後遺障害等級の解説

脊髄損傷

脊髄損傷の症状|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらのページでは、脊髄損傷の症状について解説しております。

脊髄損傷とは

脊髄損傷とは、交通事故などの外傷によって脊髄が損傷されることをいいます。脊髄は、脳と全身を繋ぐ重要な神経の束であり、感覚や運動を制御する役割を担っているため、脊髄が損傷されると、麻痺や感覚障害を引き起こすことがあります。

脊髄は、その位置に応じて頚髄、胸髄、腰髄、仙髄(及びその下に続く馬尾神経)と呼ばれており、脊髄損傷も頚髄損傷、胸髄損傷、腰髄損傷に細分されています(なお、「仙髄損傷」という呼ばれ方はあまり見られません。)。

脊髄損傷の主な症状

脊髄損傷の症状には、麻痺や感覚障害、自律神経障害が含まれます。損傷の程度や部位によって症状は大きく変化し、それが日常生活に及ぼす影響も異なります。具体的な症状を理解することは、適切な治療とリハビリテーションを受けるために重要です。

⑴完全麻痺と不全麻痺

脊髄損傷には、完全麻痺と不全麻痺があります。完全麻痺は脊髄の機能が完全に損失された状態で、感覚や運動機能が全く失われます。これには、四肢が動かなくなる頚髄の損傷も含まれます。不全麻痺では、感覚または運動機能が部分的に残っており、痺れやヒリヒリとした感覚が感じられることもあります。損傷の性質によって、麻痺の程度や回復の可能性が異なります。

⑵感覚障害と運動障害

脊髄損傷は感覚障害や運動障害を引き起こします。感覚障害では、温度や痛みを感じる機能が損なわれることがあり、身体の特定の部位で感覚が鈍くなることがあります。運動障害では、筋力が低下したり、自由に体を動かせなくなったりします。これらの症状が現れる範囲は、損傷部位と損傷の程度によって異なっており、頚髄損傷の場合は四肢及び体幹全体に、腰髄損傷の場合は下肢のみにこれらの障害が現れる傾向にあります。

⑶自律神経障害

脊髄損傷は自律神経系にも影響を与えることがあります。この場合、体温調節、心拍数、血圧、消化活動など、意識的に制御できない体の機能に問題が生じることがあります。自律神経障害が発生すると、日常生活の中で不便を感じたり、さらなる医療的なサポートが必要になったりする場合があります。

⑷膀胱障害・直腸障害

脊髄損傷によって、排泄機能にも支障が生じることがあります。膀胱機能に異常が生じて、尿を溜めることができず意思に反して失禁してしまったり、あるいは自力での排尿ができなくなるなどの症状があります。また直腸障害の場合は、自力での排便ができなくなるなどがあります。

⑸反射の異常

熱いやかんに手を触れた時に、意識とは関係なく手を引く動作をとるように、こうした反射が起こるときには、通常、過剰に反射が起こらないように制御がなされています。

しかし、脊髄損傷を負った場合には、この制御が上手く働かなくなり、過剰な反射反応(反射亢進)が現れることがあります。

 

なお、説明にあったように、脊髄損傷の場合は損傷部位に応じて現れる症状も多彩なものとなります。損傷部位別の症状については以下のページにて解説しております。

【頚髄損傷(頸髄損傷)の症状と後遺症】医師監修|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

【胸髄損傷の症状と後遺症】医師監修|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

【腰髄損傷の症状と後遺症】医師監修|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

おわりに

本ページでは、脊髄損傷の症状について解説しました。

このほか、脊髄損傷の後遺症や後遺障害、自賠責での等級認定などについては以下のページで解説しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。

脊髄損傷|脊髄損傷と後遺症(頚髄・胸髄・腰髄・中心性脊髄損傷)【後遺症専門弁護士解説】

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。