圧迫骨折・体幹骨骨折 神経症状
頸椎損傷(頚椎損傷)|医師監修記事・後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらの記事では、頸椎損傷(頚椎損傷)について整理しています。
なお、本記事は損害賠償請求を専門に取り扱う弁護士小杉による執筆記事となりますが、医学的事項を含むため、医学博士早稲田医師(日本精神神経学会専門医・指導医、日本臨床神経生理学会専門医、日本医師会認定産業医)に記事のご監修をいただいております。
また、「頚」と「頸」の漢字表記につき、近年、日本医学会は印刷標準字体である「頸」の使用を推奨する旨の方針を示していることから、本記事においても日本医学会の方針に則り、「頸」を用いるものとします。この漢字表記については、以下のページにて取り上げておりますので、よろしければご覧ください。
頸椎とは?

人間の背中には、脊柱(俗に背骨と言われる骨)が位置しており、中枢神経である脊髄を保護するのみならず、体幹を支持する役割も担っています。
この脊柱は、多くの骨や軟部組織の連なりによって構成されており、脊柱を構成している骨一つひとつを椎骨と言います。
そして、椎骨は、その位置に応じて頸椎・胸椎・腰椎・仙椎に大別されており、本稿の解説対象である頸椎=首の部分にある椎骨ということになります。
頸椎損傷の原因
頸椎損傷含む脊椎損傷の原因の多くは交通事故、労働災害、高所からの転落といった高エネルギー外傷です。
また、骨粗鬆症などにより骨密度が低下した患者で起きる椎体骨折では、転倒などの比較的軽微な外力により生じる場合や、明らかな受傷機転が不明な場合もあります。
→頸椎含む脊椎の詳細、あるいは脊椎損傷全般についてはこちらの記事で整理しております。
頸椎損傷の症状
損傷した椎骨周囲の強い疼痛が生じ、体動困難になります。
また、脊柱の中を脊髄が通っているという構造上、脊椎損傷を負傷すると、脊髄の損傷を合併することがあります。
上位頸椎(環椎及び軸椎)では脊柱管(脊柱内の脊髄が通っている穴)が広いため脊髄損傷を免れやすい一方、脊髄損傷をきたせば四肢麻痺のみならず重篤な呼吸筋麻痺(呼吸機能障害)が生じる可能性があり、最悪の場合には死に至る恐れもあります。
(今日の整形外科治療指針(第8版)(医学書院)、644頁)
頸椎損傷の種類
⑴上位頸椎と中下位頸椎

椎骨の基本形態は、椎体(右上図の Body の部分)と椎弓から構成され、椎体と椎弓の間には椎孔という穴が開いています。
椎弓には左右に1本ずつの横突起(右上図の Transverse Process の部分)と、後方に棘突起(右上図の Spinous Process の部分)が生えています。
ただし、上位頸椎と呼ばれる第1頸椎(環椎)と第2頸椎(軸椎)は特殊な形態をしており、環椎には椎体と棘突起がなく全体が環状の構造をしていますし、軸椎には上方に突出した歯突起があるのが特徴です。
対して第3~7頸椎は中下位頸椎と呼ばれ、上位頸椎とは区別されます。
⑵上位頸椎損傷
上位頸椎は第1頸椎である環椎と第2頸椎である軸椎からなります。
上位頸椎は解剖学的に外力が直接伝わりにくく、頭部や顔面への外力が頸椎に及ぶことで上位頸椎損傷が生じます。
環椎骨折としては環椎破裂骨折、後弓骨折、外側塊骨折等があります。
軸椎損傷としては、歯突起骨折、軸椎関節突起間骨折(ハングマン骨折、外傷性軸椎すべり症)等があります。
全頸椎損傷の約20%が上位頸椎損傷で、そのうち歯突起骨折が最も多いと言われます。
(今日の整形外科治療指針(第8版)(医学書院)、644頁)
下顎部に衝撃が加わり、後頭環椎部の安定化に寄与する翼状靱帯や歯尖靱帯が断裂すると、後頭環椎脱臼が発生します。きわめて不安定な損傷であり、この損傷での生存例は稀だと言われています。
(標準整形外科学(第15版)(医学書院)、872頁)
⑶中下位頸椎損傷
中下位頸椎とは、C3~C7の頸椎を指しますが、頸椎損傷の好発部位です。
上位頸椎損傷と同様、頭部に加わった外力が頸椎に及ぶことで生じます。
楔状圧迫骨折、破裂骨折、棘突起骨折、前方脱臼骨折、後方脱臼骨折等の骨折態様があります。
前方脱臼骨折や後方脱臼骨折などで後方靱帯複合体の断裂を合併すると、脊髄損傷を引き起こしやすいです。
脊髄損傷
頸椎損傷により脊髄損傷が引き起こされる場合もあります。
脊髄損傷についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
→脊髄損傷|脊髄の損傷範囲と感覚障害の発症にはどのような関係性が?【弁護士解説】
→脊髄損傷|頸髄損傷(頚髄損傷)で現れる症状は?損害賠償請求は?【弁護士解説】
頸椎損傷で認定されうる後遺障害
交通事故で頸椎損傷を負傷し、治療の結果として後遺症が残存してしまった場合に認定される可能性がある後遺障害等級は、次のものが考えられます。
・脊柱の変形障害6級、8級または11級
・脊柱の運動障害(荷重機能障害を含む)6級、8級
※ただし、運動障害6級については頸椎と胸腰椎の両方について可動域制限が残存していることが要件となるため、頸椎損傷のみの場合に認定される可能性は極めて低いと考えられます。
※脊柱の変形障害と運動障害のいずれについても後遺障害に該当する場合は、併合して等級認定をせず、より高い等級をもって脊柱の障害が認定されます。
たとえば、後遺症について、脊柱の変形障害11級と脊柱の運動障害8級に該当すると評価された場合、より高い等級である運動障害8級をもって脊柱の障害と認定される、ということです。
・神経症状12級または14級
→頸椎損傷で認定されうる後遺障害等級の詳細についてはこちらの記事でご確認ください。
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本記事では、頸椎損傷はどのような傷病か、また頸椎損傷と自賠責の後遺障害等級の関係について解説いたしました。
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