主婦にも認められる休業損害!その計算方法を詳しく解説
2024.10.06
損害賠償請求
このページでは、被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
- そもそも休業損害とは?
- 主婦が休業損害を請求できる理由
- 主婦の休業損害の計算方法(専業主婦の場合・兼業主婦の場合)
- 主婦の休業損害の請求で気を付けるべきポイント
について解説します。
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休業損害とは?
休業損害の定義
休業損害とは、交通事故などの不測の事態による受傷によって、働くことが困難になり得られなくなった収入や利益の損失を指します。
専業主婦(家事従事者)など、家庭内での家事労働を行う者も、この損害を請求することが可能です。これには、入院や通院が必要な期間中に家事を行えなかったことによる損益が含まれます。
具体的には、家事労働が外部の同様な作業と同等の経済的価値があると認識され、その損失額が補償される形となっています。
休業損害は、裁判(弁護士)基準、自賠責基準、任意保険基準に基づいて算定されることが一般的です。
主婦の方が休業損害を請求できる理由
主婦が休業損害を請求できる理由は、家事労働の経済的価値が認められているからです。
専業主婦が日々行っている料理、洗濯、掃除などの家事は、外部委託を考えた場合に実際の支出となります。
この価値は、家事代行サービスやベビーシッターを利用した際の費用と同等と考えられ、専業主婦が交通事故に遭い、家事ができない状態に陥った場合には、休業損害として請求が可能です。
これは、最高裁判所第三小法廷昭和50年7月8日判決(集民第115号257頁)で判示されており、実務上確定した考え方です。
このように、主婦が行う日常の家事労働にも経済的価値があると認められるため、休業損害を請求する正当な理由となります。
専業主婦の休業損害の計算方法
基礎収入の設定
専業主婦が休業損害を請求する際には、まず基礎収入を設定することが重要です。
この基礎収入は、家事労働に対する経済的価値を示すものであり、具体的には厚生労働省が行っている賃金構造基本統計調査の結果(いわゆる「賃金センサス」)
に基づき、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を用いることになります。
この平均賃金は、専業主婦が仕事を休むことで発生する経済的損失の程度を公正に測るための目安となります。
裁判基準では、専業主婦の基礎収入としては年額360万円ほど、日額約1万円とされることが一般的です。
休業日数の計算
休業日数の計算は、受傷から治癒日または症状固定日までの期間を基に行われます。
この計算は、専業主婦が日常的に行っていた家事労働を休んだ日数を正確に把握するために重要です。
ただし、すべての休日が認定されるわけではなく、医師の診断書や通院記録などに基づき、実際に家事を行うことが困難だったと証明できる日数のみが休業日数として認定されます。
自賠責基準とその適用
専業主婦が交通事故に遭い休業損害を請求する際には、自賠責基準が適用されます。
自賠責基準では、経済的な減収があったと認定される場合、日額6100円(令和2年4月1日以降)を基準に支給されます(自動車損害賠償責任保険の保険金及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準)。
裁判基準が日額1万円であることを考えると、裁判基準での請求が必要な理由がお判りいただけると思います。
パート主婦(兼業主婦)の場合の計算方法
パート主婦(兼業主婦)が交通事故によって休業を余儀なくされた場合、その休業損害の計算は少し異なります。
このパートやお仕事ができなくなったことによる損害については、
働いて得ていた収入が基礎収入となります。この基礎収入に、事故によって実際に休業した日数をかけることで、休業損害額が算出できるのです。
例えば、日額8000円の報酬を得ていた場合、10日間の休業であれば8万円が損害として認められます。
ただし、この方の場合は家事従事者(主婦)として請求した場合には、日額1万円になるわけです。兼業主婦の方はパートもしながら主婦業もされているわけなので、どちらも請求が可能なように思います。
このような場合は、現実の収入額と女性労働者の平均賃金のいずれか高い方を基礎として、休業損害を計算することになっています
(『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻(講演録)』2003年版「家事労働の逸失利益性」(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)を参照)。
主婦の休業損害を適切に請求するためのポイント
必要書類の準備
休業損害を適切に請求するためには、必要な書類をきちんと揃えることが重要です。
まず、交通事故による受傷を証明するための医師の診断書や、継続的な治療の様子が分かるカルテなどが有用です。
また、専業主婦の場合、家事がどのように行えなくなったかを示す日常生活の詳細な記録も有用です。
ただし示談交渉段階ではここまで厳密な書類が必要となることは少なく、同居家族の有無が分かるような住民票の写しや、
家事従事者自認書の提出で足りる場合もあります。
弁護士への相談の重要性
休業損害の請求においては、弁護士への相談が非常に役立ちます。
特に交通事故に詳しい弁護士は、適切な計算方法に基づいた休業損害の請求を行ってくれますし、
法律の専門家である弁護士は、相手方の保険会社との交渉を円滑に進め、専業主婦の家事労働に対する経済的損害を最大限適切に評価するためのサポートを行います。
弁護士に相談することで、請求書類の不備を避け、スムーズに休業損害を請求できる可能性が高まります。
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