後遺障害等級の解説

骨折 神経症状

頭蓋骨のひび(弁護士法人小杉法律事務所監修)

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こちらの記事では、頭蓋骨のひびについて、頭蓋骨の線状骨折を念頭に置いて整理しています。

頭蓋骨を構成するパーツや円蓋部・頭蓋底等の区分についてはこちらの記事でご確認いただければ幸いです。

頭蓋骨以外の部位(上肢、下肢、脊椎や骨盤など)の骨折についてはこちらの記事でまとめております。

頭蓋骨骨折の種類

(標準脳神経外科学第16版(医学書院)、270~271頁、67、70頁)

部位によって区別すれば、頭蓋円蓋部骨折と頭蓋底骨折の2種に大別されます。

骨折の程度によって区別した場合、線状骨折、粉砕骨折、陥没骨折の3種があります。

線状骨折とは、頭部単純X線像で骨折線が線状に認められる骨折で、1本の場合も複数見られる場合もあります。

頭蓋円蓋部骨折で最も多くみられるのが線状骨折です。円蓋部で生じた線状骨折が頭蓋底にまで達することもあります。

線状骨折はX線撮影上、縫合線や血管溝と見誤りやすく、注意が必要だとも指摘されます。

「頭蓋骨のひび」といった場合、線状骨折を指す場合が多いと思いますので、本記事では頭蓋骨の線状骨折について整理していきます。

縫合線

頭蓋円蓋部は前頭骨、側頭骨、頭頂骨、後頭骨、蝶形骨が結合して構成されますが、乳幼児期にはこれらの結合部分が開いていて、幼児期に結合し「縫合線」になります。成人になってもX線で鋸歯状のギザギザした太めの線として描出されます。

血管溝

頭蓋骨に接している周囲構造物が、頭蓋骨がまだ柔らかい幼少期から長い時間をかけて頭蓋骨を圧迫すると、骨に食い込んで血管溝を形成します。

頭蓋骨骨折の原因

交通事故や転倒・転落時に頭部に衝撃が加わり、線状骨折を受傷することがあります。

頭蓋骨にひびが入った場合の症状

骨折そのものの症状としては、骨折部位の痛み(圧痛、疼痛)や腫脹等の症状が発生しえます。

線状骨折それ自体は特に外科的治療の必要性はなく、保存的な治療だけでよいとされますが、骨折線が内部の血管を横切る場合、硬膜外血腫を合併することがあり、注意が必要です。

硬膜外血腫を合併した場合、観血的治療が必要になります。

(標準脳神経外科学第16版(医学書院)、270~271頁)

その他頭蓋骨骨折で発生しうる症状はこちらの記事で整理しています。

懸念すべき合併損傷

硬膜外血腫を含む頭蓋内血腫の発生、脳損傷の発生等に警戒すべきです。

懸念すべき合併損傷の詳細については頭蓋骨骨折一般の記事で詳細を記載しております。

鼻骨骨折についてはこちらの記事で整理しています。

認定されうる後遺障害

自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害を整理しました。

幸いにも骨折のみの受傷で済んだ場合には、受傷部位に疼痛等が残った場合に神経症状として認定される可能性があります。

合併損傷が生じて脳損傷等が発生した場合はまた異なってきますが、こちらの詳細は頭蓋骨骨折一般の記事でご確認いただければ幸いです。

神経症状

別表第二第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
別表第二第14級9号 局部に神経症状を残すもの

弁護士に相談を

交通事故等で頭部を受傷し、頭蓋骨にひびが入った場合、加害者に対しての損害賠償請求を適切に行うためには、骨折の受傷態様や残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集する必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士に是非ご相談ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。