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交通事故で減収?自営業者が知っておくべき休業損害の計算法

2024.10.05

損害賠償請求

休業損害 自営業者

このページでは、被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 自営業者の休業損害とは?
  • 自営業者と給与所得者の休業損害の違い
  • 自営業者の休業損害が認められる条件
  • 自営業者の休業損害計算方法
  • 自営業者の休業損害の請求方法

について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

自営業者の方で休業損害について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

被害者側損害賠償請求専門弁護士へのお問い合わせはこちらのページから。

 

自営業者の休業損害とは

休業損害の定義と内容

自営業者にとって、交通事故は重大な経済的リスクを引き起こす可能性があります。

休業損害とは、交通事故による負傷などで仕事を続けることが困難になった場合に、休業によって生じる収入の減少を補償するためのものです。

 

特に自営業者や個人事業主は、給与所得者とは異なり、定期的な給与が保証されていないため、休業損害の請求が重要となります。

 

給与所得者との違い

給与所得者の場合、休業損害の請求は比較的明確であり、事故前の給与明細と、会社に作成してもらう休業損害証明書などを基に、実際に休んだ日の給与を想定し、計算されることが通常です。

しかし、自営業者の場合、休業損害の計算は複雑になります。自営業の収入は固定されていないことが多く、確定申告の所得や固定経費の考慮が必要です。

基礎収入は、通常、事故前年の確定申告で申告された所得額から算出されますが、実際の収入が確定申告の内容と異なる場合は、さらなる証明が必要となることがあります。

 

これにより、自営業者は休業損害の算定に特有の困難を伴いますが、正しい手続きにより適切な補償を受けることを目指す必要があります。

 

自営業者の休業損害が認められる条件

事故による減収の証明

自営業者が交通事故による休業損害を請求するためには、事故により収入が減少したことを証明する必要があります。

これは、収入の実態を示す証拠を整えることで達成されます。収入が発生していた期間の確定申告書や売上帳簿などを活用し、事故による業務への影響を具体的に示すことが求められます。

特に前年の所得情報は、休業損害の計算基礎となるため、しっかりとした証拠資料として準備します。

 

休業損害の証明に必要な書類とその役割

休業損害を請求するためには、いくつかの書類が必要です。まず第一に、確定申告書は収入を基礎付ける重要な文書となります。

この書類を通して、事故前の平均所得を明確にし、実際にどれだけの減収が生じたかを示します。

さらに、固定経費を証明するための家賃支払い証明や従業員給料の支払い記録も準備が求められます。

 

休業中も発生するこれらの固定経費は、休業損害の請求において認められる可能性があり、事業の運営がどのように影響を受けたかを具体的に示します。

これらの書類が揃っていることで、休業損害の請求がスムーズに進行します。

 

休業損害の計算方法

確定申告書による基礎収入の算定

自営業者が休業損害を請求する際には、まず基礎収入を算定する必要があります。

この基礎収入は、多くの場合、事故が発生した前年の確定申告書の所得額を基に計算されます。

 

確定申告をしていない場合や、確定申告書に記載された所得よりも実際の収入が多かった場合には、その差異を証明するための追加の書類や証明が求められることがあります。

この点については『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻(講演録)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)の平成18年版に収録されている、

湯川浩昭裁判官の事業者の基礎収入の認定に関する講演(平成17年10月29日)で触れられていますが、

確定申告がなされていない場合や確定申告外の所得がある場合の基礎収入の認定は、かなり厳密に判断されているといえます。

 

固定経費の考慮

休業損害の計算においては、個人事業主や自営業者が負担する固定経費も考慮されます。

固定経費とは、家賃や従業員の給与など、事業運営に不可欠である一方で、休業中であっても支払いが避けられない経費を指します。

これらの経費は、休業損害の算定に含めることができ、自賠責保険やその他の補償を受けるために重要となります。

 

逆に、休業すれば発生しなくなる経費(材料費など)、いわゆる流動経費については請求が不可能です。

 

日額計算の方法

休業損害の具体的な計算方法としては、基礎収入を日額に換算し、それを実際の休業日数と掛け合わせて求めます。

日額計算に際しては、年間収入を365日で割る単純な方法が用いられることも多いですが、実情に応じてより適切な計算が可能な場合もあります。

例えば、季節によって収入に変動がある業種の場合は、事故前年だけでなく、それ以前の複数年の過去のデータを基にした調整が必要となることがあります。

 

実際の請求手続き

書類の提出と手順

自営業者が交通事故による休業損害を請求する際には、所定の書類を揃えて提出する必要があります。

まず、確定申告書や損益計算書などの収入を証明する書類が必要です。これらの書類に基づいて、基礎収入の計算と固定経費の考慮を行い、休業損害額を算出します。

 

事故の内容や損害の程度に応じて、追加書類が必要になる場合もありますので、保険会社の指示に従って書類を準備しましょう。十分に準備しておくことで、手続きがスムーズに進むことを期待できます。

 

証明のための準備

自営業者が休業損害を証明するには、事故前の収入と休業による実際の経済的損失を明確にすることが重要です。

事故発生年の確定申告が既になされているような場合には、事故が発生した年の確定申告書を準備し、それを基に過去の所得と比較して、事故による減収を証明する方法が一般的です。

 

また、固定経費を含めて計算する場合、その経費を証明する契約書や領収書なども必要となります。

 

さらに、事故による休業期間を証明するために、スケジュール帳や取引先との連絡記録も役立ちます。

これらの書類を十分に揃えておくことが、休業損害の請求成功の鍵となります。また、請求書類の不足や不備は、手続きの遅延や不承認につながる可能性がありますので、事前準備をしっかり行いましょう。

 

自営業者の休業損害の請求で注意すべきポイント

変動する収入への対応

自営業者や個人事業主にとって、変動する収入への対応は非常に重要です

。交通事故による休業損害を請求する際、前年の確定申告に基づく基礎収入が計算の基礎となります。

しかし、実際の収入が年ごとに大きく変動する場合、前年の確定申告だけでは実態を十分に反映できないことがあります。

 

例えば、事業が拡大していて収入が増加している段階で事故に遭った場合や、

逆に一時的に売上が減少していた場合など、正確な収入減少を証明するのは容易ではありません。

 

そのため、事故前年の収入状況だけでなく、直近の収入状況を示す証拠を揃え、実際の損害をより適切に計算できるようにすることがポイントとなります。

 

事前準備の重要性

休業損害を請求する際には、事前の準備が非常に重要です。

特に自営業者の場合、収入や経費の証明が整然としていないと、損害を適切に主張することが難しくなります。

確定申告書類や固定経費に関する資料、収入や売上を示す帳簿や領収書類などの整備は日頃から徹底しておく必要があります。

 

さらに、家賃や従業員の給料といった固定経費も考慮できるため、これらの支出を証拠付ける書類も重要です。

また、収入に変動がある業種では、どのように収入が変動しているかを説明できる資料やグラフを用意しておくと、説明がスムーズになります。

こうした準備は、相手方への請求手続きが迅速かつスムーズに進むためにも必要不可欠です。

 

弁護士への依頼の検討

実際のところ、交通事故で怪我をされ、治療を行いながら保険会社が要求してくる資料を集める、といった生活はなかなかハードなものだと思います。

弁護士に依頼すれば、煩雑な保険会社との対応も一任できますし、治療期間中のアドバイスや、適切な証拠収集についての助言を受けることができます。

それが交通事故被害に精通している弁護士であればなおさらでしょう。一度ご相談されることをお勧めします。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

交通事故被害に遭い、休業損害などについてご不安をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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