- 因果関係
【死亡事故】死体解剖医から意見書を取り付け、肺炎での死亡と交通事故との因果関係を結び付けた事例
Dさん 神奈川県・70代・男性・家族の介護
【死亡事故】死体解剖医から意見書を取り付け、肺炎での死亡と交通事故との因果関係を結び付けた事例
解決事例のポイント
① 保険会社提示0円⇒1000万円強まで増額⇒最終的に3000万円で判決
② 肺炎での死亡と交通事故との因果関係を死体解剖医の意見書から結び付けた
③ 妻の介護をしていたことについて主婦と同様の逸失利益を認めさせた
相談前(肺炎が原因で死亡・交通事故との関連性不明)
Dさんは、70代男性で、認知症の奥様の介護をしながら暮らしておりました。
ある日、Dさんの息子さんが帰省すると、玄関で倒れているDさんの姿を目の当たりにします。
救急車を呼びましたが、Dさんは帰らぬ人となりました。
直接死因は肺炎とされていました。
後日、実はDさんは交通事故に遭っていたことが判明し、Dさんの息子さんがDさんの死亡は交通事故と関係があるのかを聞きに、弁護士のもとへ法律相談に行くことにしました。
法律相談
Dさんの息子さんから、交通事故の話やDさん死亡の原因についてうかがいました。
交通事故の内容からすると、救急搬送されなければいけないような事故態様なのですが、Dさんは、重傷となったにもかかわらず、帰宅したようでした。
なぜ交通事故後に帰宅を強行したのかDさんの息子さんに尋ねたところ、母(Dさんの妻)が認知症で、父(Dさん)が介護を行っていたことから、おそらく母を家に置いて病院に運ばれるわけにはいかないと考えたのだと思いますとのことでした。
交通事故で死亡してしまうケースというのは、脳損傷や内臓の損傷が原因となることが多く、交通事故で肺炎となって死亡するというのはあまり多くはありませんので、交通事故との因果関係が認められるかは不明でしたが、弁護士が関与しなければ原因追求は困難だと思いましたので、受任させていただくことになりました。
難解なケースのため、加害者側の保険会社は、担当者対応ではなく、弁護士を入れていました。
交通事故との因果関係は無いと考えているとのことでしたので、こちらで調査をすることにしました。
交通事故と肺炎による死亡との因果関係の調査(死体解剖医の意見書)
まず主治医に交通事故と肺炎との因果関係について話を聴きましたが、「不明」という回答で、因果関係を肯定する証拠は得られませんでした。
次に、Dさんは、玄関で倒れていたところを発見されたという経緯であったため、死体解剖がなされたことが判明します。
そこで、死体解剖医から話を伺うことにしました。
そうしたところ、交通事故による頭部の受傷、それが原因となって誤嚥性肺炎となっているので、交通事故と肺炎との因果関係は認められるとの意見をもらうことができました。
死体解剖医の先生にお願いをし、因果関係が認められるという意見書を作成してもらいます。
示談交渉1(因果関係肯定・1000万円強の賠償案)
意見書を保険会社側の弁護士に提出し、因果関係についての交渉を行いました。
死体解剖医の医師が、死体解剖の権威であることなどを説明したところ、裁判を行ったとしても因果関係が認められる可能性があると納得してもらい、示談交渉に限り、因果関係を認める旨の回答を得ることができました。
ただし、Dさんは無職であること、交通事故の内容からして過失相殺がなされる事案であること、自賠責保険が因果関係を認めないであろうことを理由に、1000万円強の示談案が示されました。
示談交渉2(Dさんの家事従事者性を肯定させ3000万円で示談成立)
Dさんは確かに無職ではありましたが、奥様の介護をされていました。
そこで、奥様の認知症に関する証拠を提出し、Dさんが奥様の介護をしなければならない状況であったことを保険会社側の弁護士に説明をしました。
そうしたところ、主婦の方と同様に家事従事者性を認めてもらい、3000万円で示談を成立させることができました。
弁護士小杉晴洋のコメント:弁護士による調査の重要性
このケースは、弁護士が介在しなかった場合、1円の賠償額も得られずに、交通事故とは関係のない肺炎でお亡くなりになられた事案であるとして処理されてしまっていたと思います。
Dさんの息子さんによれば、Dさんは生前元気に過ごされていて、いきなり肺炎で亡くなるのは納得できないとのことでした。
死亡事故に関し、本当に死因が持病に基づくものであるのか疑問を生じるようなケースでは、まず弁護士に相談されることをおすすめします。
当事務所では死亡事故に関し無料の法律相談を実施しておりますので、どうぞお尋ねください。