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【死亡事故】過失運転致死罪で加害者に実刑判決|死亡慰謝料増額での示談解決
DさんEさん 福岡県久留米市・30代・夫婦・会社員及び主婦
死亡事故示談解決のポイント
①謝罪を一切せず不合理な供述を繰り返す加害者について刑事裁判に被害者参加をし、過失運転致死罪で3年6か月の実刑判決を勝ち取った
②刑事裁判で被告人の居眠り運転の事実を認めさせ、これが民事の慰謝料増額事由として認められた
③父の事業を将来承継するはずであったことを立証し、事故前年の年収ではなく、父の年収を前提とする逸失利益が認められた
④正社員としても仕事していた妻について、専業主婦と同等の損害賠償請求が認められた
死亡事故態様:車vs車の正面衝突事案
DさんEさんは、ともに30代のとても仲の良いご夫婦でした。
ところが、ある日、二人で銭湯へ行っていたところ、その帰り道に、突然センターラインをオーバーしてきたトラックに正面衝突され、二人ともお亡くなりになってしまいます。
センターラインオーバーをしたトラックの運転手からは一切の謝罪もなく、ご遺族は憤っていました。
しかし、どうしたらよいのか分からなかったため、弁護士に相談することにしました。
弁護士小杉による法律相談
ご遺族は、損害賠償云々よりも、とにかく一切の謝罪のない加害者が許せないというお気持ちでしたので、ご遺族が刑事裁判に被害者参加することができるということをお伝えし、この制度を利用して加害者に過失運転致死罪での責任追及をしていくことを決めました。
刑事裁判 福岡地方裁判所久留米支部(居眠り運転を暴き過失運転致死罪で3年6月の実刑判決)
被害車両や加害車両の後続を運転していた車の運転手などの目撃供述からすると、加害車両はDさんEさんの車に正面衝突する直前、路側帯外に出てしまったり、センターラインをオーバーしてしまったり、蛇行運転を繰り返していることが分かりました。
これは居眠り運転の軌道です。
ところが、被告人は、居眠り運転の事実を否認し、被害車両がハイビームで運転していたことから、それが眩しくて、交通事故になってしまった、落ち度があるのは被害者であるなどと供述をしてきました。
被告人が交通事故の責任自体を否定し、検察官請求証拠のほとんどを不同意としたため、過失運転致死被告事件の刑事裁判は長期化することになりました。
捜査報告書を作成した警察官など多数の証人尋問が実施され、合計10回の裁判期日を積み重ねました。
この10回の期日には、毎回ご遺族の方も参加いただき、毎回期日の前と後にそれぞれ1回ずつ、担当検察官もまじえた打ち合わせを行い、検事と遺族側とが一体となって裁判を進めていきました。
被告人側の申請する証人や、被告人本人の質問では、検察官と被害者参加弁護士とで役割分担をし、ともに被告人の行為の悪質さを立証するべく、追及をしていきました。
DさんEさんそれぞれのお父様・お母様にも心情意見陳述をしていたき、最後に被害者参加弁護士も論告意見陳述を行い、結審となりました。
証拠上、当然の結果ではありますが、無事被告人の居眠り運転の事実が認められ、被告人には過失運転致死罪での禁錮3年6月の実刑判決が下されました。
人の命を奪っておきながら3年6か月というのは短いようにも思えますが、過失運転致死罪での実刑判決というのは珍しいものとなります。
ご遺族も、被告人のでたらめな主張が排斥されたことにひとまず安堵されておりました。
過失運転致死罪など交通死亡事故の犯罪や刑期についてはこちらのページをご覧ください。
示談による解決(居眠り運転を死亡慰謝料増額事由として考慮)
Dさんのご遺族もEさんのご遺族も、民事の裁判は望まないということでしたので、刑事裁判で得た過失運転致死罪の実刑判決を元に、示談交渉を行いました。
Dさんにはついては、一家の支柱としての損害賠償が認められ、また、父の事業を将来引き継ぐという前提での逸失利益も認められました。
妻であるEさんもお仕事をしていましたが、家事もこなしていたため、家事従事者としての損害賠償請求をし、これが認められました。
また、刑事裁判で居眠り運転の事実が認められたため、お二人とも慰謝料増額の主張も認められ、無事示談解決となりました。
弁護士小杉晴洋のコメント:刑事裁判の被害者参加は検察官との連携が重要です
合計10回にわたる刑事裁判となりましたが、起訴前も含め、担当検察官と打ち合わせを密に重ね、勝ち取った過失運転致死罪実刑判決でした。
刑事裁判の被害者参加では、被告人を訴追する側の検察官との連携が極めて重要です。
中には、遺族が被害者参加をすることについて面倒に思われる検察官もいますので、捜査段階から密に連絡を取ったり、捜査協力をするなどして、関係構築をしておくことが望ましいと言えます。
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