後遺障害等級が認定された場合に支払われる金額が知りたい!(自賠責・労災・スポーツ振興センターの後遺障害)
後遺障害
単刀直入にお答えします。
後遺障害等級が認定された場合に支払われる金額は、
交通事故なのか、労災なのか、それとも学校事故なのかで異なります。
交通事故の場合は自賠責から自賠責保険金が、
労災の場合には労働基準監督署から障害(補償)給付が、
学校事故の場合には日本スポーツ振興センターから障害見舞金がそれぞれ支払われることとなりますが、
規定されている支払額はそれぞれで異なっています。
順にみていきましょう。
まず、交通事故で後遺障害が認定された場合です。下表をご覧ください。
自賠責では、後遺障害の程度や、労働能力及び日常生活等への影響の大きさ等に基づいて第1級~第14級までの14等級が定められています。
また、とりわけ介護を要する後遺障害については別表第一に別枠で規定されており、
具体的には、別表第一第1級は常時介護を要する後遺障害、別表第二第2級は随時介護を要する後遺障害とされています。
さて、自賠責保険金から支払われる金額は中列のとおりです。
たとえば第10級が認定された場合には、基本的には自賠責から461万円が支払われることとなります。
また、損害賠償請求との絡みの話にはなりますが、保険金受領額全額が損益相殺の対象となります。
相殺の方法については、民法491条1項に定められるとおり、まず遅延損害金に充当され、残部がある場合に元本である請求額に充当するのが基本ですが、
示談交渉などの訴外においては、実務上、請求額から全額控除されることが殆どです。
次に、労災で後遺障害等級が認定された場合については、下表のとおりとなります。
自賠責保険と比べると、やや複雑になりますね。
労災で後遺障害等級が認定されると、3種類のお金が支払われるということになります。
すなわち、①障害(補償)等給付、②障害特別支給金、③障害特別年金(又は障害特別一時金) の3つです。
たとえば第5級が認定されたケースで考えますと、
①給付基礎日額184日分の障害年金、②225万円の障害特別支給金、③算定基礎日額184日分の障害特別年金 の給付がなされることとなります。
このとき、②については一時金なので初回給付時に全額が支払われますが、①と③は年金なので年間を通してこの額が支払われます。
また、第9級が認定されたケースですと、
①給付基礎日額の277日分の障害一時金、②50万円の障害特別支給金、③算定基礎日額277日分の障害特別一時金 の給付がなされます。
このときは、①~③すべてが一時金となりますので、等級認定後の給付時にこれら全額が支払われます。
そして、労災の給付もまた、自賠責と同様に損益相殺の対象となります。
ただし損益相殺にあたり留意すべき点があり、損益相殺の対象となるのは①障害(補償)等給付のみであり、②と③は損益相殺の対象とはなりません。
最後に、学校事故で後遺障害等級認定がなされた場合です。下表にまとめました。
日本スポーツ振興センターから支払われる金額は、基本的には上段の金額となります。
ただし例外的に、通学中及びこれに準ずる場合の事故が原因であると認められた場合には、下段の※に示す金額が支払われます。
例えば、体育の授業中に上腕骨を骨折し、上肢に残存した痛みの後遺症について12級が認定されたとしますと、225万円が支払われますが、
他方、登校中に車にはねられて後遺症を残存し、12級が認定された場合には、112万5000円が支払われることとなります。
ここで、一つの疑問が湧く方がいるかもしれません。
「登下校中の交通事故の場合だと、スポーツ振興センターと自賠責の両方からお金を払ってもらえるのでは?」と。
こちらについて、結論から申しますと、
スポーツ振興センターの障害見舞金と自賠責保険金の両方に請求することはできますが、両方から給付を受けること(二重取り)はできません。
そのため、自賠責から先に保険金の支払いを受けていたときには、その保険金額を超える部分についてのみスポーツ振興センターから支払われます。
例:下校中の交通事故につき自賠責から12級の認定を受け224万円を受け取った後、スポーツ振興センターで12級が認定された場合
→スポーツ振興センターから払われる金額は112万5000円ですが、自賠責から既にそれを超える額の支払を受けているため、給付はなされません。
そして、自賠責や労災と同様に、スポーツ振興センターの障害見舞金も損益相殺の対象となります。
本ページでは、交通事故の自賠責保険金、労災給付、学校事故のスポーツ振興センター障害見舞金の支払基準についてみてきました。
支払基準はそれぞれ異なるものでしたが、共通していることもあります。
それは、請求手続きが煩雑であることです。
自賠責、労災、スポーツ振興センター、いずれを請求するにしても、
後遺障害診断書などの請求に必要な書類の取り付けは基本的に被害者が行うこととなり、手間がかかる面が大きいです。
どのような書類を集めたらいいのかわからない、どこに書類を出せばいいのだろうか?
請求手続きを行う上で疑問が浮かぶこともあるのではないでしょうか。
後遺障害についての請求でお悩みの方は、
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