脳損傷
高次脳機能障害と障害年金|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

高次脳機能障害とは
高次脳機能障害は、交通事故などによる外傷や、脳血管障害などによって引き起こされる深刻な障害です。高次脳機能障害は、言語や記憶、注意、判断などの認知能力に問題を引き起こし、日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼすものである一方、外見には影響が現れにくく、当事者や周囲が高次脳機能障害の存在を認識するのが難しいという特徴があります。そのため、後遺症として残ってしまった場合には、将来的な影響も大きいものであるといえます。
障害年金は、病気や事故によって働けなくなった人に対して経済的支援を行う制度です。高次脳機能障害も、その症状が一定の要件を満たす場合には障害年金の受給対象となります。日本の障害年金制度には、障害基礎年金と障害厚生年金という2つの種類があり、それぞれ対象者や支給条件が異なります。
高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害は様々な症状を示し、特に注意障害や記憶障害がよく見られます。注意障害により集中力が低下し、記憶障害によって新しいことを記憶するのが困難になります。また、遂行機能障害や社会的行動障害も発生し、自身で計画を立てたりそれを実行することに困難があるほか、怒りやすくなるなど感情のコントロールができなくなることがあります。
高次脳機能障害の具体的な症状は以下のページにて解説しております。
【高次脳機能障害の症状】医師監修|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所
診断の流れ
高次脳機能障害の診断は、精密な医学的評価が必要であり、専門の医師による診察が欠かせません。診断には、CTやMRIなどによる脳の画像検査や、神経心理学的検査が行われ、その結果をもとに障害の程度や影響を総合的に判断します。この診断書は障害年金の申請において非常に重要な役割を果たすため、医師に詳細な症状の記録と報告を依頼することが求められます。認定されることで障害年金の支給を受けることが可能になる場合もあり、その基準は等級により異なります。
障害年金とは
障害年金とは、病気やケガにより働くことが難しくなった公的年金加入者に支給される給付金です。高次脳機能障害を抱える方も条件を満たせば受給することが可能です。障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。
受給対象者
障害年金の受給対象者は、年金に加入中に初診日があり、その後障害が残った場合です。障害基礎年金は、自営業者や無職の方、専業主婦(主夫)、または20歳前に障害が発生した方が対象です。一方、障害厚生年金は厚生年金に加入している方を対象としており、高次脳機能障害によっても、程度に応じて等級が認定されれば、受給が可能です。支給される金額は、等級によって異なります。
高次脳機能障害で障害年金が受給できる条件
初診日の特定
高次脳機能障害で障害年金を受給するために、まず重要となるのが初診日の特定です。初診日とは、病気や障害のために初めて医療機関を受診した日を指します。たとえば、交通事故後に病院へ搬送された場合や、脳血管疾患で受診した日がこれに該当します。この初診日は、その後の障害年金の請求において、基準とされる日となるため、正確な記録が必要です。初診日が特定できなければ、適切な認定手続きが進められない可能性がありますので、医療機関での記録や診断書を準備する際には十分な注意が必要です。
年金加入期間要件
高次脳機能障害による障害年金の受給を検討する際、次に確認するべき点は年金加入期間の要件です。障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2つの制度があります。障害基礎年金は自営業者やフリーランス、無職の方、専業主婦などが対象であり、20歳前に傷病を負った場合も対象となります。一方、障害厚生年金は厚生年金に加入している方が対象となります。これらの各制度には、保険料の納付状況についても一定の基準があり、申請者はその基準を満たしている必要があります。具体的には、障害認定日の前日に国民年金、厚生年金保険のいずれかに加入しており、加入期間の3分の2以上の保険料を納付している必要があります。これにより、高次脳機能障害の症状がある場合でも、規定の等級に基づいた支給を受けることができます。
障害年金の障害認定基準
日本年金機構が示している「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」によれば、高次脳機能障害により認定される可能性がある障害等級は次のとおりです。なお、1級~3級は年金ですが、障害手当金は一時金になります。
1級
高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの
2級
認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級
①認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
②認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの
障害手当金
認知障害のため、労働が制限を受けるもの
障害年金の申請の流れと注意点
申請書類の準備
高次脳機能障害による障害年金の申請には、必要な書類をしっかり準備することが大切です。申請書類には、まず障害年金請求書があります。提出する際は、記載内容に漏れがないか、丁寧に確認しましょう。また、納付要件の確認が取れる資料や、生活状況報告書を用意することも求められます。これらの書類には、自分の障害がどれほど日常生活や労働に支障を来しているか具体的に記すことが肝心です。特に高次脳機能障害の場合、外見では症状が認知されづらく、書面での説明が重要になります。
医師の診断書
申請を進めるうえで、医師の診断書は最も重要な書類の一つです。診断書は、高次脳機能障害の症状や日常生活への影響を具体的に示すものであり、障害の等級認定に大きく関与します。したがって、専門の医師によって詳細かつ適切に記述された診断書を作成してもらうことが必要です。不十分な内容の診断書では、認定を受けることが難しくなる可能性があります。なお、初診日の特定も重要な要素となるため、最初の受診日を明確にしておくことも忘れずに準備しましょう。
おわりに

本ページでは、高次脳機能障害による後遺症が残った場合の障害年金の申請について解説しました。
障害年金のほか、交通事故による脳挫傷などにより高次脳機能障害を負い、後遺症が残った場合には、自賠責に対して自賠責保険金を請求することができます。
自賠責保険への後遺障害等級認定の申請については、障害年金と異なる部分も多いです。詳しい内容については、高次脳機能障害と保険金のページにて解説しておりますので、こちらもあわせてご覧ください。
また、高次脳機能障害に関する詳しいことは以下のページで解説しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。
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