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交通事故の慰謝料、実際には誰が支払うのか?

2025.01.20

損害賠償請求

交通事故 任意保険会社 入通院慰謝料 後遺症慰謝料 慰謝料 自賠責保険

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求専門弁護士が、

  • 交通事故の慰謝料の基本的な支払いルール
  • 慰謝料が支払われるまでの流れ
  • 慰謝料が支払われない場合の対処法
  • 慰謝料請求における注意点とアドバイス

について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者側損害賠償請求専門弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

交通事故被害に遭い、慰謝料請求について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

被害者側損害賠償請求専門弁護士へのお問い合わせはこちらのページから。

 

交通事故の慰謝料の基本的な支払いルール

交通事故の慰謝料は、被害者が負った精神的・肉体的な苦痛に対する賠償金として、誰が払うのかが重要なポイントとなります。

原則として加害者が慰謝料を支払う責任を負いますが、多くのケースでは加害者の任意保険会社が実際の支払いを代行することが一般的です。

ここでは、加害者が直接支払う場合と保険会社を通じて支払われる場合の両方を詳しく説明します。

 

加害者が支払う場合

民法上及び自動車損害賠償保障法上は加害者が賠償金を支払うのが原則となっています。

民法709条故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法710条「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」

自動車損害賠償保障法3条己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

 

ただし、交通事故の適切な慰謝料は数十万から最大で数億になることもあり、その全額について加害者本人に支払いを求めるというのは現実的ではありません。

加害者が支払うことができなければ被害者が泣き寝入りするということにもなり得ますから、被害者側も加害者が加入している保険に対して請求を行うのが一般的です。

 

ということは逆に、加害者が直接慰謝料を支払うケースというのは、

加害者が任意保険に加入していない場合や、保険適用外の損害賠償額を超える部分が生じた場合に発生します。

 

この場合、被害者は加害者に対して直接請求を行います。加害者の支払い能力や合意に基づき、支払い方法やスケジュールが決定されます。

ただし、加害者が支払い不能となる場合もあり、その際には法的手段を検討する必要が生じることがあります。

 

加害者の任意保険会社が支払う場合

多くの運転者が任意保険に加入していることから、実際には保険会社が被害者に慰謝料を支払う場合がほとんどです。

任意保険は自賠責保険よりも広範な補償を提供しており、損害賠償額や慰謝料の支払いにおいて重要な役割を果たします。

保険会社は被害者との示談交渉を通じて合意に至った金額を支払います。

 

本来保険会社は示談交渉を代理して行うことはできないのですが、約款上サービスとして明記されている「対人賠償保険」と「対物賠償保険」の支払い、

つまり加害者側として被害者に対して保険金をお支払する場合の示談については代行することができる仕組みとなっています。

 

この仕組みにより、実務上被害者は加害者本人ではなく加害者の任意保険会社の担当者と示談交渉を行うことが多くなっています。

 

このように、交通事故の慰謝料については、加害者や保険会社により支払いが行われます。

被害者の立場としては、どちらが支払うにせよ、自らの権利を守るために適切な請求を行うことが重要となります。

 

慰謝料が支払われるまでの流れ

交通事故発生から示談成立まで

交通事故が発生した場合、被害者はまず治療を受ける必要があります。

この治療の段階では、医療費や治療に伴う不便さから精神的苦痛を受けることになり、これに対する入通院慰謝料を請求することができます。

 

被害者が治療を終えると、後遺障害が残ったかどうかを判断するために自賠責保険に対して「後遺障害等級認定」を申請します。

これにより後遺障害等級が認定された場合は、その等級に応じた後遺症慰謝料を請求することができます。

 

その後、加害者やその保険会社と示談交渉を行います。

示談交渉では、損害賠償の総額について話し合いを行い、被害者と加害者が合意に至ることで示談が成立します。

この過程での主な交渉点は、交通事故による慰謝料の額や支払いの方法です。この段階で弁護士を利用することで、示談金の額を適切に引き上げることが可能です。

 

示談成立後の支払いスケジュール

示談が成立すると、加害者側の保険会社から被害者に対して慰謝料が支払われます。

一般的には、示談成立後おおよそ2週間以内に指定された銀行口座に入金されることが多いです。

この支払いスケジュールは任意保険契約によるところが大きく、金額が大きい場合など、変動することもあります。

 

また、被害者が急いで資金を必要としている場合や支払いが遅れている場合には、

自賠責保険への請求や人身傷害保険の活用によって、賠償金の一部について早期の支払いを受けることも可能です。

 

交通事故の慰謝料の支払いに関しては、依然として細かい手続きや法的な知識が必要となりますので、適切なサポートを受けることが重要です。

 

慰謝料が支払われない場合の対処法

任意保険未加入時の対応

交通事故において加害者が任意保険に未加入である場合、被害者としては直接加害者へ慰謝料を請求することが必要になります。

このような状況では、加害者が自らの資産や収入から慰謝料や損害賠償を支払う責任を負います。

しかし、全額を直ちに支払う能力がない場合もあります。

そのため、被害者は示談交渉の中で、分割払いの取り決めを行うなど、柔軟な支払い方法を考慮することが重要になります。

 

また、弁護士を通して法的手段を検討することも一つの方法です。法的手段を通じて、慰謝料の支払いを確保するとともに、加害者との交渉を有利に進めることができます。

 

加害者の支払い能力がない場合の対策

加害者が支払い能力を持たない場合、被害者は損害賠償を受け取るのが難しくなります。

このような場合でも、被害者としては諦めることなく、法律の知識を活用することが重要です。

まず、自賠責保険からの支払いを最大限に活用することが求められます。

自賠責保険は強制加入の保険であり、被害者に対して一定の範囲まで補償を行います

(なお、物的損害については自賠責保険の対象外ですから、こちらについては加害者本人または自身の車両保険に請求せざるを得ません。)。

 

また、弁護士特約が付帯されている自動車保険を使用することで、弁護士費用の負担を軽減しつつ交渉を行うこともできます。

さらに、自身で人身傷害保険(無保険車傷害特約など)に加入しているような場合には、自分が加入している保険から一定程度の保険金を受け取ることが可能になります。

 

その他の関連費用とその支払い

治療費や休業損害の請求方法

交通事故の被害者となった場合、治療費や休業損害の請求はどのように行うべきか考慮することが重要です。

治療費については、加害者の任意保険会社が病院に直接支払うケースが一般的ですが、緊急の状況などで被害者が自己負担を余儀なくされる場合もあります。

この場合、後から保険会社に請求する形を取る必要があります。休業損害については、事故によって仕事を休まざるを得なくなった場合、その間の収入減少を補填するために請求が可能です。

休業損害については原則として事件終結時にまとめて支払われることが一般的ですが、それでは生活が苦しくなることも考えられるため、内払といい休業損害の一部を先に支払ってもらう交渉をすることも可能です。

 

弁護士費用の支払いについて

慰謝料や損害賠償額の交渉において、弁護士の関与が必要となる場合があります。

弁護士は、相場を基にした適切な慰謝料の計算や、交渉をしてくれます。

弁護士費用は基本的に依頼者が負担することになりますが、交通事故の場合、多くの任意保険には弁護士費用特約が付帯されていることがあり、

この特約を活用すると被害者の負担を軽減可能です。弁護士費用特約があるかどうか、事前に契約内容を確認しておくことをお勧めします。

 

なお、弁護士法人小杉法律事務所では弁護士費用特約が付帯されていない方の場合でも、

弁護士費用は相手から獲得した金額からの精算となるため、着手金や相談料などが発生しない、被害者の方にご負担の少ない費用体系を採用しております。

 

弁護士法人小杉法律事務所の詳しい費用体系はこちら

 

慰謝料請求における注意点とアドバイス

交渉時の注意点

交通事故の被害者が慰謝料を請求する際、まず交渉が重要です。交渉の際には、慰謝料の相場や基準を理解していることが大切です。

任意保険会社が提示してくる基準や自賠責基準は、被害者側にとって最も適切な慰謝料金額には遠く及ばないことがほとんどで、

適切な慰謝料の獲得のためには、『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)に記載がある、

裁判基準での請求が必須です。

 

弁護士費用の差し引きを考えても受け取ることができる慰謝料額がUPすることも多いため、一度弁護士に相談することをお勧めします。

 

法的手段を考慮する際の注意点

任意保険未加入で加害者本人と交渉するような場合や、任意保険会社との交渉がうまく行かない場合、法的手段を考慮することもあります。

訴訟を起こすかどうかの判断は慎重に行う必要があり、その際の時間や費用についても考慮する必要があります。

 

弁護士法人小杉法律事務所では被害者の方とご相談の上で、最も良い解決となる道を歩めるよう尽力いたします。

交通事故の慰謝料請求に関して疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士へのお問い合わせはこちらのページから。

 

 

交通事故慰謝料全般についての詳しい解説はこちら。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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