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よくある質問

後遺障害等級14級9号の認定率を上げるには?

後遺障害 交通事故

交通事故で被害に遭い、首や腰、上下肢などに痛みやしびれのような神経症状が残った場合、自賠責に、後遺障害等級の認定申請を行うことができるときがあります。

後遺障害等級が認定されると、後遺症の逸失利益や後遺症慰謝料を請求できるようになり、損害賠償請求額が大きく変わってきますので、等級がつくかどうかは一つの大きな分水嶺になるといっても過言ではありません。

それでは、神経症状の等級の一つである第14級9号の認定率を上げるにあたり、どのようなポイントを押さえておくことが望ましいでしょうか。

さて、むち打ち等で後遺障害第14級に認定されるには、次の①~③のポイントを満たしておくことが肝要となります。

①事故態様の大きさ・受傷機転

②症状の継続性と一貫性

③通院・治療を継続していること

以下、それぞれの要素についてみていきます。

まず①事故態様の大きさ・受傷機転についてですが、

これは換言すれば、「交通事故の内容と受傷した傷病との間に妥当性や因果関係があるかどうか」です。

たとえば、信号待ちで停止している時に、後続車両が減速しきれずに追突してきた事故のケースを考えてみましょう。

このような追突事故の場合、被害者(被追突者)は身構えてない状態のところに突然強い衝撃が後方から加わるかたちになりますので、

頭部が大きく前後に振られることとなり、頚部のむち打ち損傷(頚椎捻挫)が起きることとなります。

このように、事故の状況と受傷内容が妥当であり、因果関係が認められることがポイントとなります。

 

これは裏を返せば、事故の状況と受傷内容に妥当性がみられないようなときには認定されない可能性があるということでもあります。

たとえば徐行速度で離合する際にドアミラー同士が接触したような事故ですと、

一般的にはこのような事故による衝撃は軽微であるため、運転者への衝撃もあまり大きいとは言い難いものとなります。

このドアミラー接触事故でむち打ち損傷(頚椎捻挫)を受傷したような場合は、

「この事故態様でこのような受傷をするのは考えづらい」といったかたちで自賠責によって事故と受傷内容の妥当性が否定されるリスクがあるのです。

 

ここを補強する方法としては、

ドライブレコーダー映像や車両の損傷写真、物損の修理見積書などにより、

客観的に事故の衝撃の大きさを示していく手法が考えられます。

 

次に、②症状の継続性と一貫性についてですが、

事故後から症状固定時まで、症状が継続しておりかつ一貫性があることもまた重要となります。

平易に言いますと、治療期間中はずっと同じ痛みを訴えていることが求められます。

たとえば、事故直後の診察では腰痛だけを愁訴していたのに、事故後1か月経ってから頚部痛を訴え始め、最終的に頚部痛と腰痛が残ったようなケースですと、

腰痛は等級認定の対象になる可能性はありますが、頚部痛は対象にならない可能性が高いです。

 

また、初診時から腰痛を訴えていて、途中で一度痛みが消失したものの、再度症状が現れ悪化したケースでは、

症状の一貫性に疑義が生じ、後遺障害等級の認定がなされない可能性があります。

というのも、通常、治療を行うことによって症状は軽快していくのが自然な流れであるので、

一度消失したのちに再発し悪化したという経過が自賠責においては不自然なものと評価されることがあるわけです。

 

この点の対策としては、初診時に少しでも違和感があれば、症状をもれなく伝えておくことが重要です。

「首に違和感あるけどほんの少しだから言うまでもないか…」と判断し、初診時に伝えずにいると、

当然ながら医療記録には首の違和感については残りません。

その後、頚部痛や頚部のしびれが生じて病院で伝えたとしても、

医療記録上では、突然頚部痛が現れたようなかたちになってしまいます。

事故後はアドレナリンが出て興奮状態にあることから、

痛みなどをあまり感じなかったりすることもあるでしょう。

ですが、等級のことを考えるならば、

どれだけ小さな違和感でも、きちんと伝えて医療記録に証拠として残してもらうことが重要です。

とはいえ、存在しない症状をあると偽って詐病をすることは許されないことですので、

あくまで「ありのままの症状を伝える」ことが大切です。

 

③通院・治療を継続していることとは、「一定期間において、ある程度の頻度で通院治療を継続していること」をいいます。

むち打ち損傷(頚椎捻挫)や腰椎捻挫などの場合、通院治療の期間の目安は6か月となります。

そして、少なくとも週2~3回程度の通院が望ましいものとなります。

たとえば4月1日事故で同日に通院開始したならば、10月1日までの6か月間、毎週2~3回は通院治療を行うようなイメージです。

仕事や学校などの都合もありますので、この頻度で通院することが難しいこともあるかと思いますが、

時間を見つけて、できる限り通院しておくことが望ましいです。

なお、通院が週1〜2回を下回る場合、自賠責において「症状が軽微」と判断される恐れがあります。

また、途中で通院をやめてしまった場合、事故との因果関係が疑われる可能性もあるため、

どれだけ軽度であっても、症状がある限りは症状固定を迎えるまで通院治療を継続しておくことを推奨します。

 

ここで、通院する医療機関についてですが、主として整形外科を受診されることをおすすめします。

理由としては、自賠責の認定調査においては、西洋医学に基づく治療が重視されるためです。

病院では西洋医学に基づく治療が行われており、

他方、整骨院や接骨院、鍼灸院などは東洋医学に基づく施術が行われることが一般的です。

自賠責調査において整骨院等の通院が全く考慮されないわけではありませんが、できる限りは病院への通院が望ましいです。

また、整骨院等に通院する場合は、あらかじめ整形外科の主治医に整骨院等への通院について有効性があるかを確認し、

許可をもらっておくことをおすすめします。そして、整骨院等に通院を始めた場合も、整形外科への通院は継続して行うようにしましょう。

 

14級9号の認定率を上げるためのポイントにつきましては、以上のとおりとなります。

①~③のポイントは、等級認定要件の核ともいえるべき部分ですので、等級認定において重視されています。

これらの他、押さえておくと等級認定において有利になる点がいくつかありますので、あわせて紹介しておきます。

 

まず、自賠責の認定調査においては画像所見や神経学的所見などの他覚的所見も重要な要素として参照されています。

そのため、事故後はなるべく早めに通院し、XPやCT、MRI等を撮影し、ヘルニア等の所見がないか確認しておきましょう。

 

また、症状固定後も通院している事実が認められることも、一つの有用な要素となることがあります。

症状固定後の通院治療の治療費は通常自己負担になりますが、

これは裏を返せば「そうして自費通院しないといけないほどに後遺症が残っておりつらい状況である」ことを示しています。

そのため、症状固定後の通院しているという事情も、後遺症の残存を示す証拠となりうるわけです。

もっとも、自賠責は事故後~症状固定までの通院治療内容をメインの判断要素としていますので、

症状固定後も通院があるという事情は参考要素に留まります。一番大切なのはあくまで症状固定までの通院治療であることに注意しましょう。

自賠責への後遺障害等級の申請に関して弁護士を入れたほうがよいのか?

被害者の方で、弁護士を入れるべきかどうかお悩みの方は、

ぜひ一度、弁護士法人小杉法律事務所の無料相談をお受けください。

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求専門弁護士が、適切な後遺障害等級の認定の獲得に向けたサポートを行っております。

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士との初回無料の法律相談の流れについてはこちら。

また、こちらのページでは、後遺障害の被害者請求に弁護士を入れるメリットについて解説しております。

後遺障害の被害者請求に弁護士を入れるメリットはある?

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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