後遺障害等級の解説

骨折 靭帯損傷/断裂 上肢 神経症状

マレットフィンガーの後遺障害(弁護士法人小杉法律事務所監修)

本記事では手指の腱の損傷のうち、マレットフィンガーの後遺障害について整理しています。

手指の腱とは

骨格筋の両端部に存在し、筋肉と骨をつなげる役割を果たしているのが腱になります。

手指の腱や靱帯の詳細はこちらの記事をご覧ください。

マレットフィンガー(槌指:つちゆび)とは

突き指により受傷し、指の先端の関節(DIP関節)が木槌(マレット)状に曲がってしまった状態をいいます。

受傷部位に疼痛や腫脹が発生し、指の伸展が障害されます。

屈曲強制による伸筋腱断裂を伴う腱性槌指と、終止筋腱付着部の裂離骨折を伴う骨性槌指があります。

裂離骨折(剥離骨折)についてはこちらの記事をご確認ください。

腱性槌指では保存療法を行います。DIP関節を過伸展位で固定しますが、最低2週間は固定を外さないようにする必要があります。その後脱着可能な装具に変更し、受傷後6週間程度外固定を継続します。

骨性槌指では骨折の転位が少なければ腱性槌指と同様の保存療法を行いますが、骨片の転位が大きい場合には手術療法を行います。

(標準整形外科学第15版(医学書院)、504頁)

認定されうる後遺障害

後遺障害等級

自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害として、以下のようなものが予想されます。

神経症状

骨折部位の痛みやしびれ等の症状です。

別表第二第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
別表第二第14級9号 局部に神経症状を残すもの

機能障害

腱の損傷が原因で指の関節に動きにくさが残存した場合、認定される可能性があります。

マレットフィンガーはDIP関節(遠位指節間関節)の問題ですので、自賠責の認定で考慮されるのは1種だけです。

別表第二第14級7号 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

後遺障害認定のための検査

DIP関節が屈曲位で自動伸展不能な肢位からマレットフィンガーを疑う場合、単純X線DIP関節2方向撮影で骨折の有無を確認します。

(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、509頁)

弁護士に相談を

弁護士に相談を

交通事故や労災事故等の外傷で手指を受傷しマレットフィンガーになってしまった場合、損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、損傷態様や残存した後遺症についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。