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交通事故で負った顔の傷跡を消すタイミングと損害賠償請求の関係|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所
2025.10.03

交通事故で顔に怪我をしてしまい、治療を続けた結果、残念ながら傷跡が残ってしまうケースがあります。
このとき、「傷跡を消したいが大丈夫か?またタイミングを考えたほうがいいか?」といったご質問をいただくことがあります。
本稿では、傷跡を消してもよいか、また消す場合にはどのタイミングがいいのか、について、弁護士が解説いたします。
傷跡を消してもいいのか?
傷跡の大きさや形状・位置などの具体的な事情によりけりな面があるので、絶対に消したほうがいい(又は消さないほうがいい)と断言は難しいですが、
損害賠償請求という観点でいいますと、「傷跡を消してもよいが、消すタイミングはしっかり考えておいたほうがいい」という回答になります。
なぜならば、タイミングを考えておかないと、賠償額が大きく異なってくる可能性があるからです。
詳しくは、次項の「傷跡を消すのはいつがいい?」でみていきましょう。
傷跡を消すのはいつがいい?
前提として、交通事故の損害賠償請求は、大まかには以下のような流れになります。
①事故発生
↓(治療)
②症状固定
↓(後遺症について自賠責請求を行い、後遺障害等級が認定or非該当)
③等級確定後、相手方に対して示談提示(または損害賠償請求の訴え提起)
↓(示談交渉(または裁判))
④示談成立(または和解成立もしくは判決確定)=事件解決
では傷跡を消すのはいつがいいのか。
単刀直入に結論を申しますと、事件解決後(④の後)に行うのがベストになるでしょう。
何故そう言えるのか、以下説明していきます。
まず考えられるのは、事故後の治療期間中(①~②の期間)に傷跡を消す治療を開始することです。
顔に傷ができた場合、形成外科で治療が行われることが多いですが、ある程度治療が進んで傷が塞がり瘢痕化してきたら、
傷跡を消すために美容整形やレーザー治療等を行えないかという考えが出てくるかと思います。
このとき、もし相手方保険会社が治療費対応を行っていたとしても、すぐにこれらの美容的治療を開始することはあまりおすすめしません。
というのも、損害賠償請求の実務上、治療費が損害として認められるためには、その治療の必要性・相当性が認められることが重要となるのですが、
美容的治療は必要性・相当性がないと判断されることが往々にしてあり、特に美容整形はそのリスクが高いです。
また相手方保険会社も、基本的には、必要性・相当性が認められると判断した治療については治療費対応を行うという運用ですので、
美容的治療や美容整形を行った場合に、必ずしもそれらの費用を払ってくれるとは限らず、請求したとしても否定してくる可能性もあります。
そうしますと、美容的治療の治療費については自己負担しなければならなくなりますが、
美容的治療は健康保険の使用ができず、自由診療になるケースがよくみられます。
加えて、治療内容次第では美容的治療の治療費自体が高額な場合もありますので、経済的負担が非常に大きくなる可能性も予想されます。
つまり、高額な美容的治療費を自己負担しなければならなくなり、かつ相手方保険会社がその補償をしてくれない恐れがあるのです。
したがって、このタイミングで美容的治療を行うことを考えているならば、
まずは相手方保険会社に美容的治療を行いたい旨を伝え、治療費対応をしてもらえるかどうかを確認しておきましょう。
勿論、必要性・相当性がないとして相手方保険会社が美容的治療の治療費対応を否定する可能性はありますが、
事故態様の大きさや怪我の大きさ等から総合的に鑑みて、治療費対応を認めてくれることもあります。
次に考えられるタイミングとしては、症状固定後から事件解決(②~④)までの期間に傷跡治療を開始することです。
症状固定を迎えて治療も一段落がつくと、以前にもまして傷跡が気になってくることもあるでしょう。
ただ、この期間中に傷跡を消す治療を行うかどうかは、慎重に検討をした上で判断したほうがよいです。
というのも、「顔の傷跡(後遺症)を消す」=「顔の傷跡についての後遺障害等級を獲得することはできない」からです。
後遺障害等級は、後遺症逸失利益や後遺症慰謝料の請求の可否や金額に直結する要素なので、
その後の損害賠償請求にも必然的に大きな影響を及ぼします。
たとえば、後遺症について、12級に該当するレベルの顔の傷跡のみが残存していたケースで考えてみましょう。
A:傷跡を消した場合
・傷跡がないため、自賠責請求では等級非該当
・実務上一般に、後遺症の逸失利益や後遺症慰謝料は自賠責の等級が認定されていること(後遺症があること)を前提とするため、これらの請求はできなくなる
・症状固定後の治療費については、少なくとも示談交渉において賠償を受けることは非常に難しく、争う場合は裁判をする必要がある
B:傷跡を消さなかった場合
・外貌醜状12級の等級認定
・12級を前提として後遺症の逸失利益や後遺症慰謝料を算定し、賠償請求することができる
・症状固定後の治療費については、少なくとも示談交渉において賠償を受けることは困難であり、争う場合は裁判をする必要がある
A・Bを比較したとき、Bのほうが、後遺障害についての賠償を受けられる可能性もあるため、当然プラスは大きいです。
このことから、Aのように損害賠償を受ける前に傷跡を消すのではなく、
Bで事件を進め、後遺障害について賠償金を獲得して事件解決した後(④の後)に、傷跡を消す治療を行うのが最もプラスになるといえます。
ここで、「傷跡を消す治療は事件解決後に行うのがベスト」と冒頭で述べたことにつながってくるわけですね。
なお、相手方保険会社は基本的にどれだけ長くても症状固定時までの治療費しか対応してくれません。
そのため、症状固定後の治療費については基本的に全額自己負担する必要があります。
前述のとおり、美容的治療は健康保険が使用できないことがあったり、そもそも治療費自体が高額なこともありますので、
しっかりと賠償金を獲得しておけば、安心して美容的治療に臨むこともできるかと思います。
おわりに

本稿では、傷跡を消してもよいのか、また傷跡を消すタイミングはいつがいいのかについて解説いたしました。
交通事故で顔に怪我をし、瘢痕や線状痕、ケロイドのようなかたちで傷跡が残ってしまった場合、
定められた要件を満たせば、後遺障害等級が認定されることがあります。
醜状障害は、傷跡という目に見えるかたちの後遺症なので、その等級認定も一見容易であるかに思われますが、その実シビアな側面もあります。
後遺障害診断書等の書類をしっかりと準備し、傷痕の状態をきちんと示すことが、醜状障害の等級認定につながるといえるでしょう。
弁護士法人小杉法律事務所では、これまで数多くの交通事故の損害賠償請求事件を取り扱い、
醜状障害を始めとする後遺障害等級の知識や、等級獲得に向けてのノウハウ・経験があります。
また、自賠責では、醜状障害の等級認定にあたり自賠責の面接官との面談が行われますが、
弁護士法人小杉法律事務所では自賠責面談にも弁護士が同席し、等級獲得につながるようサポートいたします。
被害者の方で、弁護士を入れるべきかどうかお悩みの方は、
ぜひ一度、弁護士法人小杉法律事務所の無料相談をお受けください。
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