圧迫骨折・体幹骨骨折 神経症状
頚椎損傷(弁護士法人小杉法律事務所監修)
こちらの記事では、頚椎損傷について整理しています。
頚椎損傷の原因
頚椎損傷含む脊椎損傷の原因の多くは交通事故、労働災害、高所からの転落といった高エネルギー外傷です。
骨粗鬆症などにより、骨密度が低下した患者で起きる椎体骨折では転倒などの比較的軽微な外力により生じる場合や、明らかな受傷機転が不明な場合もあります。
→頚椎含む脊椎の詳細、あるいは脊椎損傷全般についてはこちらの記事で整理しております。
症状
損傷した椎骨周囲の強い疼痛が生じ、体動困難になります。
上位頚椎では脊柱管が広いため脊髄損傷を免れやすい一方、脊髄損傷をきたせば四肢麻痺のみならず重篤な呼吸筋麻痺が生じえます。
(今日の整形外科治療指針(第8版)(医学書院)、644頁)
頚椎損傷の種類
上位頚椎と中下位頚椎
椎骨の基本形態は、椎体(前側)と椎弓(後側)から構成され、椎体と椎弓の間には椎孔という穴が開いています。
椎弓には左右に1本ずつの横突起と、後方に棘突起が生えています。
ただ、第1頚椎(C1)(環椎)と第2頚椎(C2)(軸椎)は特殊な形態をしており、上位頚椎と呼ばれます。
対して第3~7頚椎は中下位頚椎と呼ばれ、区別されます。
環椎には椎体と棘突起がなく全体が環状の構造をしています。
軸椎には上方に突出した歯突起があるのが特徴です。
上位頚椎損傷
上位頚椎は環椎(C1)と軸椎(C2)からなります。
上位頚椎は解剖学的に外力が直接伝わりにくく、頭部や顔面への外力が頚椎に及ぶことで生じます。
環椎骨折としては環椎破裂骨折、後弓骨折、外側塊骨折等があります。
軸椎損傷としては、歯突起骨折、軸椎関節突起間骨折(ハングマン骨折、外傷性軸椎すべり症)等があります。
全頚椎損傷の約20%が上位頚椎損傷で、そのうち歯突起骨折が最も多いと言われます。
(今日の整形外科治療指針(第8版)(医学書院)、644頁)
下顎部に衝撃が加わり、後頭環椎部の安定化に寄与する翼状靱帯や歯尖靱帯が断裂すると、後頭環椎脱臼が発生します。きわめて不安定な損傷であり、この損傷での生存例は稀だと言われています。
(標準整形外科学(第15版)(医学書院)、872頁)
中下位頚椎損傷
中下位頚椎とは、C3~C7の頚椎を指しますが、頚椎損傷の好発部位です。
上位頚椎損傷と同様、頭部に加わった外力が頚椎に及ぶことで生じます。
楔上圧迫骨折、破裂骨折、棘突起骨折、前方脱臼骨折、後方脱臼骨折(涙滴骨折)等の骨折態様があります。
前方脱臼骨折や後方脱臼骨折などで後方靱帯複合体の断裂を合併すると、脊髄損傷を引き起こしやすいです。
脊髄損傷
頚椎損傷により脊髄損傷が引き起こされる場合もあります。
脊髄損傷についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
→脊髄損傷|脊髄の損傷範囲と感覚障害の発症にはどのような関係性が?【弁護士解説】
→脊髄損傷|頚髄損傷(頸髄損傷)で現れる症状は?損害賠償請求は?【弁護士解説】
認定されうる後遺障害
変形障害、運動障害(荷重障害含む)で6級、8級、11級、神経症状で12級、14級の認定可能性があります。
→頚椎損傷で認定されうる後遺障害等級の詳細についてはこちらの記事でご確認ください。
弁護士に相談を
交通事故や労災事故等の外傷で頚椎損傷を受傷してしまうことがあります。治療費や休業損害、慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、受傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。