後遺障害等級の解説

脳損傷

高次脳機能障害と家族のストレス|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらのページでは、高次脳機能障害の後遺症を残す方の家族が直面するストレスの実態を解説しております。

そもそも高次脳機能障害とは何か?

高次脳機能障害の定義と原因

高次脳機能」という言葉は耳慣れないかと思いますが、端的に表すならば、言語や行為、認知、記憶、注意、判断等といった、人間が日常生活や社会生活を営む中で発達させてきた機能のことをいいます(他方、食べるや歩くなど、人間が生物として元来持っている脳機能のことを低次脳機能といいます。)。そして、高次脳機能障害とは、交通事故等による頭部外傷や、脳梗塞や脳出血等の脳血管障害などを原因として、これらの社会的機能に障害が生じることのことを指します。

よく見られる症状

高次脳機能障害の症状は多岐にわたり、日常生活に大きな負担をもたらします。

注意障害では、注意を適切に向けることが難しくなり、一つのことに集中することや、複数のことに注意を分配すること等に支障が生じます

記憶障害では、記憶の3段階である記銘・保持・想起が障害され、新しいことが覚えられなくなったり、思い出すことができなくなったりします。そのため短期記憶が困難になりやすく、場所を間違えたり、約束を忘れたりすることがあります。

さらに、遂行機能障害により、物事を段取り良く進めることができなくなることもあります。これにより、目標設定や計画の立案・実行、効率的に行動することに困難が生じます。具体的には、約束やタスクを時間内に終えることが難しくなったり、計画的な買い物ができず浪費してしまう、また予定外のことに対応できなくなるなどがみられます。

加えて、社会的行動障害が生じると、感情を適切にコントロールすることができなくなります。感情を抑えられなくなって怒りやすくなり(易怒)すぐに暴力をふるってしまったり、一つの物事に対して異常なこだわりを持ってしまったり、或いは自発性が低下し他人や物事に興味を抱かなくなるなどがみられます。これらの症状のため、家族や友人、会社の同僚などとの人間関係にも影響が及ぶ可能性が大いにあります。

また、空間認知力障害が生じることもあり、このとき、視覚的な空間を正しく認識することに困難が生じます。その一つに半側空間無視が挙げられ、これは片方の空間にあるものを見落としてしまう症状です。たとえば、左側に置いてあるおかずを食べない、右側の電柱にぶつかってしまう、段差があることに気付かずつまずいてしまうなどがみられます。

家族が直面するストレスの実態

前述した高次脳機能障害の症状は、障害を持つ人だけでなく、家族にも心理的負担をもたらし、家族にとって多大なストレスを引き起こす原因となります。障害の患者と生活を共にする家族は、通常の生活以上に様々な負担を強いられます。特に、日常生活で生じる介護の負担や心理的なストレスは大きく、これに対処するための支援が求められています。

心理的ストレスと介護負担

高次脳機能障害を持つ家族との生活は、しばしば介護における困難を伴います。特に、患者の注意障害や記憶障害は、家族にとって日々の生活の中で予期せぬ出来事に対応しなければならない負担を増加させます。たとえば、注意障害がある場合には、情報を整理して簡潔に伝えないと上手く伝わらなくなったり、社会的行動障害がある場合には患者をむやみに責めたりせず、問題が起きるパターンを分析して予防できないかを考えていくなどの負担が考えられます。また、高次脳機能障害の程度によっては、これまで自分でできていた体調管理や金銭・持ち物の管理、通勤・通学の行き帰りといったことについても家族が目を配る必要が生じます。

こうした負担から、介護を担う家族の多くが「介護うつ」になってしまう可能性も否定できないものとなっています。家族は新たな役割の獲得や、日常生活の質を維持するために多大な努力を求められ、これが心理的なストレスの大きな要因となっています

社会的な支援不足

高次脳機能障害の家族が抱える問題は、個人や家庭の努力だけでは解決できません。社会的な支援が不足しているために、家族が孤立感を感じることが多いです。特に、医療機関からの情報提供不足や、障害に対する誤解がまだ多く残っている現状では、十分な支援が行き届いていないことが問題になっています。

ストレス軽減に向けた家族の取り組み

同じ境遇の家族との交流

高次脳機能障害を抱える家族にとって、同じ境遇の人々と交流することは、ストレス軽減に大変効果的です。家族会への参加は、有益な情報交換の場となり、お互いの経験や知見を共有することで、心の支えとなります。ある特定の困難な状況に直面したときに、同じ体験を持つ人々と話すことで、孤独感が和らぎ、障害に対する理解や対処法を学ぶ機会を得られます。このようなネットワークは、家族が感じる負担を和らげ、精神的な安定をもたらします。

専門家によるサポート

専門家によるサポートも、家族が抱えるストレスを軽減する鍵となります。高次脳機能障害に対する理解を深めるためには、ケアマネージャーや社会福祉士、そして心理カウンセラーの協力が欠かせません。専門家のアドバイスを受けることで、介護における負担の軽減や、障害者とのコミュニケーションの方法を学ぶことができます。また、医療機関からのサポートを得ることで、必要な医療サービスや福祉サービスが受けられるようになります。このような専門家チームによる支援は、家族の生活の質を向上させ、長期的な介護における負担軽減に寄与します。

家族のメンタルヘルスケア

高次脳機能障害を持つ家族を支える方々にとって、メンタルヘルスケアは非常に重要な要素です。家族は、日々の介護の負担やストレスから、心身ともに疲弊することがあります。そのため、自己の心の健康を保つための取り組みが不可欠です。定期的に趣味やリフレッシュの時間を持つ、必要に応じてカウンセリングを受けることなどが推奨されます。また、心理的な支援を受けられる場所を探し、積極的に利用することが大切です。

おわりに

本稿では、高次脳機能障害の患者と向き合う家族のストレスについて解説いたしました。

交通事故によって高次脳機能障害が生じた場合、被害者の家族は、これまでに述べてきたような対応に加え、通院治療の付き添いや、交通事故の相手方又は相手方の保険会社とのやり取りなども行わなければならないような状況となり、考えることも多くなるなど、肉体的にも精神的にも非常につらくなります。また、お怪我をされたのが家計を支える大黒柱の方であったり、小さなお子様であったときには、将来どうなってしまうのかといった不安が生じることもあるでしょう。加えて、今後適切な賠償を受けることはできるのかといった懸念も生じるかと思います。

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者専門・後遺障害専門弁護士による無料相談を実施しております

また、保険会社との連絡や示談交渉はもちろん、自賠責保険への後遺障害の申請対応、適切な等級が認定されなかった場合の異議申立や紛争処理の申請対応なども行っております。

加えて、自賠責への請求に際しては、後遺障害診断書や「脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書」などの作成にあたっての病院とのやり取りや、「日常生活状況報告」などの書類作成に関するアドバイスなどにつきましても、

これまでの経験やノウハウに基づき、後遺障害等級獲得に向けてサポートしてまいります

なお、これまで小杉法律事務所では、以下のような多くの高次脳機能障害の案件の解決実績がございます。

【高次脳機能障害】医師の意見書により交通事故との因果関係を繋げ自賠責4級の判断を裁判で1級に変更

【高次脳機能障害】①約2200万円の示談提示⇒約8300万円で解決。②介護状況を具体的に立証し、自賠責3級認定を裁判で2級獲得

【高次脳機能障害】医師の意見書が決め手となり、賠償金約2.5億円獲得

交通事故骨折→自賠責非該当判断→弁護士異議申立て→高次脳機能障害1級→1.4億賠償

【高次脳機能障害】保険会社の申請12級⇒弁護士の異議申立て⇒【後遺障害等級5級】に変更

ご家族の方が交通事故で高次脳機能障害を負われた、今後どうなるのか不安でいっぱい、…

お悩みの方は、ぜひ一度、弁護士法人小杉法律事務所の無料相談をお受けください。

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また、高次脳機能障害全般につきましては以下のページで解説しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。

【高次脳機能障害】医師監修|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。