後遺障害第14級でもらえる75万円って何?
その他損害賠償請求など
単刀直入に回答を申し上げますと、
16条請求(被害者請求)を行った時、自賠責の調査の結果認定された後遺障害等級に基づき、加害者が加入している自賠責保険会社が支払う保険金です。
…といってもイメージしづらいかと思いますので、以下で少しかみくだいてみます。
交通事故に遭い受傷した被害者が、一定期間の治療を続ける中で、
「これ以上は治療を続けても症状が軽快しないだろう」というタイミングを迎えると、症状固定診断がなされます。
症状固定を迎えて後遺症が残ると、被害者は、加害者が加入している自賠責保険会社(以下では「自賠社」といいます。)に保険金請求を行うことができます。
この保険金請求が、16条請求(または被害者請求)と呼ばれるものです。
16条請求が行われると、自賠社は、自賠責損害調査事務所という外部の第三者機関に後遺障害の調査を依頼します。
そして、損害調査事務所において、「被害者に残存した後遺症が自賠法施行令に定められている後遺障害に該当するかどうか」が調査されます。
調査結果が出ると、自賠社にその結果が通知され、
後遺障害等級の認定がある場合には、等級に応じた限度額の範囲内で、保険金が被害者に支払われます。
これが一連の流れです。
この「等級に応じた限度額」が、後遺障害等級第14級の場合は75万円と定められているのです。
なお、等級に応じた限度額については、国土交通省の自賠責保険・共済ポータルサイトに挙げられている、
「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」に詳しいです。
なお、この自賠責保険金は、「被害者の損害の補償」という目的で支払われるものであるため、
加害者に対する損害賠償額からは控除されることになります(最高裁判例昭和39年5月12日 民集18・4・583 判時377・57)。
たとえば被害者請求で第14級が認定されて自賠責保険金75万円を受け取った場合に、加害者に対する損害賠償請求額が200万円だったとしますと、
加害者に請求できる最終的な金額は、200万円-75万円=125万円になるということです。
これは、被害者が損害賠償額を二重で受け取ることを防ぐためです。
以下は余談ではありますが、
後遺障害等級の調査を求める方法には、被害者請求のほかに「事前認定」というものがあります。
これは、加害者が加入している任意保険会社が、自賠責損害調査事務所に対し、
被害者の後遺症が該当しうる後遺障害等級について調査を依頼するものです。
なぜ加害者の任意保険会社がこのような手続を行うことがあるのかといいますと、
任意保険会社がどれほどの損害賠償金を支払うことになるのか算段を立てるためです。
なお、事前認定はあくまで「後遺障害等級の見込みを知る」ために行われるものですので、
この場合は被害者に自賠責保険金が支払われません。
では、「被害者請求」と「事前認定」、被害者はどちらをとるのがよいのでしょうか。
詳しくはこちらで解説しておりますので、あわせてご覧ください。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士が、適切な後遺障害等級の認定の獲得に向けたサポートを行っております。
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