はいわば目の開口部であり、目に光を入れる部分になります。虹彩は、外界から目に光が入ってくるときに、その環境の明暗などに応じて瞳孔の大きさを調節する部位になります。明るい場所では瞳孔が小さくなるため入ってくる光の量は少なく、反対に暗い場所では少しでも光を取り入れるために瞳孔が大きくなります。こうした機能があるからこそ、明暗様々な場所での活動が可能となります。

しかし、眼球打撲などの外傷により、瞳孔散大筋や瞳孔括約筋などの光の調節に関わる組織を損傷すると、瞳孔を小さくする動きが鈍ったり、瞳孔が開いたままになってしまいます。これが外傷性散瞳です。このため、通常に比してまぶしく感じるようになったり、目のピント調節機能が鈍る症状が現れます。

 

後遺障害としての取扱いおよび後遺障害等級表

自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される眼の障害の他に、自賠責は外傷性散瞳についても相当等級を定めています。

第11級相当「両眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著明な羞明を訴え労働に著しく支障をきたすもの」

第12級相当「両眼の瞳孔の対光反射はあるが不十分であり、羞明を訴え労働に支障をきたすもの」

第12級相当「1眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著明な羞明を訴え労働に著しく支障をきたすもの」

第14級相当「1眼の瞳孔の対光反射はあるが不十分であり、羞明を訴え労働に支障をきたすもの」

外傷性散瞳が生じている眼が1眼であるか両眼であるか、そして対光反射および羞明の程度に応じて4つの相当等級が認定されます。

対光反射とは、目に光刺激を与えたときに瞳孔が小さくなる反応をいいます。

「羞明」は普段聞き慣れない言葉ですが、要するに「まぶしい」ことをいいます。

 

また、外傷性散瞳と視力障害(いわゆる視力低下や失明)または調節機能障害(ピントを合わせる機能に関する後遺障害)が併存する場合は、併合の方法を用いて相当等級が認定されます。

視力障害についての解説はこちら

調節機能障害についての解説はこちら

自賠責等級の併合についての解説はこちら

後遺障害等級認定のポイント

ポイントとなるのは、①散瞳の症状が残存していること②外傷と散瞳に因果関係が認められること、の2点になります。

①散瞳の症状の残存

散瞳の症状を確認するために用いられるのが、ハロゲン・ペンライトを用いた対光反射検査になります。

対光反射検査は、やや暗い場所でペンライトの光を斜めから瞳孔に当て、瞳孔の収縮の状況を確認するものです。

正常な瞳孔径の数値がおおむね2.5㎜~4.0㎜程度であり、暗い場所で瞳孔が開いた状態でもこの数値内に収まることが多いです。

しかし、症状が残存している場合は、瞳孔径が正常値に収まらなくなり、おおむね5.0㎜以上とみられる場合には散瞳と考えられます。

②外傷と散瞳の因果関係

外傷から散瞳の症状が残存するまでの因果関係や医学的に立証可能な機序が認められる必要があります。

たとえば事故時に飛び出したエアバッグで眼球打撲をしたり、眼窩底骨折などで視神経を損傷したなど、目や目の周りの組織を負傷し散瞳が残った場合には因果関係が認められる可能性があります。

おわりに

本稿では、外傷性散瞳の症状や自賠責保険の後遺障害等級について解説しました。

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。