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知らないと損!?右直事故(うちょくじこ)の過失割合を徹底解説

2024.12.31

過失割合

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求専門弁護士が、

  • 右直事故とは?
  • 右直事故の類型別過失割合
  • 過失割合の交渉方法
  • 弁護士に依頼するメリット

などについて解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による過失割合解決サポートを行っております。

交通事故被害に遭い、過失割合についてお困りの方はぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による過失割合解決サポートの詳細はこちら。

 

右直事故とは?基本的な概要と定義

右直事故の基本概要

右直事故とは、道路交通において「右折車」と「直進車」の間で発生する衝突事故を指します。

このような事故は、交差点や道路外の出入り口で非常に多く見られる交通事故のひとつです。

 

特に、右折車が直進車の進行を妨げたり、タイミングを誤って交差点に侵入することで発生します。

道路交通法第37条では、右折車には直進車の進行を妨げない義務があるため、発生した場合には右折車の過失割合が高くなる傾向があります。

 

道路交通法第37条車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。

 

ただし、信号機の状況や交差点の形状などによって、それぞれの責任割合は変動します。

 

右直事故が発生する主な原因

右直事故の主な原因は、右折のタイミングのミス、視認不足、そして速度超過などです。

右折時、ドライバーが直進車の距離や速度を正確に判断できない場合、判断ミスによる衝突が起こります。

 

また、太陽光や雨などの天候条件が視界を妨げるケースも多く、特に夕方から夜にかけての薄暗い時間帯では事故率が上がります。

 

さらに、直進車が速度超過していると接触の衝撃が増大し、重大な事故へとつながることが多いです。

 

右折車・直進車のルールと優先順位

交差点で右折車と直進車が遭遇した場合、基本的な交通ルールでは直進車が優先となります。

これは、道路交通法第37条に基づき、右折車の進行が直進車の妨げとなることを避けるべきとされているためです。

 

また、信号機が存在する場合には、信号の指示に従って右折や直進を行う必要があります。

たとえば、右折車が青信号で交差点に進入しても、対向する直進車が優先です。一方で、直進車が赤信号や黄色信号を無視して進入する場合、直進車にも一定の過失が問われます。

 

右直事故の類型別過失割合

民法では「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定されています(民法第722条2項)。

これを「過失相殺」といい、過失相殺によって定められた被害者及び加害者の過失の割合を「過失割合」といい、

実務においてはどちらがどの程度の責任を負うべきなのかを具体的に示す指標となります。

 

この「過失割合」は、原則として東京地裁民事交通訴訟研究会編別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)を基に、

全【338】の類型のどれに当てはまるかという観点から、事故の状況に則した妥当な割合を算出します。

 

右直事故の場合は先ほども見たように、原則として右折車側に求められる注意義務の程度が高く、

翻って事故発生時には右折車側の過失(事故発生における責任)が大きいことになります。

 

しかし、当然直進車側も信号表示を遵守する義務があるわけですから、信号関係により大きく変動することもあります。

 

類型別の過失割合の考え方を見ていきましょう。

 

信号のある交差点での過失割合

右直事故が信号機のある交差点で発生した場合には、信号関係により区別がされます。

基本的な過失割合は以下のとおりです。

 

  • 直進車・右折車ともに青信号で進入した場合 直進車20:右折車80
  • 直進車が黄信号で進入し、右折車が青信号で進入した後黄信号で右折した場合 直進車70:右折車30
  • 直進車が赤信号で進入し、右折車が青信号で進入した後赤信号で右折した場合(右折車が青信号で交差点に進入し、直進車側の信号が赤になるのを待って右折するような場合) 直進車90:右折車10
  • 直進車が赤信号で進入し、右折車が黄信号で進入した後赤信号で右折した場合 直進車70:右折車30
  • 直進車が赤信号で進入し、右折車が右折の青矢印信号で進入した場合 直進車100:右折車0

 

このように信号関係により直進車側の過失が大きくなる場合もあります。

 

信号のない交差点での過失割合

信号のない交差点で発生した右直事故では、道路の形状や交差点の形態が過失割合を大きく左右することもあります。

また、信号のない交差点においては、対向車同士の衝突だけでなく、車両が右方や左方から交差点に進入してくることによる衝突事故も想定されます

(信号のある交差点においてはこのようなケースは信号関係から優劣が明らかであるため、直進車同士の出会い頭事故の場合の過失割合を準用します。)。

 

ここからは道路の形状や交差点の形態別の過失割合を見ていきます。

 

道幅が同じ交差点

  • 右折車が直進車から見て左側から交差点に進入してきた場合 直進車40:右折車60
  • 右折車が直進車から見て右側から交差点に進入してきた場合 直進車30:右折車70

一方が明らかに広い道路である交差点

  • 右折車が狭い方の道路から交差点に進入してきた場合(直進車が広い方の道を走行していた場合) 直進車20:右折車80
  • 右折車が広い方の道路から直進車の進入してきた狭い方の道路に右折する場合 直進車60:右折車40
  • 右折車が広い方の道路から直進車の進行方向の狭い方の道路に右折する場合  直進車50:右折車50

 

一方に一時停止規制がある交差点

  • 右折車に一時停止の規制がある場合 直進車15:右折車85
  • 直進車に一時停止の規制があり、右折車が直進車から見て左側から交差点に進入してきた場合 直進車70:右折車30
  • 直進車に一時停止の規制があり、右折車が直進車から見て右側から交差点に進入してきた場合 直進車60:右折車40

 

一方が優先道路である交差点

  • 右折車が非優先道路から優先道路に出る場合 直進車10:右折車90
  • 右折車が優先道路から直進車の進入してきた非優先道路に右折する場合 直進車80:右折車20
  • 右折車が優先道路から直進車の進行方向の非優先道路に右折する場合 直進車70:右折車30

 

速度超過などの修正要素

各類型において、速度超過などの行為が認められる場合にはうえで見たような基本過失割合からさらに修正されることもあります。

例えば信号の無い交差点において直進車側が減速せずに交差点に進入したり、速度違反がある場合にはそれぞれ10程度直進車側が不利に過失割合が修正されることになります。

 

逆に、右折車が右折時に徐行して交差点に進入しないような場合には、類型にもよりますが10程度直進車側が有利に修正されることになります。

 

右折方法と過失割合の関連性

右折方法が適切でなかった場合、過失割合が右折車側に不利に修正される可能性があります。

例えば、右折禁止場所で右折した場合はもちろんですが、右折車が交差点の中心を通らずに早回りして右折を試みるような場合には、

それぞれ10程度直進車側に有利に修正されることになります。

 

逆に、右折をほぼ完了したところに直進車が衝突するようなケースでは、これも類型によりますが15程度直進車に不利に修正される場合もあります。

 

なお、ここまで見てきたのは四輪車対四輪車の場合であり、

バイク対四輪車の場合にはここから修正されることになります。

 

 

過失割合の交渉方法と専門弁護士に依頼するメリット

弁護士小杉晴洋による示談交渉

ここまで見てきたように、過失割合は、当然と言えば当然ですが、事故が発生した場所や当時の運転状況などによって変わります。

したがって、事故当時の状況に基づいた適切な過失割合を主張することが必要となります。

 

過失割合の交渉は基本的には保険会社同士で行いますが、

相手方保険会社が提示してくる数字に納得がいかない場合もあると思います。

 

適切な過失割合を勝ち取るためには、

  • 事故発生時の状況を示す証拠の収集
  • 経験や知識に基づいた冷静な交渉

など様々な要素が必要となります。

 

弁護士に依頼するなどして適切な過失割合を勝ち取るよう尽力しましょう。

 

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求専門弁護士が適切な過失割合による解決のためのサポートを行います。

交通事故被害に遭い、過失割合についてお困りの方はぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。