後遺障害等級の解説

脳損傷 神経症状

高次脳機能障害と保険金|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

本ページでは、おもに、高次脳機能障害と自賠責保険金の関係について解説しております。

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害とは、主に交通事故による脳の損傷が原因で引き起こされる障害です。症状としては、記憶障害注意力の低下、計画を立てたり計画通りに物事を進めることができなくなる遂行機能障害、怒りやすくなったり自己中心的になるなどの人格の変化やそれによる対人関係の構築が困難になるなどの社会適応能力の低下といったものが挙げられます。このような症状が現れると、日常生活や社会生活において支障が生じることとなり、本人だけでなく周囲の人々にも大きな影響を及ぼすことが多いです。特に、高次脳機能障害は外見的には分からない障害ですので、本人も周囲の人々もその障害に気付くことが難しいです。

高次脳機能障害の症状に関する詳しい内容についてはこちらのページでも解説しておりますので、ぜひご覧ください。

高次脳機能障害でもらえる保険金は何がある?

1.自賠責保険金

交通事故による負傷によって高次脳機能障害が生じ、後遺症として残ってしまった場合、自賠責保険に後遺障害等級認定の請求を行うことができます。請求方法は被害者請求事前認定の二つがあります。被害者請求は、16条請求とも呼ばれ、被害者側で資料を集めて自賠責への請求手続を行います。他方、事前認定は加害者側の任意保険会社が損害賠償金として支払う金額に目安をつけるために、自賠責に後遺障害等級の認定申請を行うものです。事前認定の場合には被害者に自賠責保険金は支払われません。また、事前認定は加害者の任意保険会社が書類整備を行うため、資料が不足したまま請求がなされることもあり、適切な等級認定がなされない可能性もあります。そのため、以下では被害者請求を行う場合の流れを示します。

被害者請求の流れ

被害者請求の大まかな流れは、①症状固定→②自賠責の請求に必要な後遺障害診断書などの書類を揃える→③書類が揃ったら自賠責に書類を送る、です。

まず、治療を続けていく中で、これ以上治療を行っても症状が軽快しないと医師が判断すると症状固定となります。

症状固定を迎えたら、後遺障害診断書などの書類を集める必要があります。高次脳機能障害の場合、後遺障害診断書だけでなく、「頭部外傷後の意識障害についての所見」や、近親者に作成してもらう必要がある「日常生活状況報告」など、多くの資料を準備しなければなりません。

請求書類が整ったら、自賠責に書類を送り、あとは調査の結果が出ることを待つことになります。損害保険料率算出機構において後遺症の具体的内容について調査が行われ、後遺障害等級に該当するかどうか、また該当する場合は何級になるのか等が判断されます。なお、高次脳機能障害の場合、慎重に検討がなされる必要があることから、調査には通常と比して時間がかかることが多いです。目安として、請求してから結果が出るまでにおよそ半年ほどかかります(追加で資料提出や検査施行などが行われる場合には、更に数か月要することもあります)。

等級と保険金額

高次脳機能障害の場合に認定される可能性がある後遺障害等級と、その時に支払われる保険金額は以下のとおりです。

なお、別表第二第3級以下の等級については、他に後遺障害が残っていた場合には併合処理がなされ、等級が上がることもあります。

・別表第一第1級1号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」:4000万円

・別表第一第2級1号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」:3000万円

・別表第二第3級3号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」:2219万円

・別表第二第5級2号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」:1574万円

・別表第二第7級4号「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」:1051万円

・別表第二第9級10号「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」:616万円

また、9級以上の高次脳機能障害としての後遺症の残存は認めがたいものの、脳挫傷の画像所見がある等によって神経症状の残存が認められる場合には、12級が認定されることもあります。

・別表第二第12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」:224万円

2.そのほかの保険金

自賠責保険の他、個人で掛けている保険からも保険金が支払われるケースがあります。保険会社にもよりますが、「後遺障害定額給付金」のような名称で呼ばれるようです。よくみられるのは、自賠責保険において認定された後遺障害等級に基づいて支払がなされるパターンです。もちろん、この保険金の支払がオプションとして組み込まれている保険契約を締結していた場合に限定され、保険契約をかけていればいかなる場合においても支払われるものではないと思いますので、一度、ご自身の任意保険会社に確認してみることをおすすめします。

おわりに

本ページでは、高次脳機能障害が後遺症として残った場合の保険金について解説しました。

このほか、障害年金の申請ができる可能性もあります。詳しくはこ以下のページして解説しております。

高次脳機能障害と障害年金|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

また、高次脳機能障害に関する詳しいことは以下のページで解説しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。

●高次脳機能障害全般の解説や、その他高次脳機能障害に関する記事についてはこちらから。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。