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よくある質問

【弁護士解説】自賠責や労災保険で聞く「症状固定」とは?

後遺障害 交通事故 労災事故

交通事故で被害に遭い、病院に通院治療していると、

相手方保険会社の担当者から「そろそろ症状固定にして進めませんか」と言った話が出ることがあります。

また、労働災害や通勤災害で治療している場合にも、労働基準監督署の担当者から同様の話がなされることもあるでしょう。

 

では、そもそも「症状固定」とは何でしょうか?

そして何故、相手方保険会社や労働基準監督署は「症状固定」の話を被害者(被災者)に持ち掛けるのでしょうか?

また、損害賠償請求における症状固定の意義などについても合わせて解説いたします。

 

さて、まずは「症状固定」とは何なのか、という点ですが、

「症状固定」は元を辿ると、労働者災害補償保険(以下「労災保険」といいます。)における重要な概念の一つであります。

労災保険では、労働者が業務上又は通勤により負傷し、又は疾病にかかり、なおったとき身体に障害が存する場合に、

その障害の程度に応じて障害(補償)給付を行うことを定めています(労働基準法77条、労働者災害補償保険法第12条の8及び第22条の3)。

この「なおったとき」のことを「症状固定」といいます

しかし、「なおったとき」ですとあまりにもアバウトな表現であるため、より具体的に説明しますと、

傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待しえない状態で、

かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したとき

が「なおったとき」であり、すなわち「症状固定」の定義となります。

平易な言葉に換言しますと、「一般的に行われる治療方法では症状が軽快せず、また時間の経過でもそれ以上症状が軽快しなくなった状態」といったところです。

 

さて、では何故、交通事故の相手方保険会社や、労働基準監督署は、症状固定時期について持ち掛けてくるのでしょうか。

まず、労働基準監督署について言いますと、症状固定を境目として、労災保険が対応する給付が異なってくるからです。

労災保険では、労働災害や通勤災害での負傷について被災者が労災指定病院で治療を行う場合、療養(補償)給付が支給されています。

この療養(補償)給付は、実務上、症状固定までに要した治療費に対して支給がなされるものであり、症状固定後の補償は、障害(補償)給付でなされることとなります。

裏を返すと、症状固定時期が分からないと、いつまで療養(補償)給付の支給をすることになるかが労働基準監督署としても判然としないことになります。

そのため、労働基準監督署は被災者や関係各所と連絡を取りつつ、症状固定をもって治療期間にめどをつけることで、スムーズに労災保険の補償対応ができるよう進めているといえます。

とはいえ、症状固定の最終的な判断を行うのは医師であり、労働基準監督署が症状固定を迫ってきたとしても、医師が治療の継続を要すると判断するのであれば、それに従って治療を継続するのが良いのではないかと思います。

 

次に、交通事故で相手方保険会社が症状固定を持ちかけてくる点について、こちらは損害賠償請求とのかかわりがあるためです。

事故態様や受傷内容にもよりますが、相手方保険会社は治療費対応をしてくれることが少なくありません。

しかし、保険会社も営利企業である以上、際限なく治療費対応をするということも難しいところがあります。

ここで、損害賠償請求においては、治療費は原則として症状固定日までの金額しか請求できないというルールがあります。

ということは、保険会社からすれば、症状固定診断がなされることによって、治療費の支払に一定のめどをつけることができるということになります。

こうした理由から、相手方保険会社が医療照会等を通じて独自に症状固定時期を判断して、被害者側に症状固定を持ちかけてくるわけです。

とはいえ、これはあくまで保険会社の判断になりますから、必ずしもその判断に従わなければならないわけではありません。

症状が残っている場合、通院している病院の医師も治療の継続が必要と判断している場合などには、

その旨を相手方保険会社の担当者に伝えて治療継続の対応をしてもらうよう提案してみるのも一つの手段ではあります。

 

さて、次は損害賠償請求における症状固定の意義についてみていきます。

交通事故で加害者に損害賠償請求を行うにしても、労災事故で会社等に損害賠償請求を行うにしても、

損害賠償請求をするためには、損害を確定させる必要があります。

治療によって完治した場合には、治療費や通院交通費などの実際に支出した費用や入通院慰謝料のほか、休業があるときには休業損害を請求することになります。

他方、治療の結果後遺症が残存してしまった場合には、治療費や入通院慰謝料に加えて、後遺症が残存したことによる損害(後遺症逸失利益、後遺症慰謝料など)を請求できる可能性があります。

損害賠償請求の実務上、逸失利益や後遺症慰謝料の算定にあたり、交通事故では自賠責保険が認定した後遺障害等級が、労災事故では労災保険が認定した後遺障害等級が基礎とされる運用になっています。

自賠責保険の後遺障害に関する保険金や、労災保険の障害(補償)給付を請求するためには、

症状固定診断を受けるとともに、症状固定時の後遺症等について記載された「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」や「労働者災害補償保険診断書」を作成する必要があります。

すなわち、症状固定は、治療に一区切りをつけるだけではなく、

その後の自賠責保険請求/労災保険請求を行うために必要なものであり、引いてはその後の損害賠償請求にも大きな影響があるといえます。

 

●逸失利益の計算方法についてはこちらで解説しております。

●後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)の計算方法についてはこちらで解説しております。

 

症状固定を迎える際に気を付けるべきことは、「後遺障害診断書や労災保険診断書をどのように作成してもらうか」です。

自賠責保険請求/障害(補償)給付支給請求では、書面の内容が非常に重要とされています。

書面の内容次第では、本来、後遺障害等級が認定されるべきケースでも、等級が認定されず非該当という判断が下される可能性すらあります

 

しかしながら、相手方保険会社や労働基準監督署は、後遺障害診断書の作成について何らかの案内をしてくれるわけではありません。

「病院で作成するように」という案内はするでしょうが、「どのような内容を書いてもらうように」という具体的な案内がされることはまずありません。

特に相手方保険会社は、会社の利益追求という観点から言えば、等級が認定されないほうがのちのち支払う賠償金の金額も低くなるので、

積極的に等級が認定されるような案内を被害者に対して行うメリットがそもそもないのです。

そのような状況に加え、医師が必ずしも後遺障害診断書の作成について経験があったり慣れているわけではありません。

そのため、後遺障害診断書の作成を依頼したときに、等級獲得のために押さえておきたいポイントを必ずしも書いてくれるとは限らないのです。

 

弁護士法人小杉法律事務所の弁護士は、自賠責保険や労災保険の後遺障害認定システムに精通しており、

後遺障害等級認定についても多くの事案に携わってきましたので、豊富な知識や経験、ノウハウの蓄積があります

そのため、「等級が認定される可能性を少しでも高くするためには後遺障害診断書にどのような内容を書いてもらう必要があるか」についても

具体的な案内を行わせていただくことが可能ですし、必要な記載を入れていただく可能性を高めることができます。

 

前述のとおり、後遺障害等級の認定の有無によって、賠償請求できる損害の費目が異なります。

すなわち、後遺障害等級が認定されるかどうかで、損害賠償金も大きく変わってくるのです。

そのため症状固定を迎える際に、今後どうしたらよいか悩みが生じた場合には、弁護士に相談されることをおすすめします

 

弁護士法人小杉法律事務所では、後遺症被害を専門とする弁護士による初回無料のご相談を実施しております。

交通事故、労災事故のほか、後遺症や後遺障害等級のこと、損害賠償請求などについてご不安をお抱えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

後遺症被害を専門とする弁護士へのお問い合わせはこちらのページから。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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