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逸失利益とは?簡単にわかる基礎知識と計算方法を弁護士が解説!

2024.07.22

損害賠償請求

逸失利益

損害賠償請求で重要になる「逸失利益」。

 

その逸失利益の基本的な考え方や計算方法について弁護士が解説します。

 

損害賠償請求専門弁護士への無料相談はこちらのページから。

 

逸失利益の基本的な考え方

逸失利益とは、交通事故などの不慮の事故がなければ得られたであろう将来の収入のことを指します。

広い意味では、被害者が事故によって一時的または恒久的に労働能力を失った場合、その損失分の収入を逸失利益と呼びますが、

損害賠償請求実務においてはこのうち恒久的に労働能力を失った場合(つまり後遺症が残ったまたは死亡した場合)の損害を逸失利益といい、一時的な損害を休業損害ということが多いです。

 

逸失利益は、被害者の職業、収入、労働能力などによって異なりますが、事故による経済的な損害を補償するための重要な要素となります。

 

逸失利益の重要性

逸失利益の重要性は、被害者やその家族の将来の生活を支えるための経済的補償が大きなポイントとなります。

 

特に、家庭の主要な収入源が事故により働けなくなった場合や、被害者が死亡した場合などでは、この逸失利益が家族の生活を維持するために不可欠です。

また、逸失利益は被害者が本来なら得られるはずであった収入を補填するものであり、その適切な算出は被害者の権利を守る上で非常に重要です。

 

適切な手続きを行うことで、将来の経済的不安を軽減し、公正な補償を受けることができます。

 

逸失利益の種類

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、交通事故などで被害者が死亡した場合に、将来得られるはずだった収入を指します。

被害者が生きていれば稼げたであろう収入が失われるため、その金額を計算し、遺族に補償することが目的です。

 

具体的には、被害者の年齢、職業、収入、家族構成などを基に算出されます。適切な補償を受けるためには、正確な計算が不可欠です。

 

死亡逸失利益についての詳しい解説はこちらのページから。

 

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益は、交通事故などで後遺障害が残った場合に、労働能力が制限されることで生じる将来の収入の損失を指します。

例えば、事故によって身体に後遺症が残り、以前のように働けなくなり収入が減少するケースが該当します。

この逸失利益の計算には、被害者の基礎収入、後遺障害の等級、労働能力喪失率などが考慮されます。

 

職業別の逸失利益

逸失利益の金額は、被害者の職業によっても異なります。例えば専門職や経営者、一般労働者、学生など、それぞれの職業によって得られる収入や将来のキャリアパスが異なるため、計算方法も変わってきます。

また、職業によっては特殊なスキルや資格が必要とされる場合もあり、それが逸失利益の額に影響を与えることもあります。

被害者の職業に応じた適切な補償を受けるためには、専門的な知識が必要とされます。

 

より詳しい逸失利益に関する解説はこちらのページから。

 

逸失利益の計算方法

基礎収入の算定

逸失利益を計算するためには、まず基礎収入を算定する必要があります。

基礎収入とは、被害者が事故がなければ将来得られるはずだった年収のことです。

これには、給与所得だけでなく、各種手当や賞与も含まれ、さらに場合によっては副業の収入も考慮されます。

 

具体的には、事故前の年収や給料明細、確定申告書などを元に算出します。

 

労働能力喪失率の適用

次に、労働能力喪失率を適用します。これは、事故や後遺障害によってどれだけ労働能力が喪失したかを示す割合です。

 

基本的には、後遺障害等級が認定された場合、その等級に応じた喪失率が基準として計算されます。

 

労働能力喪失率は逸失利益の計算において非常に重要であり、適正に査定される必要があります。

 

労働能力喪失率に関する詳しい解説はこちらのページから。

 

労働能力喪失期間の設定

労働能力喪失期間は、被害者がどれだけの期間、労働能力を失うことになるかを設定します。

通常、この期間は被害者の年齢やこれまでの就労状況から判断されます。

 

原則として症状固定から67歳までの期間をもとにしますが、67歳までの期間が平均余命の2分の1より短い場合や、

症状固定時点で67歳を超えているような場合には、平均余命の2分の1が採用されることになります。

 

計算例

これまで説明した基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間を基に、具体的な逸失利益を計算します。

例えば、基礎収入が500万円、労働能力喪失率が20%、労働能力喪失期間が20年と設定された場合、計算は以下のようになります。

まず、年間の逸失利益は基礎収入に労働能力喪失率を掛けて算出し、500万円×20%=100万円となります。

 

これを労働能力喪失期間分積算し、ライプニッツ係数を適用して現在価値に換算するのが一般的な方法です。

 

具体例をもって被害者の方お一人お一人のケースに応じた計算を行うことが非常に重要です。

適切な逸失利益を請求するためには、労働能力喪失率や労働能力喪失期間の設定を慎重に行う必要があり、適切な助言を受けることが大切です。

 

逸失利益の請求手続き

必要書類の準備

逸失利益の証明のためには、事故前の被害者の収入を示す書類として源泉徴収票や確定申告書などが求められます。

 

後遺症逸失利益の請求に当たっては、認定された後遺障害等級が、労働能力喪失率の認定に大きな影響を与えますから、

損害賠償請求を行う前に認定機関に対して後遺障害等級の申請を行うことが一般的です。

 

死亡逸失利益を請求する場合は、死亡診断書や戸籍謄本など、死亡を証明する書類が必要です。

また、生活費控除率の計算に当たり、扶養家族の人数などが問題になることが多いため、それらを証明できる書類があることも望ましいです。

これらの書類を適切に準備することが、スムーズな請求手続きにつながります。

 

請求手続きの流れ

逸失利益の請求手続きの流れは基本的に次のステップで進められます。

まず、必要書類を揃えた後、保険会社や加害者との交渉を開始します。

弁護士に相談することも有効であり、専門的な知識を活用することで適正な金額を請求しやすくなります。

 

次に、保険会社などに対して請求文書を提出し、賠償金額の算定に関する協議を行います。

この際、逸失利益の計算方法(基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間など)を明確に理解しておくことが重要です。

 

最終的に、双方が合意した金額で補償が支払われる流れとなります。それでも解決しない場合は、裁判所に調停や訴訟を提起することも視野に入れておく必要があります。

これらの手続きを適切に進めることで、被害者は正当な逸失利益を受け取ることができるのです。

 

まとめ

逸失利益とは、交通事故がなければ得られたであろう将来の収入を指します。

逸失利益には大きく分けて後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の2種類があります。

後遺障害逸失利益は事故により労働能力が制限された場合に発生し、死亡逸失利益は事故で命を落とした場合に生じます。

 

逸失利益の計算には、基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間、そしてライプニッツ係数が関係します。

被害者の職業や収入、年齢などによって逸失利益の金額は変動します。逸失利益の請求手続きでは、必要書類の準備や具体的な手続きの流れに注意が必要です。

 

被害者が適切な補償を受け取るためには、逸失利益の計算方法をしっかりと理解することが重要です。

弁護士の助言を受けることで、正確で適切な金額を求めやすくなります。

逸失利益の請求は被害者にとって非常に重要な補償手段であり、その適切な請求が被害者の将来を支える大きな力となるのです。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、損害賠償請求専門弁護士が被害者の方お一人お一人に合わせた初回無料相談を行っております。

逸失利益について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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