後遺障害等級の解説

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指の切断の後遺症(弁護士法人小杉法律事務所監修)

こちらの記事では、指を切断した場合の後遺症について整理しています。

交通事故等による指の切断についてはこちらの記事でも記載しております。

労災事故による指の切断についてはこちらの記事でも記載しています。

指の切断について

交通事故や労災事故等による受傷で、手指や足指を切断してしまうことがあり得ます。

断裁切断(カッターやナイフ等による)、挫滅切断(切断部に挫滅を伴う)、引き抜き切断(ローラーやタイヤ等に挟まれその部位から抹消にかけて皮膚及び軟部組織が剥脱される)等があります。

挫滅:外力による内部組織の破壊

認定されうる後遺障害

自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害としては、以下のようなものが想定できます。

手指

指を失ったもの」とは、おや指では指節間関節(IP関節)、その他の四本の指では近位指節間関節(DIP関節)以上で指を失ったものをいいます。

指骨の一部を失ったもの」とは、1指骨の一部を失ったものをいいます。その程度は、指骨の一部を失っている(遊離骨片の状態を含む)ことがエックス線写真で明確であるものをいいます。

手指の用を廃したもの」とは、指の末節骨の長さの1/2以上を失ったものをいいます。
ただし、末節骨の欠損がその長さの1/2に達しなければ、「手指の用を廃したもの」ではなく、「指骨の一部を失ったもの」として認定します。

別表第二第3級5号 両手の手指の全部を失ったもの
別表第二第4級6号 両手の手指の全部の用を廃したもの
別表第二第6級8号 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
別表第二第7級6号 1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
別表第二第7級7号 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
別表第二第8級3号 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
別表第二第8級4号 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
別表第二第9級12号 1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの
別表第二第9級13号 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
別表第二第10級7号 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
別表第二第11級8号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
別表第二第12級9号 1手のこ指を失ったもの
別表第二第12級10号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
別表第二第13級6号 1手のこ指の用を廃したもの
別表第二第13級7号 1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
別表第二第14級6号 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

足指

足指を失ったもの」とは、原則として中足指節関節(MTP関節)以上を失ったものをいいます。ただし、基節骨の一部を残したとしても、足指を基部(足指の付け根)から失った場合には、「足指を失ったもの」として取り扱います。

足指の用を廃したもの」とは、つぎのうちのいずれかに該当するもののことです。

まず、第1指では末節骨の長さの1/2以上、その他の四本の指では、遠位指節間関節(PIP関節(母趾はIP関節))以上を失った場合です。

※上記のイラストでは、MTP関節のことをMP関節と記載しています。

別表第二第5級8号 両足の足指の全部を失ったもの
別表第二第7級11号 両足の足指の全部の用を廃したもの
別表第二第8級10号 1足の足指の全部を失ったもの
別表第二第9級14号 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
別表第二第9級15号 1足の足指の全部の用を廃したもの
別表第二第10級9号 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
別表第二第11級9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
別表第二第12級11号 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
別表第二第12級12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
別表第二第13級9号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの
別表第二第13級10号 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
別表第二第14級8号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの

損害賠償については弁護士に相談を

交通事故や労災事故等の外傷で手指や足指を切断してしまうことがあり得ます。治療費や休業損害、慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、受傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。