【交通事故】後遺障害診断書修正により14級認定(腰痛)|弁護士解説
交通事故被害者Bさん 30代・男性・自営業・福岡県古賀市
交通事故 後遺症・後遺障害
交通事故で腰椎捻挫の被害を負ってしまったBさん(福岡県古賀市)。
リハビリ治療を続けましたが、腰痛が後遺症として残ってしまいます。
ところが、後遺障害診断書に「腰痛」の症状が書いておらず、このままでは後遺障害等級認定がなされません。
この事例において弁護士小杉晴洋と木村治枝がどのように解決したかを解説していきます。
当事務所では、ご自身の負った交通事故での怪我が後遺障害等級何級になるのかについて無料査定を行っております。気になる方は、\後遺障害等級無料査定/のページをご覧ください。
この事例の後遺障害等級認定のポイント
- むち打ちの後遺障害等級認定の把握
- 医療照会でダメなら医師面談
- 後遺障害診断書の適切な修正
事例紹介
被害者Bさんは、福岡県古賀市にて交通事故被害に遭い、腰椎捻挫の傷害を負ってしまいます。
腰痛の症状を負っていますと、仕事にも支障が出るため、懸命にリハビリ治療をして完治を目指しました。
しかしながら、急性期よりは腰痛の症状はよくなったものの、半年間の通院を経ても、腰痛の症状が完治することはありませんでした。
Bさんは、以前にも交通事故被害に遭ったことがあり、その際、弁護士小杉に解決を依頼していましたので、今回も小杉法律事務所に法律相談することにしました。
弁護士小杉晴洋・木村治枝による無料相談と依頼
加重障害(既存障害)
Bさんは、過去の交通事故で弁護士小杉に依頼した際、自賠責より後遺障害等級認定を受けていました。
自賠責保険は、過去に後遺障害等級認定を出していた場合、同一の部位については、再度同じ後遺障害等級認定をしてくれません。
そこで、過去の後遺障害診断書や後遺障害等級認定票と、今回の交通事故によるBさんの症状とを突き合わせて、再度の後遺障害等級認定を受けられるかどうか検討しました。
そうしたところ、「腰痛」については、過去の後遺障害等級認定がなされていなかったため、今回の交通事故では「腰痛」の症状で後遺障害等級認定を狙うという方針にしました。
むち打ち(頚椎捻挫・腰椎捻挫)の後遺障害等級認定
交通事故(人身事故)において、最も多い診断は「むち打ち」とされています。
むち打ちというのは、首や腰の痛みについての名称で、診断名としては、頚椎捻挫・腰椎捻挫・外傷性頚部症候群・頚部捻挫・腰部捻挫などで表されることが多いです。
交通事故でむち打ちとなり、首の痛みや腰の痛みが残ってしまったという事例では、後遺障害等級12級13号か14級9号の認定が考えられます。
Bさんの事例では、特に脊髄の圧迫や神経根の圧迫に基づく症状が見られませんでしたので、後遺障害等級14級9号の認定を目指すことになりました。
依頼(父の弁護士費用特約あり)
Bさん自身は、弁護士費用特約には加入していませんでしたが、Bさんのお父様が弁護士費用特約に加入しており、その特約を利用して依頼を受けることになりました。
交通事故被害に遭われた場合、その交通事故に遭った車に弁護士費用特約が付いているかどうかを確かめるのはもちろんですが、ご家族の車やバイクの弁護士費用特約が使えることもありますし、火災保険・家財保険・クレジットカードの保険などに付いている弁護士費用特約が使えることもありますので、弁護士に法律相談する前に、ご自身やご家族の保険内容をチェックしておくようにしましょう。
分からなければ、保険会社や保険代理店に確認するか、また、保険証券をご持参いただければ弁護士の方で確認することも可能です。
後遺障害診断書の修正
後遺障害診断書に「腰痛」の記載がない
Bさんは、福岡市東区の整形外科にて後遺障害診断書を書いてもらい、それを小杉法律事務所に送ってくれました。
弁護士木村治枝が送ってくれた後遺障害診断書を確認したところ、傷病名(診断名)には「腰椎捻挫」の記載があるものの、自覚症状欄に「腰痛」の記載がありません。
自賠責の後遺障害等級認定というのは、自覚症状欄の記載から始まります。
すなわち、自覚症状欄に書いてある症状について、それが後遺障害等級に該当するか否かの審査をするわけです。
従いまして、自覚症状欄に書いてない症状については、後遺障害等級に該当するかどうかの審査すらしてもらえません。
弁護士小杉と木村とで協議した結果、後遺障害診断書を修正してもらうという方針にしました。
医療照会による後遺障害診断書の修正
当時はコロナ禍ということもあり、医師面談に消極的な病院も多く存在したため、ひとまず医療照会を行って後遺障害診断書の修正をお願いすることにしました。
ところが、福岡市東区の整形外科医からの回答は、後遺障害診断書自覚症状欄への追記は認められないという回答でした。
診断書の作成というのは医師の専権事項ですので、我々弁護士の意見どおりに記載するべきというのは間違った見解ではあるのですが、ただ、Bさんの事例における後遺障害診断書の修正依頼というのは、あくまで「自覚症状欄」についてのものです。
文字どおり「自覚」症状なのですから、患者さんが自覚する症状について記載がなされるべきで、弁護士小杉と木村で協議した結果、自覚症状欄に「腰痛」という2文字を追記してもらうべく医師面談を実施することにしました。
医師面談による後遺障害診断書の修正
Bさんの診断書・診療報酬明細書(レセプト)・診療録(カルテ)・画像(XP・MRI)などを頭に入れ、また、主治医の経歴なども調査した上、福岡市東区の整形外科に医師面談に伺いました。
医師面談は、①診察時間中、②午前と午後の診察時間の間、③午後の診察が終わった後、のいずれかで指定されますが、Bさんの事例では、②午前と午後の診察時間の間を医師面談として指定されました。
この②午前と午後の診察時間の間に医師面談が設定される事例では、医師のお昼ご飯の時間の確保もありますし、午後の診察時間の開始に食い込んではならないという時間的制約がありますので、短時間で後遺障害診断書の修正までたどり着かないといけません。
主治医は、はじめは、医療照会の回答と同様、「後遺障害診断書の修正や追記は行わない」の一点張りで、弁護士小杉・木村との押し問答が続きます。
こちらの感覚としては、「弁護士が診断書の内容に意見するとは何事だ」というお立場だったように思えます。
こちらとしては、主治医の提示する医学的見解に反対の立場を表明したいわけではなく、ただ、後遺障害診断書の自覚症状欄に、患者Bさんの訴える「腰痛」という2文字を追記してほしいというお願いのみです。
医師としては、急性期よりも症状固定時の腰痛の症状は改善されたという意見を有しているようで、後遺障害診断書に追記するようなレベルではないと判断されていたようです。
自賠責保険は後遺障害診断書自覚症状欄に記載のない症状については判定してくれないことを説明し、急性期よりも腰痛の症状が良くなったことを示していただいてもいいので症状固定時に腰痛の症状が残存したことを書いてもらえないか、何度もお願いした結果、医師面談終了時刻間際にようやくご納得いただいて、後遺障害診断書の追記に応じていただくことになりました。
具体的には、「軽度の腰痛が常時持続している」という文言を後遺障害診断書に追記していただけることになりました。
欲を言えば、単に「腰痛」と記載してもらえた方がよかったのですが、「軽度の腰痛」であっても記載がないよりかはマシで、これで自賠責保険に後遺障害等級認定の審査をしてもらえることになりました。
被害者請求により後遺障害等級14級9号認定
修正された後遺障害診断書に刑事記録も添えて被害者請求
後遺障害等級申請には、①事前認定(加害者請求)と②被害者請求の2種類がありますが、小杉法律事務所では②被害者請求により後遺障害等級申請を行うようにしています。
こちらの作業としては②被害者請求の方が手間がかかりますが、①事前認定(加害者請求)により後遺障害等級申請をしてしまうと、加害者側の任意保険会社により、「この人の腰痛は後遺障害には当たらない」などの不利益な意見書を付けられてしまうといったことがあるため、事前認定(加害者請求)は利用していません。
なんとか後遺障害診断書の自覚症状欄に追記をしてもらえたわけですが、それだけでは心もとなかったため、こちらで取り付けた刑事記録も添えて被害者請求をすることにしました。
後遺障害等級14級9号というのは、12級13号と違って、医学的な証明までは求められておらず、後遺症を残してしまったことについて医学的に説明可能というレベルで後遺障害等級認定がなされます。
その中で、交通事故の衝撃の強さも判断材料とされるため、刑事記録を提出して、腰痛が後遺症として残るような交通事故で遭ったことを立証しました。
後遺障害等級14級9号の認定通知
後遺障害等級12級13号の否定
自賠責保険より被害者請求の結果通知が届き、弁護士小杉と木村とで内容を検討しました。
まず最初の段落で「腰椎捻挫後の症状については、提出の画像上、変性所見は認められるものの、本件事故による骨折・脱臼等の明らかな外傷性の異常所見は認められず、診断書や後遺障害診断書等より、症状の裏付けとなる客観的な医学的所見に乏しいことから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものと捉えることは困難です。」という趣旨のことが記されていました。
これは後遺障害等級14級9号の認定事例も、非該当の事例も、必ず書かれる文言で、分かりづらい表現となっていますが、後遺障害等級12級13号を否定するための定型文言となっています。
Bさんの後遺症は、脊髄を圧迫する所見も神経根を圧迫する所見も無く、その症状もないことから、はじめから後遺障害等級12級13号は目指していませんでしたので、気にすることのない内容といえます。
「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害等級14級9号の認定
次の段落では、「しかしながら、その他症状経過、事故態様等も勘案すると、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから、『局部に神経症状を残すもの』として別表第二第14級9号に該当するものと判断します。」という趣旨の事が記されていました。
これは後遺障害等級14級9号認定の場合の定型文言のようなもので、無事狙いどおりの後遺障害等級の認定を受けることに成功しました。
これにより後遺症逸失利益などについての請求が可能になります。(後遺症逸失利益についての詳しい解説はこちらのページからご覧ください。)
依頼者の声(Bさん・30代男性・自営業・福岡県古賀市)
腰が痛いことは整形外科の先生に伝えていたのですが、後遺障害診断書に記載してくれないことについて憤りを感じていました。
しかし、小杉先生と木村先生とで、主治医に掛け合ってくださり、ちゃんと腰痛の症状を追記してもらえ、無事に後遺障害等級認定を受けられましたので、ホッとしております。
弁護士木村治枝のコメント:後遺障害診断書は後遺症被害専門の弁護士にチェックしてもらいましょう
後遺障害等級認定にあたっては、後遺障害診断書の記載というのは極めて重要です。
Bさんの事例でも、後遺障害診断書の自覚症状欄に何も書いてなかったわけではなく、色んな記載はありました。
ただ、元の記載では腰椎捻挫由来の腰痛の症状について後遺障害等級認定がされることはなく、自賠責保険も非該当の判断をしていたと思います。
どのような記載であれば後遺障害等級認定を取りやすくなるかについては、医師よりも交通事故被害専門の弁護士の方が詳しいです。
お医者さんはお身体を治すことの専門で、後遺障害等級認定の専門ではありません。
交通事故に遭ってしまい、これから後遺障害等級の申請をするという被害者の方は、一度、交通事故被害専門の弁護士と法律相談されることをおすすめします。
小杉法律事務所では無料相談を実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。