後遺障害等級の解説

脳損傷 骨折 醜状障害 神経症状

頭蓋骨骨折の症状(弁護士法人小杉法律事務所監修)

こちらの記事では、頭蓋骨骨折後に発生しうる症状について整理しています。

頭蓋骨骨折とは

上のイラストが頭蓋骨の構造です。

大きくは前頭骨、頭頂骨、後頭骨、篩骨(しこつ)、蝶形骨、側頭骨の6つで構成され、脳を格納している神経頭蓋と、それ以外の骨で構成される顔面頭蓋に分類されます。

眼窩(がんか)の上の部分を眼窩上縁、後頭骨の後方に出っ張った部分(上のイラストで右図の「側頭骨」と書いてあるすぐ上あたり)を外後頭隆起と呼びますが、神経頭蓋について眼窩上縁と外後頭隆起をつないだ線から上側を頭蓋円蓋部(ずがいこつえんがいぶ)、下側を頭蓋底(ずがいてい)といいます。

交通事故や転倒・転落時に頭部に強い衝撃が加わった場合、頭蓋骨骨折が発生する可能性があります。

骨折による症状

骨折そのものの症状としては、骨折部の痛みや腫脹等の症状が予想されます。

骨折態様についての詳細(線状骨折、粉砕骨折、陥没骨折など。)は頭蓋骨骨折一般の記事で整理しています。

頭蓋骨にひびが入ったときの症状や注意点等についてはこちらの記事でも整理しています。

懸念すべき合併損傷

骨折により頭蓋内血腫や脳損傷、脳神経損傷が引き起こされる可能性があります。

頭蓋内血腫の場合、頭痛、嘔気・嘔吐、外転神経麻痺(脳神経Ⅵ)、意識障害をきたし、脳ヘルニアや生命の危険につながる可能性があります

脳損傷の場合、運動機能や言語機能など重要な機能を司る脳の部位(皮質)が局所的に損傷されると、それらによる神経局所症状(巣症状(そうしょうじょう))が現れたり、高次脳機能障害になる可能性もあります。また、外傷性てんかんや頭痛等の症状も生じえます。

脳神経損傷の場合、左右12対あるどの神経が損傷したのかにより、視覚や聴覚、味覚や嗅覚に障害が発生します。

頭蓋内血腫や脳損傷(神経局所症状、高次脳機能障害、外傷性てんかん、頭痛)については頭蓋骨骨折一般の記事で整理しています。

脳神経損傷については頭蓋底骨折の記事で整理しています。

認定されうる後遺障害

骨折のみで合併損傷がない場合、骨折部位に疼痛等が残存した場合の神経症状での認定(12級か14級)になると思われます。

脳損傷等や脳神経損傷を合併した場合、あるいは醜状障害が残存した場合、さらに上位での等級認定がなされる可能性があります。

脳損傷等を合併した場合や醜状障害が残存した場合の後遺障害は頭蓋骨骨折一般の記事で整理しています。

脳神経損傷による後遺障害は頭蓋底骨折の記事で整理しています。

神経症状

別表第二第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
別表第二第14級9号 局部に神経症状を残すもの

弁護士に相談を

後遺症専門弁護士小杉晴洋

交通事故等で頭蓋骨に骨折を受傷した場合、加害者に対しての損害賠償請求を適切に行うためには、骨折の受傷態様や残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集する必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士に是非ご相談ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。