後遺障害等級の解説

上肢 下肢

指の切断の障害等級(弁護士法人小杉法律事務所監修)

こちらの記事では、労働災害で手指や足指を切断した場合に認定されうる障害等級について整理しています。

労働災害で手指・足指を切断した場合の手続き等についてはこちらの記事でも記載しております。

交通事故で手指・足指を切断した場合についてはこちらの記事で整理しています。

指の切断

交通事故や労災事故等でケガをした際、手指や足指を切断してしまうことがあり得ます。

断裁切断(カッターやナイフ等による)、挫滅切断(切断部に挫滅を伴う)、引き抜き切断(ローラーやタイヤ等に挟まれその部位から抹消にかけて皮膚及び軟部組織が剥脱される)等があります。

労働災害について

業務災害や通勤災害による受傷の場合、労災保険に申請することで、療養補償給付(治療費)、休業補償給付(休業損害)、障害補償給付(後遺障害)等を受給することが可能です。

雇用主や会社に安全配慮義務違反等があれば、民法上の損害賠償請求を行うこともあり得ます。

認定されうる後遺障害

労災保険に障害補償給付の申請を行うと、重症度に応じて以下の障害等級が認定され、年金(1級~7級)か一時金(8級~14級)の支払いがなされます。

手指の欠損障害

手指を失ったもの」とは、母指は指節間関節(IP関節)、その他の手指は近位指節間関節(DIP関節)以上を失ったものを指します。

具体的には次の場合が該当します。

・手指を中手骨又は基節骨で切断したもの

・近位指節関節(母指では指節間関節)において、基節骨と中節骨とを離断したもの

指骨の一部を失ったもの」とは、1指骨の一部を失っている(遊離骨片の状態を含む)ことがエックス線写真等により確認できるものを指します。

ただし、手指の末節骨の半分以上を失った場合は「手指の用を廃したもの」として機能障害での認定になります。

第3級の5 両手の手指の全部を失ったもの
第6級の7 1手の5の手指又は母指を含み4の手指を失ったもの
第7級の6 1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指を失ったもの
第8級の3 1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指を失ったもの
第9級の8 1手の母指又は母指以外の2の手指を失ったもの
第11級の6 1手の示指、中指又は環指を失ったもの
第12級の8 1手の小指を失ったもの
第13級の5 1手の母指の指骨の一部を失ったもの
第14級の6 1手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

手指の機能障害

手指の末節骨の半分以上を失った場合、「手指の用を廃したもの」として機能障害での認定になります。

第4級の6 両手の手指の全部の用を廃したもの
第7級の7 1手の5の手指または母指を含み4の手指の用を廃したもの
第8級の4 1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指の用を廃したもの
第9級の9 1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指の用を廃したもの
第10級の6 1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの
第12級の9 1手の示指、中指または環指の用を廃したもの
第13級の4 1手の小指の用を廃したもの

足指の欠損障害

足指を失ったもの」とは、中足指節関節(MTP関節。↑のイラストではMP関節と表記。)から失ったものを指します。

ただし、第1の足指については末節骨の半分以上、その他の足指は遠位指節関節以上を失ったものについては「足指の用を廃したもの」として機能障害での認定になります。

第5級の6 両足の足指の全部を失ったもの
第8級の10 1足の足指の全部を失ったもの
第9級の10 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
第10級の8 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
第12級の10 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
第13級の9 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの

足指の機能障害

足指の用を廃したもの」とは、第1の足指については末節骨の半分以上、その他の足指は遠位指節関節以上を失ったものを指します。

第7級の11 両足の足指の全部の用を廃したもの
第9級の11 1足の足指の全部の用を廃したもの
第11級の8 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
第12級の11 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
第13級の10 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
第14級の8 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの

弁護士に相談を

労災事故や交通事故等の外傷で手指や足指を切断してしまうことがあり得ます。慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、受傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。