治療費
交通事故の治療費、自己負担を避けるためのポイント
2024.11.22
このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
- 交通事故の治療費は誰が支払う?
- 治療費支払の基本的な流れ
- 自己負担を避けるための注意点
- 過失割合と治療費の関係
- 治療費の請求が打ち切られた場合の対処法
などについて解説します。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が交通事故発生から解決までをサポートさせていただきます。
初回無料の法律相談は無料となりますのでぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
交通事故発生から解決までの流れについてはこちらのページから。
交通事故の治療費は誰が支払うのか?
交通事故が発生した場合、治療費の支払いに関する問題は避けて通れない重要なポイントです。
基本的に、交通事故における怪我の治療費は加害者の負担とされています。
民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
治療費は事故に遭ったことで生じる損害ですから、加害者側が賠償する義務を負います。
より具体的には、加害者が加入している任意保険会社が直接病院に治療費を支払う「一括払い対応」が一般的に行われています。
加害者の負担と保険会社の対応
交通事故での治療費は、加害者側が負担すべきものとされており、加害者が任意保険に加入している場合、その保険会社が治療費を病院に直接支払うケースが多いです。
被害者が直接治療費を負担する必要は基本的にありません。
しかし、保険会社によっては支払い方法や対応が異なることがあるため、事故後すぐに保険会社と被害者の間で治療費に関する話し合いを始めることが推奨されます。
被害者の立て替えと健康保険の利用
時には、被害者が一旦治療費を立て替える必要がある場合もあります。
この場合、健康保険を利用することで自己負担額を抑えることが可能です。
ただし、健康保険の利用は注意が必要で、被害者に過失がある場合や加害者が任意保険に未加入である場合などには有効な選択肢となります。
健康保険を利用する際には、特に医療機関や保険会社にその旨を伝えておくことでスムーズな処理が期待できます。
とはいえ、健康保険が利用できないケースや、後述するような利用によるデメリットもありますので注意が必要です。
治療費支払いの基本的な流れ
交通事故によって発生する治療費の支払いについては、被害者と加害者の両方が関与する基本的な流れがあります。
この流れを理解することは、自己負担を避けるために非常に重要です。
加害者側の保険会社への請求方法
交通事故の治療費は、原則として加害者側が負担します。
多くの場合、加害者が加入している任意保険会社が、その費用を直接病院へ支払う「一括払い対応」が取られます。
この方法により、被害者は治療費を立て替える必要がありません。
この請求を適切に行うためには、まず事故発生後直ちに加害者に保険会社を通じて通知し、治療を受ける医療機関に加害者側の保険情報を伝えることが重要です。
被害者請求とその手順
被害者が保険会社経由で治療費の支払いを受けられない、または立て替える必要がある場合、自ら請求を行う手段があります。
加害者の自賠責保険に直接請求を行う「被害者請求」という方法です。
この方法には、必要書類の準備や保険会社とのやり取りが含まれますが、自ら手続きをすることでスムーズな支払いを受けられる可能性があります。
また、仮渡金請求をすることで早期に一部の費用を受け取ることも可能です。
この手続きを円滑に進めるためには、専門家である弁護士のサポートを受けることも一つの選択肢です。
自己負担を避けるための注意点
治療費を立て替えた場合のリスク
例えば、加害者が無保険(任意保険未加入)で支払い能力に問題があったり、保険会社が過失割合を理由に治療費一括対応を拒否したりする場合があります。
この場合には被害者側が一度自費で治療費を負担し、治療が終了したタイミングでまとめて相手に請求するという形を取ることが多いです。
この自費での通院は単純に治療費や通院交通費が被害者にとって負担になるだけでなく、
支払った治療費についての十分な賠償が得られない可能性もあります。
リスクを考えれば通院をしない方が良いという判断になることも想定されますが、
入通院慰謝料は通院日数や通院期間を基に計算がされることや、
後遺症が残るような事案では適切な治療を当初から受けていたかどうかが重要な判断要素になることが多いため、
通院が少ないあるいはないといった事情は被害者にとってかなり不利に働きます。
泣き寝入りをしないためにも、治療初期に弁護士に相談してどう進めていくべきかのアドバイスを受けることが重要になります。
健康保険を使った際のメリットとデメリット
交通事故の治療費において健康保険を使用することも一つの方法です。この方法にはいくつかのメリットがあります。
厚生労働省からの通達「犯罪被害や自動車事故等による傷病の保険給付の取扱いについて」(平成23年8月9日保保発0809第3号)でも、
交通事故被害で治療を行う場合に健康保険を使えるとされています。
例えば、健康保険を使用することで自己負担が軽減され、特に被害者の過失割合が大きい場合や加害者が任意保険に未加入の場合に役立ちます。
ただし、健康保険を使う際は、加害者や保険会社との対応が煩雑になることがあります。
また、自賠責保険に対して後遺障害等級認定の申請を行う場合に主治医に作成いただく後遺障害診断書などは自賠責の定める様式でなければなりませんが、
健康保険を利用した場合には病院がその作成を拒否する場合があります。
保険会社や病院、弁護士と相談しながら進めていくことをおすすめします。
過失割合と治療費の関係
交通事故において、被害者の治療費の負担は通常、加害者が担うことになりますが、過失割合によって異なる場合があります。
過失割合とは、事故における加害者と被害者それぞれの過失の度合いを示すもので、この割合によって治療費やその他の賠償義務が変動します。
治療費請求における過失割合の確認は、被害者が適切に治療費を補償されるために非常に重要です。
過失相殺が治療費に与える影響
過失相殺とは、被害者にも一定の過失がある場合に、その過失分を差し引いて賠償額が決定される仕組みです。
例えば、被害者の過失割合が20%の場合、治療費の80%しか補償されないというケースが起こり得ます。
このため、過失割合が高いほど被害者の自己負担が増えるリスクがあります。
この自己負担が増えるというのは、相手方保険会社による治療費の一括対応がされないという場合を除いて、
被害者の手出しが発生するというわけではなく、治療費が他の費目の一部に食い込んでくるということです。
例えば治療費が10万円、慰謝料が10万円で、被害者の過失が20%である場合を考えます。
このとき被害者に発生した総損害は20万円ですが、そのうち20%は被害者の過失分ですから、
相手方からの賠償を受けられるのは過失分の4万円を差し引いた16万円になります。
ただし、治療費一括対応中に治療費の10万円については既に支払済みですから、
この16万円から既に支払われた治療費10万円をさらに差し引いた6万円が最終支払額となります。
慰謝料単独で考えた場合は10万円×80%=8万円で、本来受け取れる慰謝料は8万円でしたが、
治療費が既に支払われている関係で一部慰謝料に食い込んできています。
このように過失割合が大きくなると本来受け取れるはずだった金額が減少します。
過失割合は双方の協議や保険会社の判断によって決まるため、被害者としては正確な事故の状況を記録し、必要に応じて弁護士に相談することが重要です。
弁護士を通じて過失割合が適切に算定されると、より有利な示談交渉が可能となるでしょう。
治療費の一括対応が打ち切られた場合の対処法は弁護士に相談しましょう
直ちに治療を中止すべきかの判断基準
交通事故の治療において、保険会社から治療費の支払を打ち切ると通達されることがあります。
このような場合、直ちに治療を中止すべきかどうかは慎重に判断する必要があります。
まず、医師の意見をしっかりと確認することが重要です。
医師がまだ治療が必要だと言う場合にはその意見を保険会社に伝え、治療費継続の必要性を交渉をすべきです。
また、交通事故治療の延長が正当だとされる証拠を集めることも効果的です。
ここで重要なのは、被害者自身の判断で治療を中止せず、専門的な意見に従うことです。
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自費負担の治療を続ける場合、その後の請求も念頭に置き、領収書や診療明細書を必ず保存しておくことが必要です。
交通事故において、弁護士は非常に重要な役割を果たします。
弁護士は被害者の代理人として、法律的知識を駆使して保険会社との交渉を進めます。
特に、慰謝料や治療費の請求に関する複雑な問題において、弁護士の専門的なサポートは大きな助けとなるでしょう。
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交通事故発生から解決までをサポートさせていただきます。
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