後遺障害等級の解説

後遺障害等級一般論

自賠責の後遺障害第13級の金額と認定のポイントは?|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらのページでは、自賠責の後遺障害等級表で定められている後遺障害等級のうち、第13級に定められているものについて解説しております。

自賠責の後遺障害等級第13級の等級一覧と金額

自動車損害賠償保障法施行令における後遺障害等級表別表第二には、第13級の等級として、以下の1~11号の後遺障害等級が定められています。

なお保険金額について、単独認定・併合認定問わず、最終等級が第13級の時に支払われる保険金額は139万円です。

⑴別表第二第13級1号 一眼の視力障害

1眼の視力が0.6以下になったもの」に該当する場合に認定されます。

なお、ここでいう「視力」とは矯正視力をいい、測定方法については原則として万国式試視力表(ランドルト環を用いたもの)によるものとされています。

視力障害の後遺障害等級認定基準|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

⑵別表第二第13級2号 眼球の運動障害

正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの」に該当する場合に認定されます。

障害等級表における「複視の症状を残すもの」とは、次の( i )~(iii)のいずれにも該当するものをいいます。

( i )本人が複視があることを自覚していること

(i i)眼筋の麻痺等複視を残す明らかな原因が認められること

(iii)ヘススクリーンテストにより患者の像が水平方向又は垂直方向の目盛で5度以上離れた位置にあること

なお、複視によっては性的に頭痛などの神経症状が生じることがありますが、これらについては、別途の後遺障害として評価されない運用となっています。

眼球の運動障害の後遺障害等級認定基準|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

⑶別表第二第13級3号 1眼の視野障害

1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの」に該当する場合に認定されます。

視野の測定にあたっては、ゴールドマン型視野計が用いられ、この測定結果に基づき視野障害の認定判断が行われます。具体的には、V/4視標による8方向の視野の角度の合計が、正常視野の角度の60%以下になっていることが要件とされています。日本人の視野の平均値は8方向で560度となりますので、視野欠損による視野の角度の合計が、この平均値の60%である336度以下となれば等級認定されることとなります。なお、暗点については絶対暗点を採用し、比較暗点は採用しないとされています。

また、「半盲症」とは、視神経繊維が視神経交叉又はそれより後方において侵されるときに生じるものであり、注視点を境界として両眼の視野の右半部又は左半部が欠損するものをいうとされています。「視野狭窄」は、視野周辺の狭窄をいい、同心性狭窄と不規則狭窄があります。「視野変状」は、ここにおいては暗点と視野欠損をいいます。

視野障害の後遺障害等級認定基準|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

⑷別表第二第13級4号 両眼瞼の欠損障害

両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」に該当する場合に認定されます。

「まぶたの一部に欠損を残すもの」とは、閉瞼時に角膜を完全に覆うことができるが、球結膜(白目)が露出している程度のものをいいます。

また、「まつげはげを残すもの」とは、まつげ縁(まつげが生えている周縁)の2分の1以上にわたりまつげのはげを残すものをいいます。

⑸別表第二第13級5号 歯牙障害

5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」に該当する場合に認定されます。

「歯科補綴を加えたもの」とは、以下のような場合が該当します。

a 現実に喪失(抜歯を含む)又は著しく欠損した歯牙(歯冠部の体積4分の3以上を欠損)に対して補綴したもの

b 歯科技工上、残存歯冠部の一部を切除したために歯冠部の大部分を欠損したものと同等な状態になったものに対して補綴したものをいいます。

また、補綴の具体例としては、抜歯後の入歯や架橋義歯(ブリッジ)、合金やレジン等による欠損部分の補完が挙げられます。

そして、補綴された歯数として算入するかどうかについては、厳密なルールが定められています。

入歯やブリッジを補綴した場合における支台冠又は鈎の装着歯やポストインレーを行うにとどまった歯牙は、補綴歯数には算入されません。また、第3大臼歯(親知らず)も認定の対象とはなりません。

加えて、事故時において既に補綴した歯があった場合、これを既存障害として扱い、事故後に歯科補綴を加えた歯を加重することとなります。

たとえば、事故前に3歯に補綴をしていた人が、事故後に更に2歯に歯科補綴を加えた結果、補綴歯数が5歯になった場合、加重後の等級である第13級の保険金額(139万円)と、既存障害(3歯の歯科補綴)の等級である第14級の保険金額(75万円)の差額である64万円が支払われます。

⑹別表第二第13級6号 手指の機能障害

1手の小指の用を廃したもの」に該当する場合に認定されます。

「用を廃したもの」とは、具体的には以下のものをいいます。

a 手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの

b 中手指節関節(MP)もしくは近位指節間関節(PIP)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

c 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したもの

手指の機能障害の後遺障害等級認定基準|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

⑺別表第二第13級7号 手指の欠損障害

1手の親指の指骨の一部を失ったもの」に該当する場合に認定されます。

「指骨の一部を失ったもの」とは、親指では指節間関節(IP)以上、その他の指では近位指節間関節(PIP)以上で指を失ったものをいいます。

手指の欠損障害の後遺障害等級認定基準|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

⑻別表第二第13級8号 下肢の短縮障害

1下肢を1センチメートル以上短縮したもの」に該当する場合に認定されます。

下肢の短縮については、下肢長(上前腸骨棘と下腿内果下端の間の長さ)を測定し、健側と比較してどのくらい短縮したかを算出します。エックス線写真のフィルムを貼り合わせる方法や、ロールレントゲンで撮影し1枚のフィルムに収める方法があります。

また、短縮とは異なりますが、小児の骨折などでは、骨折を契機として逆に成長が促進され、骨折した側が健側と比較して長くなってしまう過成長の障害が生じることがあります。過成長についても、短縮の場合に準じ、健側の長さと比較しその程度に応じて相当等級が認定されます。

⑼別表第二第13級9号 足趾の欠損障害

一足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの」に該当する場合に認定されます。

具体的には、中足指節関節(MTP)以上を失ったものをいいます。ただし、基節骨の一部を残したとしても、足指を付け根から失った場合には、「足指を失ったもの」として取り扱われます。

⑽別表第二第13級10号 足趾の機能障害

1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの」に該当する場合に認定されます。

「足指の用を廃したもの」とは、具体的には以下のものをいいます。

a 第1趾の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの

b 第1趾以外の足指を中節骨もしくは基節骨を切断したもの又は遠位指節間関節(DIP)もしくは近位指節間関節(PIP)において離断したもの

c 中足指節関節(MTP)又は近位指節間関節(PIP 第1趾にあっては指節間関節(IP))の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されるもの

足指の機能障害の後遺障害等級認定基準|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

⑾別表第二第13級11号 胸腹部臓器の障害

胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」に該当する場合に認定されます。

具体的には、以下のものが該当します。

a 胸腹部臓器について、胃の切除によって胃の噴門部(入口部分)又は幽門部(出口部分)を含む胃の一部を失ったもの

b 胸腹部臓器について、胆嚢を失ったもの

c 胸腹部臓器について、脾臓を失ったもの

d 泌尿器について、一側の腎臓を亡失し、糸球体濾過値(GFR値)が90㎖/分より大きくなったもの

e 泌尿器について、糸球体濾過値(GFR値)が70㎖/分超~90㎖/分以下であるもの

⑿相当等級として第13級相当と認められるもの

自賠責は、以下の後遺障害について、政令別表第二備考6を適用し、別表第二第13級相当として取り扱っています。

a 生殖器について、一側の睾丸を失ったもの(一側の睾丸の亡失に準ずべき程度の萎縮を含む。)

b 生殖器について、一側の卵巣を失ったもの

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。