後遺障害等級の解説

脳損傷 神経症状

【高次脳機能障害で寝てばかりになるケース】医師監修|後遺障害等級専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらの記事では、【高次脳機能障害となった後に寝てばかりの状態になってしまうケース】について、医学博士早稲田医師(日本精神神経学会専門医・指導医、日本臨床神経生理学会専門医、日本医師会認定産業医)のもと整理しています。

高次脳機能障害全般についての説明はこちらの記事でご確認いただければ幸いです。

 

高次脳機能障害とは

高次脳機能とは、社会生活を営む人間が発達させてきた、理解する、判断する、論理的に物事を考える等の認知機能で、知覚、言語、記憶、学習、思考、判断、感情等がこれにあたります。

何らかの原因で脳に損傷や機能異常が生じれば、高次脳機能に障害が発生する可能性があります。

 

寝てばかりの状態に関連する症状

高次脳機能障害による症状は多彩ですが、注意障害や社会的行動障害が発生すると、寝てばかりの状態になってしまう可能性があります。

他方、重度の脳損傷を伴う高次脳機能障害や、脳損傷により同時に身体性機能障害を発症した場合、物理的に起き上がるのが難しくなりますので、そういう意味では寝てばかりの状態に陥ります。

高次脳機能障害の症状についての詳細はこちらの記事をご覧ください。

身体性機能障害については頭蓋骨骨折の記事でまとめております。

 

注意障害

物事に集中できない、または集中する持続力の低下、周りに注意を払えない状態です。

 

社会的行動障害

易怒性、意欲がわかない、特定のものに固執するなどがあり、社会でうまく生きていくことが阻害される状態です。

意欲が無く何事も手につかず家に引きこもるという形で症状が出る方もいらっしゃいます。

物事に集中できない、集中する持続力が低下する等の症状は注意障害、意欲がわかない症状は社会的行動障害にそれぞれ含まれますので、これらの精神障害が影響で寝てばかりの状態になってしまう可能性があります。

 

疲れやすさの原因になることも

何かに取組んでもすぐに疲れてしまい続かないというのは、高次脳機能障害による注意障害が原因かもしれません。

肉体的な疲労ではなく、脳機能が障害されることによる疲れやすさです。

 

高次脳機能障害の後遺障害等級について

後遺障害等級

頭部外傷後の高次脳機能障害について、自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害を整理すると以下のようになります。

高次脳機能障害の等級認定に必要な検査や書式等についてはこちらの記事でご確認ください。

別表第一第1級1号 「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」をいい、「身体機能は残存しているが高度の痴ほうがあるために、生活維持に必要な身のまわり動作に全面的介護を要するもの」もこれにあたります。
別表第一第2級1号 「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」をいい、「著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている状態です。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの」がこれにあてはまります。
別表第二第3級3号 「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもの」をいい、「自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない場合です。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える状態です。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの」がこれに該当します。
別表第二第5級2号 「高次脳機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの」をいい、「単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題があります。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの」がこれに該当します。
別表第二第7級4号 「高次脳機能障害のため、軽易な労務にしか服することができないもの」をいい、「一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの」がこれに該当します。
別表第二第9級10号 「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」をいい、「一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの」がこれに該当します。

 

高次脳機能障害の慰謝料請求や後遺障害等級認定については専門の弁護士に相談を

後遺症専門弁護士小杉晴洋

交通事故等で頭部外傷を負い外傷性の高次脳機能障害を受傷した場合、加害者に対しての損害賠償請求を適切に行うためには、受傷態様や残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集する必要があります。弁護士法人小杉法律事務所では、高次脳機能障害の慰謝料請求や後遺障害等級認定について無料相談を実施していますので、所属弁護士に是非ご相談ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。