後遺障害等級の解説

圧迫骨折・体幹骨骨折 神経症状

頸椎損傷(頚椎損傷)の後遺症|医師監修記事・後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらの記事では、頸椎損傷による後遺症について整理しています。

なお、本記事は損害賠償請求を専門に取り扱う弁護士小杉による執筆記事となりますが、医学的事項を含むため、医学博士早稲田医師(日本精神神経学会専門医・指導医、日本臨床神経生理学会専門医、日本医師会認定産業医)に記事のご監修をいただいております。

また、本稿のタイトルにあるように、漢字表記に「」と「」の2つがありますが、日本医学会が、近年、印刷標準字体である「」の使用を推奨する旨の方針を示していることから、本稿においてもこの日本医学会の方針に則って「」を用いるものとします。漢字表記に関する具体的変遷については、以下のページにて取り上げておりますので、よろしければご覧ください。

髄損傷」と「髄損傷」。漢字が違うが意味も異なるのか?

頸椎とは

脊椎のうち、頸部にあるものを頚椎といいます。

頸椎は7つありますが、上部から下部に向かって、「C」の〇番という風に表記されます。

例えば第1頸椎はC1、第4頸椎はC4、といった具合です。

ただ、C〇と表記したときに、必ずそれが脊椎としての頸椎のことを指すのかどうかは文脈によります。脊椎ではなく、髄節や神経根のことを指してC〇等の表現をすることもありますので、ご留意ください。

髄節や神経根についてはこちらの記事でご確認いただければ幸いです。

頸椎損傷とは

頸椎含む椎骨は、基本的に椎体(前側)と椎弓(後側)から構成され、椎弓には左右に1本ずつの横突起と、後方に棘突起が生えています。

これらのどこかが損傷すれば頸椎損傷ということになります。

椎体だけが損傷することもありますし、椎弓や突起だけが損傷することもあります。

また、椎体の後方に、中枢神経である脊髄が位置している構造であることから、頸椎の破裂骨折や脱臼骨折等が生じた場合、脊髄損傷を合併することもあります

頸椎損傷の分類等について、詳細はこちらの記事でご確認いただければ幸いです。

頸椎損傷の症状

骨折部位に強い疼痛が生じます。

また、脊髄損傷を合併した場合、損傷した高位に応じた領域にしびれや筋力低下といった症状のほか、神経麻痺が発生することがあります。

頸椎損傷の原因

頸椎損傷含む脊椎損傷の原因の多くは交通事故、労働災害、高所からの転落といった高エネルギー外傷です。

ただし、骨粗鬆症などにより骨密度が低下している場合には、転倒などの比較的軽微な外力によって頸椎損傷が生じることもあり、また明らかな受傷機転が不明な場合もあります

頸椎損傷の後遺症で認定されうる後遺障害等級

交通事故で頸椎損傷を負傷し、後遺症が残存した場合、自賠責保険に後遺障害等級の申請を行うことができるときがあります。

頸椎損傷の後遺症で認定される可能性がある等級は、脊柱の変形障害、脊柱の運動障害(荷重機能障害を含む)、神経症状が考えられます。

それぞれの後遺障害等級について、以下で見ていきましょう。

⑴脊柱の変形障害

頸椎損傷や頸椎の骨折等によって頸椎に変形が残存した場合に認定される可能性があります。

別表第二第6級5号 脊柱に著しい変形を残すもの
別表第二第8相当 脊柱に中程度の変形を残すもの
別表第二第11級7号 脊柱に変形を残すもの

脊柱の変形障害の認定方法・基準の詳細はこちらの記事でご確認いただければ幸いです。

なお、椎骨骨折の中でも、横突起・棘突起の局部的欠損や変形にとどまる場合、「脊柱に変形を残すもの」とみなされず、変形障害での認定の対象にはなりません

⑵脊柱の運動障害

頸椎損傷や頸椎の骨折等により、頸椎に可動域制限が残存した場合に等級認定される可能性があります。

ただし、第6級5号については、頸椎と胸腰椎の両方に可動域制限が残存していることが要件となりますので、頸椎のみに可動域制限が残存しているケースにおいては基本的に6級は認定されることはないと考えてよいでしょう。

別表第二第6級5号 脊柱に著しい運動障害を残すもの
別表第二第8級2号 脊柱に運動障害を残すもの

脊柱の運動障害の認定方法・基準の詳細はこちらの記事でご確認いただければ幸いです。

エックス線写真等では脊椎圧迫骨折等または脊椎固定術が認められず、また、項背腰部軟部組織の器質的変化も認められず、単に疼痛を原因として脊柱に可動域制限が残存していると評価される場合は、脊柱の運動障害の等級は認定されず、専ら局部の神経症状(12級か14級)の等級認定がなされます。

⑶脊柱の荷重障害

頸椎損傷や頸椎の骨折等により、頸椎の体幹保持機能が損なわれ、体幹保持が困難になったと認められる場合に認定される可能性があります。

別表第二第6級5号 頸部および腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を要するもの
別表第二代8級2号 頸部または腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を要するもの

荷重障害の認定方法・基準の詳細はこちらの記事でご確認いただければ幸いです。

荷重機能の障害については、その原因が明らかに認められる場合であって、そのために頸部および腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を要するものを別表第二第6級5号として取り扱い、頸部または腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を要するものを別表第二第8級2号として取り扱います。

⑷局部の神経症状

受傷部位に疼痛等が残存した場合に認定される可能性があります。

別表第二第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
別表第二第14級9号 局部に神経症状を残すもの

留意点として、脊柱に変形障害や運動障害が残存し、これらの等級が認定されている場合には、疼痛等の症状について別個に神経症状の等級が認定されることはなく、変形障害や運動障害に通常派生して生じる後遺症としてこれらに含めて評価されます。換言すれば、脊柱の変形障害は「器質的損傷を原因とする脊柱の変形及びそれによって通常に生じる疼痛等の症状」をひっくるめての後遺障害であり、運動障害もまた「器質的損傷を原因とする脊柱の可動域制限及びそれによって通常に生じる疼痛等の症状」をひっくるめての後遺障害である、ということです。

脊髄損傷合併の可能性

頸椎損傷により脊髄損傷が引き起こされる場合もあります。

脊髄損傷についての詳細はこちらの記事をご覧ください。

脊髄損傷|脊髄の損傷範囲と感覚障害の発症にはどのような関係性が?【弁護士解説】

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診断・検査

(標準整形外科学(第15版)(医学書院)、879頁)

⑴画像診断

骨性要素である脊椎骨折の診断と軟部組織損傷である靱帯断裂や椎間板損傷の有無を確認します。

骨折等の損傷については単純X線CT検査が優れており、椎体、椎弓根部、脊柱管、椎間関節、棘突起に異常がないか評価します。

他方、軟部組織の損傷についてはMRI画像検査が適しており、前縦靱帯、椎間板、後縦靱帯、棘間靱帯に着目して異常がないか確認します。

⑵神経学的検査

脊椎損傷では、脊髄損傷の合併の可能性がありますので、神経学的検査を行いその病態を確認することもしばしばあります。

具体的には、四肢・体幹の感覚、筋力、腱反射の異常、球海綿体反射、肛門反射などを調べることがあります。

また、上位頸椎損傷の場合、脳神経系の神経学的所見も調べることが多いです。

弁護士に相談を

交通事故や労災事故等の外傷で頸椎損傷を受傷してしまうことがあります。

治療費や休業損害、慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、

受傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者専門・後遺障害専門の弁護士が無料で法律相談を行っております

交通事故で頸椎損傷や脊髄損傷を負傷してお悩みの方、また交通事故での後遺障害や損害賠償請求についてお悩みの方は、ぜひ一度、弁護士法人小杉法律事務所の無料相談をお受けください。

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。