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【新聞掲載事例】【加重障害】元々胸髄損傷による1級の障害を有している方が交通事故により頚椎捻挫となってしまった例で、従来の自賠責の運用を変えて14級が認定された事例

Gさん 40代・男性・会社員

【新聞掲載事例】【加重障害】元々胸髄損傷による1級の障害を有している方が交通事故により頚椎捻挫となってしまった例で、従来の自賠責の運用を変えて14級が認定された事例

解決事例のポイント

① 従来後遺障害等級非該当とされていた障害者の方の交通事故事案について、自賠責保険の運用を変更させて後遺障害等級
② 日本経済新聞などの新聞掲載事例

相談前―交通事故による失職―

Gさんは40代の会社員男性です。

Gさんは若い頃に胸髄損傷となってしまい、下半身不随の障害を持ち、車いす生活をしていました。

しかし、首などの上半身に障害はなく、車いす生活をしながら、デスクワークの仕事をしながら生活をしていました。

Gさんは車の運転もすることもできましたが、ある日、赤信号停止中に、前方不注視の車に追突されてしまいます。

これによりGさんは頚椎捻挫の傷害を負ってしまい、首の痛みが生じてしまいます。

Gさんは、懸命にリハビリに励みますが、首の痛みが完治することは無く、後遺症として残ってしまいました。

Gさんは、車いす生活にてデスクワークをしていましたが、首の痛みのせいでデスクワークを続けることが困難となり、また、他にできる仕事もなかったことから、当時勤めていた会社を退職し無職とならざるを得なくなってしまいます。

障害者の方が交通事故に遭った場合の自賠責保険の運用

Gさんが元々有している胸髄損傷による下半身不随という状態は、自賠責保険の後遺障害等級で評価すると、一番重い1級ということになります。

自賠責保険の運用ですと、一番重い1級に相当する障害を有している方については、これ以上障害が重くなることは無いと判断されてしまい、新たな後遺障害等級の認定はなされません。

この考え方を「加重障害」といいます。

しかしながら、Gさんは、後遺障害等級1級に相当する障害を有していたとしても、首や上半身になんらの異常もなく、仕事もできていたわけですから、これまで障害のなかった首に新たな後遺症が加わったことについて何らの評価もしないのは不合理というほかありません。

障害者の新たな後遺障害等級の申請

そこで、障害者の方が交通事故に遭い、これまで障害のなかった部位について新たな後遺症が出現した場合には、別途後遺障害等級認定がなされるべきである旨の弁護士名義の意見書を添えて後遺障害等級の申請を行うことにしました。

裁判では、類似のケースについて、後遺障害等級を認める判決が出ていたものですから(東京高等裁判所平成28年1月20日判決)、この考え方を自賠責保険の運用にもあてはめて、従来の運用方針を変更するべきであると主張しました。

自賠責保険の運用変更 障害者であっても新たな後遺障害等級の認定を行う

当該後遺障害等級申請の結果、健常者の方が追突事故にあったのと同様、むち打ち症で後遺障害等級14級9号を獲得することができました。

この件に関し、記者の方が損害保険料率算出機構の担当者に確認をしたところ、「東京高裁判決を考慮し、特例的に認定の運用方法を変更した」との回答がなされました。

この運用変更は、従来長らく行われていた、障害者の方に対する差別的な運用を変更するもので、画期的なものであると評価できます。

なお、当該事例については日本経済新聞など新聞各社で報道されておりますので、記事内容の詳細はこちらをご覧ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。