交通事故コラム

その他分類

交通事故被害で弁護士費用特約を利用するメリットとデメリットを徹底解説!

2025.02.25

弁護士費用

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 弁護士費用特約とは?
  • 弁護士費用特約を利用するメリット
  • 弁護士費用特約を利用するデメリットと注意点
  • 弁護士費用特約を上手に活用するためのポイント

について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による賠償金無料査定サービスを行っております。

交通事故被害に遭い、ご自身が受け取れる賠償金額に疑問をお抱えの方やそのご家族の方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による賠償金無料査定サービスの詳細はこちら。

 

弁護士費用特約とは?基本知識を理解しよう

弁護士費用特約とは何か

弁護士費用特約とは、交通事故などのトラブルで弁護士に損害賠償請求の依頼をするとき、その費用を保険で補償してくれる特約のことです。

 

この特約を利用することで、弁護士への相談や依頼に要する費用、裁判費用などを自己負担することなくサポートを受けられる場合があります。

 

また、弁護士費用特約を利用しても、自動車保険の等級や保険料に影響を与えないため、気軽に活用できるのも特徴です。

 

弁護士費用特約の対象となるケース

弁護士費用特約の対象となるケースは、主に交通事故の被害者となった場合や、日常生活での事故による損害賠償請求を行いたいときです。

 

典型的な例が「もらい事故」のケースです。

 

原則として、被害者が加入している保険会社であっても、被害者の代わりに示談交渉を行うこと(示談代行)はできません。

それは、弁護士法により弁護士以外が示談交渉を代行することが禁止されているからです。

 

弁護士法第72条弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 

弁護士法第73条何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。

 

しかし、被害者側に過失がある場合には、例外的に示談代行を行うことが可能です。

例えば被害者10:加害者90の過失割合の事故が発生した場合、

被害者は自身に発生した被害のうち、自己過失分の10%を除いた90%を加害者側に請求することが可能になります。

 

一方で加害者の方にも損害が出ているような場合には、加害者は自分自身の損害についてみれば被害者なわけですから、

加害者は自分に発生した損害のうち自己過失分の90%を除いた10%を被害者側に請求することが可能です。

 

この加害者が請求した分を実際のところだれが払うかというと、被害者付帯の保険会社になります。

被害者付帯の保険会社は「対人賠償責任保険」や「対物賠償責任保険」といった保険契約に基づいて、被害者の代わりに加害者に賠償金をお支払することになります。

 

このとき、被害者付帯の保険会社は自分自身がお金を払う立場にありますから、自分自身の支払額を小さくするために交渉を行えるようになっているのです。

この交渉に付随して、被害者の代わりに被害者側の交渉も行うのが示談代行サービスです。

 

ですからそもそも被害者付帯の保険会社に支払うものがない「もらい事故」の場合は示談代行を行えるという解釈の余地が一切なく、

被害者は弁護士に依頼するか、ご自身で交渉を行うかの2択になります。

 

このような場合には、弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼することで受け取れる賠償金を大きくすることが可能です。

また、示談代行サービスが利用できるような場合であっても弁護士に依頼することでより大きな金額を受け取れる可能性があります。

 

特約を利用できる保険の種類

弁護士費用特約は、自動車保険以外にも利用可能な場合があります。

 

たとえば、日常生活での法律トラブルを対象とする損害保険や、個人賠償責任保険に付帯される場合も少なくありません。

地震保険や火災保険、クレジットカードの保険などにも付帯されている場合もあります。

 

弁護士費用特約が利用可能かどうかは、その後事件を進めていくうえで費用負担の不安がなくなるため非常に重要です。

利用できるかどうかで弁護士に依頼するハードルの高さも変わってきますから、付帯されている保険が無いかは相談の前にしっかり確認しましょう。

 

 

弁護士費用特約を利用するメリット

ほとんどの事案で弁護士費用を自己負担がなくなる

弁護士費用特約を利用する最大のメリットは、交通事故に関する弁護士への依頼費用を自己負担しなくて済む点です。

 

弁護士費用は高額になることも多く、被害者にとって大きな負担となる場合があります。

また、成功報酬型を採用している事務所に依頼した場合でも、

確かに弁護士に依頼したことで賠償金額は上がったが、上がった部分の大半を弁護士費用として請求されたので手元に残る金額は結局弁護士に依頼しない場合と変わりなかったという可能性もあります。

 

しかし、弁護士費用特約を活用すれば、保険会社がその費用をカバーしてくれるため、安心して依頼ができます。

また、この特約を使用しても保険等級に影響がないという点も、利用者にとって大きな魅力です。

 

ただし、自動車保険に付帯されている弁護士費用特約は上限が300万円(税込)とされていることが多いです。

ですから、実費や日当などにもよりますが、概ね賠償金額が1600万円を超えるような場合には、賠償金額に基づいて計算した弁護士費用が300万円を超過する場合があります。

このような場合には超過分については獲得した賠償金額からの精算などになることが多いです。

 

一方で賠償金額が1600万円を超えるような事案では、弁護士に依頼した場合のメリットが非常に大きい場合が多いため、

精算があっても弁護士に依頼した方が被害者にとっては有益であることがほとんどです。

 

適切な示談交渉のサポートを受けられる

交通事故が発生すると、損害賠償に関する示談交渉が必要になりますが、相手の保険会社や交渉相手との折衝は非常に難しい場合があります。

弁護士費用特約を使うことで、法律の専門家である弁護士から適切なアドバイスや交渉のサポートを受けられます。

特に、法律知識が不足している場合や交渉が進まない場合には、この特約を活用することでスムーズな解決が期待できます。

 

法的トラブルのストレス軽減

交通事故後の対応は、精神的にも大きな負担となることがあります。

法律や交渉に詳しくない被害者が直接対応することは、多くのストレスを抱える原因になります。

 

弁護士費用特約を利用することで、専門家に任せることができ、被害者自らが直接対応する負担を軽減できます。

弁護士に相談するだけでも、今後の流れや対応策が明確になるため、安心感を持って問題解決に臨むことが可能です。

 

弁護士費用特約のデメリットと注意点

特約の範囲外となる場合がある

弁護士費用特約は交通事故の被害者にとって非常に有益ですが、全てのケースで利用できるわけではありません。

特約が適用される条件にはあらかじめ定められた範囲があり、特約の対象外となる場合もあります。

 

例えば、被害者自身に重大な過失がある場合や故意による事故、また自然災害が原因の損害は補償の対象外となることが一般的です。

 

特約を利用する前に、自分の保険内容をしっかり確認し、適用されるかどうかを理解することが重要です。

 

交通事故後に特約加入しても適用不可

交通事故の後に弁護士費用特約に加入しても、その事故には特約を適用することはできません。

特約はあらかじめ自動車保険に付帯しておく必要があり、事故後に加入した場合、過去の事故に遡って適用することは認められていません。

 

そのため、交通事故が起きる前の段階での備えが重要です。「自分には必要ない」と考えて特約を付帯していない場合でも、万が一の事態に備えて再検討することをおすすめします。

 

弁護士選びに慎重さが必要

弁護士費用特約を利用する場合でも、弁護士選びには注意が必要です。

特約により費用負担が軽減されるものの、すべての弁護士が交通事故に関する専門知識や実績を十分に持っているわけではありません。

 

特に、示談交渉や損害賠償請求の経験が豊富な弁護士を選ぶことで、最適な交渉やアドバイスが受けられる可能性が高まります。

信頼できる弁護士を選ぶためには、口コミや実績、無料の法律相談を活用して慎重に判断することが大切です。

 

 

また、弁護士側が弁護士費用特約の報酬体系に基づいているかも確認が必要です。

多くの弁護士費用特約を提供している保険会社は日弁連と協定を結んでおり、

日弁連と保険会社とで協議したうえで定められている「LAC基準」と呼ばれる報酬体系を採用しています。

 

各保険会社がLAC基準に基づいているかは日弁連のホームページで確認が可能ですが、

このLAC基準とは異なる報酬体系を採用している弁護士の場合には、

 

  1. 弁護士が独自の基準で弁護士費用特約に請求
  2. →弁護士費用特約の保険会社はLAC基準以外では支払わない
  3. →弁護士の独自の報酬基準とLAC基準との差額が被害者負担になる

 

というリスクもあります。

各事務所のホームページをみたり、相談時に確認したりしてLAC基準に基づいた報酬体系を採用しているかどうか、異なる報酬体系を採用している場合は差額の扱いがどうなるか、を確認しておきましょう

弁護士法人小杉法律事務所はLAC基準に準拠した報酬体系を採用しておりますのでご安心ください。)。

 

弁護士変更時の扱い

弁護士費用特約には2つの大きな報酬体系があります。

 

着手・報酬型

この報酬体系は、

 

着手金:事件着手時に計算される経済的利益(弁護士が介入することにより増額が期待できる金額)に応じて計算

報酬金:事件終了時に計算される経済的利益(弁護士が介入したことにより実際に獲得した金額)に応じて計算

 

というかたちで計算がされます。

この着手・報酬型は、300万円を上限とされることが多いのですが、例えば着手金の枠が100万円、報酬金の枠が200万円などと明示的に分かれているわけではありません。

しかし、1事務所に着手金を支払った場合には、その後弁護士を変更したとしても「着手金というものは一度払っているから弁護士を変更しても払わない」という保険会社もあります。

 

着手金が弁護士費用特約から支払われないのであれば受けられないという事務所もありますので、

弁護士変更前に保険会社に確認しておくことをお勧めします。

 

タイムチャージ型

この報酬体系は、

弁護士が当該案件について稼働した時間について、1時間当たり2万円の報酬が発生するという体系になります。

 

このタイムチャージ型は上限が60万円まで(=30時間まで)とされることが多いです。

弁護士を変更しようと思ったが現在依頼中の弁護士が上限ぎりぎりまでタイムチャージを使用していたために弁護士費用特約がほぼ使えなかった、ということにならないよう、

弁護士変更前に残額を保険会社や弁護士に確認しておきましょう。

 

 

弁護士費用特約を上手に活用するためのポイント

特約が適用されるか保険内容を確認

交通事故に遭った際、弁護士費用特約を活用するためには、まず自身の加入する保険内容を確認することが重要です。

特約が付帯されているかどうかを確認し、対象となる事故や補償範囲について詳細を把握しておきましょう。

 

特に、特約が適用されるケースや適用条件については、被害者として事前に理解しておくことでスムーズに手続きを進めることができます。

保険会社の窓口や担当者に相談することで、必要な情報を得ることが可能です。

 

トラブル初期に弁護士へ相談

交通事故のトラブルは早期対応が解決の鍵となります。

弁護士費用特約を利用できる場合は、問題が大きくなる前に弁護士へ相談することをおすすめします。

 

弁護士は損害賠償の請求方法や適切な交渉の進め方を助言し、被害者の立場に立った解決策を提示してくれます。

特約を利用することで相談費用や弁護士費用の自己負担を気にすることなく、専門家のサポートを受けられるため、早い段階で弁護士に依頼するのが賢明です。

 

保険会社との連絡をスムーズに行う

弁護士費用特約を利用する際には、保険会社との連絡が欠かせません。

 

特約の適用をスムーズに進めるためには、事故内容や被害状況について正確な情報提供を心がけ、必要書類を提出する準備をしておきましょう。

また、特約を使用する旨を早めに保険会社に伝えることで、手続きが迅速に進む場合があります。

 

信頼できる弁護士の選び方

弁護士費用特約では自由に弁護士を選ぶことができますが、信頼できる弁護士を選ぶことが解決の鍵となります。

 

経験豊富で交通事故のトラブル解決に強い弁護士を選ぶことで、より適切な支援を受けられます。

また、口コミや実績を参考にするほか、初回相談で弁護士との相性や対応力を確認することも大切です。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

交通事故被害に遭い、ご依頼される弁護士をお探しの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による初回無料の法律相談の流れについてはこちらから。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。