後遺障害等級一般論 骨折 上肢 下肢 神経症状
骨にひびが入ったときの症状(弁護士法人小杉法律事務所監修)
こちらの記事では、骨にひびが入った場合の症状等について整理しています。
→骨折や骨折後の後遺障害一般についてはこちらの記事で整理しています。
骨折とは
(標準整形外科学第15版(医学書院)、743頁)
骨が何らかの原因によって、その解剖学的な連続性を絶たれた状態を骨折といいます。
骨折を起こすには、骨が全身的あるいは局所的疾患のために病的に弱体化していることを除けば、十分に強い外力が作用することが必要です。
骨のひび(亀裂骨折)について
骨折についての分類は様々ありますが、骨折の程度による分類として、完全骨折、不全骨折、不顕性骨折の3種があります。
完全骨折は骨の連続性が完全に断たれたもの、不全骨折は部分的に骨の連続性が失われたものです。
一般に「骨にひびが入った」というのは、不全骨折に含まれる亀裂骨折のことを指すことが多いと思われます。
亀裂骨折後の症状
骨折部位の痛みや腫脹等の症状が発生します。
認定されうる後遺障害
自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害としては通常、神経症状か機能障害が想定できます。
骨折部位が関節面にあり、症状固定周辺で撮影した画像所見で関節面に凹凸等があれば、神経障害12級か、機能障害(可動域制限あれば)での認定があるかもしれません。
ただ、「ひび」の程度にもよりますが、関節部分に影響を及ぼさない部位(骨幹部等)の骨折の場合、後遺障害認定がなされるとしても痛み等が残った場合の神経症状14級が限界になるのではないかと思われます。
とはいえ、亀裂骨折の存在が画像所見で確認できることは重大な要素、少なくともただの打撲捻挫ではないと主張できますし、慰謝料を計算する場合に適用される表も有利なものに変わってきます。
※事故による骨折が認められる場合、赤本上巻の別表Ⅰにより慰謝料の目安を算出するのが原則だと思われますが、骨折等の器質的損傷がない場合に適用される別表Ⅱよりも算出される慰謝料の目安が高額になります。(2024年版民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)、211~213頁))
X線撮影は当然のこととして、CT撮影等をすべきかどうか、場合によっては主治医の先生と相談すべきでしょう。
→骨折後の慰謝料の目安についてはこちらの記事で整理しています。
神経障害
受傷部位に痛み等の症状が残った場合
別表第二第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
別表第二第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
機能障害
受傷部位(関節)に動きにくさが残った場合
別表第二第8級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
別表第二第10級10号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの→患側の関節可動域が健側の1/2以下に制限されたもの |
別表第二第12級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの→患側の関節可動域が健側の3/4以下に制限されたもの |
弁護士に相談を
交通事故等で骨折を受傷した場合、加害者に対しての損害賠償請求を適切に行うために、骨折の受傷態様や残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集する必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士に是非ご相談ください。