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後遺障害が残ったら?逸失利益の計算方法を弁護士が解説!

2024.07.23

損害賠償請求

労働能力喪失率 後遺障害 逸失利益

事故に遭い、後遺障害が残ってしまった場合には、

加害者に対して損害賠償を請求することができます。

 

その中でも、逸失利益という費目はきわめて重要です。

このページでは後遺障害が残った場合の逸失利益の計算方法について、損害賠償請求専門弁護士が解説します。

 

損害賠償請求専門弁護士へのお問い合わせはこちらのページから。

 

逸失利益とは?

逸失利益の定義

逸失利益とは、交通事故などによって後遺障害が残った場合に、本来得られるはずだった利益を指します。

具体的には、労働能力の喪失による損失を補償するもので、生活費や将来の収入などが含まれます。

逸失利益は、その人が事故前に持っていた労働能力を失ったことに対する補填として計算されます。

逸失利益の重要性

逸失利益は、後遺障害が残った際に請求できる重要な損害賠償の一部です。

適正な逸失利益を計算し、請求することで、事故による経済的な損失を補うことができます。

 

特に、長期間にわたって労働能力が低下する場合や、完全に労働能力を失う場合には、逸失利益の計算が被害者の経済的な支援となります。

また、正確な計算を行うためには、後遺障害等級や基礎収入、ライプニッツ係数などの要素を正確に考慮することが求められます。

 

逸失利益全体についての詳しい解説はこちらのページから。

 

後遺障害と逸失利益の関係

後遺障害とは?

後遺障害とは、交通事故などにより身体または精神に残ってしまった障害を指します。

医師から一定期間にわたり治療を受けたものの、完全には回復せず、日常生活や就労能力に影響を残す状況のことを言います。

 

例えば、手足の機能が一部失われる、視力や聴力が低下するなどの例が挙げられます。

 

この状態に至ることを症状固定といいます。

後遺障害等級と逸失利益

後遺障害が残った場合、その程度に応じて後遺障害等級が定められます。

等級は1級から14級まであり、それぞれの等級に基づいて労働能力喪失率が設定されます。逸失利益の計算にはこの労働能力喪失率が重要な要素となります。

 

逸失利益の計算方法

基礎収入の求め方

逸失利益の計算において、まず重要になるのが「基礎収入」の求め方です。

職業によって基礎収入の計算方法は異なりますが、一般的には事故前年度の収入を基準として算出します。

 

例えば、会社員の場合は源泉徴収票、自営業者なら確定申告書などが参考になります。

労働能力喪失率の計算

次に、「労働能力喪失率」を計算します。一般的な運用としては、労働省労働基準局長通牒(昭32.7.2基発第551号)別表労働能力喪失率表を参考としつつ、

認定された後遺障害等級に応じた画一的な労働能力喪失率を採用しています。

 

ただし、先述のように、被害者の方の事故前の職業、年齢、性別等により、同じ後遺症が残った場合であっても、

労働能力を喪失した割合が大きいこともあり得るため、個別具体的な事情に基づいた正確な主張により、賠償金額が上がることがあります。

労働能力喪失期間の設定

次に設定するのが「労働能力喪失期間」です。これは事故によりどれだけの期間にわたって労働能力が喪失されるかを示します。原則として症状固定時から67歳までという運用が多いですが、その期間が平均余命の2分の1より短い場合や、症状固定時に既に67歳を超えているような場合には、平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とします。

ライプニッツ係数の使用方法

 最後に、「ライプニッツ係数」を使用して逸失利益を最終的に計算します。ライプニッツ係数とは、将来の収入を現在価値に引き直すための係数です。

具体的には、「1年あたりの基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」と計算されます。

これにより、将来的に発生する利益を現在の価値に換算し、正確に逸失利益を算出することができます。

 

職業別逸失利益の計算例

会社員の場合

会社員の場合、基礎収入は事故前年度の給与収入から算出されます。

まず、1年あたりの給与収入を確認し、それを基に逸失利益の計算を行います。

具体的には、1年あたりの基礎収入に労働能力喪失率を掛け、それにライプニッツ係数を掛けることで逸失利益が算出されます。

自営業者の場合

自営業者の場合、基礎収入の算出が少し異なります。

自己申告収入や財務書類を基に、事故前年度の収入から1年あたりの基礎収入(所得)を計算します。

会社員と同様に、基礎収入に労働能力喪失率とライプニッツ係数を掛け算することで逸失利益を求めます。

 

自営業者の場合、収入の変動が大きいことが多いため、過去数年分の収入を平均して計算することも多いです。

また、被害者本人の事故後も従業員等により営業が継続しているような場合には、本人の寄与度が考慮される場合もあります。

専業主婦・主夫の場合

専業主婦・主夫の場合も逸失利益を請求することができます。基礎収入は、厚生労働省が発表する賃金センサスから、

学歴計女性全年齢平均の平均賃金を基にすることとなっています。この金額に労働能力喪失率とライプニッツ係数を掛けて逸失利益を計算します。

 

いわゆる兼業主婦(兼業主夫)のような方の場合には、労働による収入と、先述の平均賃金のどちらか高い方を基礎収入として採用することとなっています。

学生・未成年の場合

学生や未成年の場合、将来の収入が基準となるため、計算が難しくなります。

基礎収入は、将来就く可能性の高い職業やその職業で得られる予測し、算出されます。したがって学歴や現在の成績、希望する職業なども考慮されることがあります。

この際に、予測収入として用いるのが、同じ学歴や同じ職業の方の平均賃金(賃金センサス)です。

 

後遺障害認定と逸失利益増額のポイント

逸失利益請求の手続き

逸失利益を請求する手続きの流れは以下の通りであり、まず後遺障害等級の認定を受けることが第一歩です。

主治医が作成する後遺障害診断書を、自賠責保険会社に提出することで、後遺障害等級が決定されます。

 

この後遺障害等級が先ほどまで見たように、逸失利益の計算における労働能力喪失率にきわめて大きな影響を与えますから、後遺障害診断書の作成はとても重要です。

後遺障害診断書の作成に当たって弁護士に相談するメリットについての解説はこちら。

 

その後、必要な書類を揃え、保険会社への請求手続きを開始します。

保険会社との交渉や調整が必要な場合には、弁護士の助けを得ることをお勧めします。

 

無事に交渉が成立すれば、適切な賠償金が支払われることになります。もし交渉がまとまらない場合には、裁判所への訴訟を検討することも視野に入れましょう。

以上が逸失利益請求の手続きの流れです。正確な計算および、適切な書類提出が求められるため、慣れない場合は弁護士の支援を受けながら進めることが成功への近道です。

後遺障害認定の重要性

交通事故により後遺障害が認定されると、逸失利益を請求することができます。

この後遺障害認定は非常に重要なプロセスです。後遺障害が認定されないと、逸失利益は請求できないため、適切な医療機関での診断と後遺障害診断書の作成が必要です。

 

後遺障害認定を行う際には、正確な診断や適切な書類の準備が求められます。

また、後遺障害等級が高くなるほど、逸失利益の計算において労働能力喪失率が高くなるため、請求する金額も増える傾向にあります。

ですから、適切な後遺障害認定が逸失利益を正確に計算し、適切に補償を受けるための鍵となります。

逸失利益増額のための注意点

逸失利益を増額するためには、いくつかの注意点があります。

まず、基礎収入を正確に算出することが重要です。基礎収入は事故前年度の収入を基に計算されるため、源泉徴収票や確定申告書などの適切な書類を準備しましょう。

次に、労働能力喪失率と労働能力喪失期間を正確に見積もることが必要です。

このためには、後遺障害等級に応じた具体的な数値を参照し、適切に計算することが求められます。

さらに、逸失利益の請求に関しては弁護士を活用することも有効です。

専門家のアドバイスを受けることで、請求手続きがスムーズに進むだけでなく、正確な計算方法を用いた適切な額の逸失利益を請求することができます。

これらのポイントを押さえた上で、後遺障害に伴う逸失利益の正確な計算を行い、適切な補償を得ることが大切です。

まとめ

後遺障害が認定された際に請求できる「逸失利益」とは、交通事故などによって労働能力を失った結果として本来得られるはずだった利益を意味します。

逸失利益の計算方法は「基礎収入×労働能力損失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」という式を用います。

逸失利益の請求は非常に複雑であり、正確に算出するためには弁護士の助けを借りることが推奨されます。

交通事故後に後遺障害が残ってしまった場合、早期に専門家に相談し、適切な計算と手続きを行うことで、適正な補償を受けることができます。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、損害賠償請求専門弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

逸失利益について疑問をお抱えの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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