後遺障害等級の解説

脳損傷 神経症状

脳梗塞の後遺症と性格について(弁護士法人小杉法律事務所監修)

こちらの記事では、脳梗塞の後遺症として性格への影響があるのかどうか整理しました。

脳梗塞一般についてはこちらの記事で整理しております。

脳梗塞後の性格の変化について

高次脳機能障害が関連する可能性

「性格」というと、どこまでを指すのかは人によりざまざまですが、高次脳機能障害で生じる可能性のある記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害のことを念頭に置いて考えるのが便宜で、特に社会的行動障害のことを表現することが多いと思われます。

高次脳機能障害の原因の中には脳梗塞含む脳血管障害もありますので、「脳梗塞によって高次脳機能障害になり、そのため人格の変化が生じたという機序」自体は大いにありうることだと考えます。

高次脳機能障害で発生する可能性のある症状についてはこちらの記事で整理しています。

記憶障害(思い出せない、覚えられない)

昔のことが思い出せない、新しいことを覚えることができないなどの状態です。

注意障害(気が散る)

物事に集中できない、集中する持続力が低下する、周りに注意が払えないなどの状態です。

遂行機能障害(計画的に行動できない)

物事を行うための段取りが悪かったり、臨機応変な対応ができず(こだわりが強くて予定外のことに想定できない)、物事をスムーズに行うことができない状態です。

社会的行動障害(人間関係をうまくつくれない)

易怒性(すぐに怒る)、意欲がわかない、特定のものに固執するなどして社会でうまく生きていくことが阻害される状態です。

すぐにカッとなり大声を出す、ギャンブルにはまる、他人や物事に関心を示さず家に引きこもる、あまり親しくない人に異常に親密に接するなどの症状が具体例です。

外傷性の脳梗塞で人格変化が生じるのか。

とはいえ、脳梗塞の主な原因は、心疾患、高血圧、糖尿病、脂質異常症や喫煙、大量飲酒等だとされており、交通事故等の外傷で発生することはそもそも一般的だとは言えません。

もし交通事故等の外傷が原因で脳梗塞が発生するのであれば、外傷性動脈狭窄・閉塞の可能性を指摘することができますが、その場合に発生する症状は高次脳機能障害に絡めるとしても主に言語障害(失語)だと思われ、上記のような性格の変化について因果関係をつなげることができるのかは不明です。

外傷性動脈狭窄・閉塞を含む、脳梗塞の原因の詳細ついてはこちらの記事で整理しています。

外傷性の脳梗塞による症状についてはこちらの記事で整理しています。

弁護士に相談を

交通事故や労災事故等で外傷後に脳梗塞が発生した場合、一般論で言えば事故との因果関係を立証するのはかなり困難だと言えますが、可能性について検討したいという方は弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士に是非ご相談ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。