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交通事故の通院慰謝料、あなたが本当に受け取れる額は?

2025.01.20

損害賠償請求

交通事故 入通院慰謝料 慰謝料

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 交通事故被害で請求できる慰謝料とは
  • 通院日数と慰謝料の関係
  • 通院慰謝料の計算方法
  • 適切な慰謝料を受け取るためのポイントと注意点

等について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

交通事故被害に遭い、慰謝料請求についてお困りの方はぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士へのお問い合わせはこちらのページから。

 

交通事故慰謝料の基本と概要

交通事故による慰謝料とは、事故によって被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償金のことです。これは、民法710条に根拠規定があります。

 

民法710条他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

 

ここでいう「財産以外の損害」が精神的損害をいい、その賠償として支払われる賠償金を慰謝料といいます。

 

慰謝料の中でも、入通院に伴う慰謝料は、被害者が治療のために通院した日数や入院期間に基づいて算定されます。

慰謝料を請求する際には、その根拠となる「自賠責基準」「任意保険基準」、そして「弁護士基準」といった異なる基準があります。

 

自賠責基準

自賠責基準は、法的に定められた慰謝料の最低基準であり、迅速な支払いが期待できるというメリットがあります。

自賠責保険による慰謝料は、通院1日あたり4300円と定められており、通院日数に基づいて計算されます。

ただし、この基準では慰謝料に上限があり、被害者が受けた損害に対して全額を補うのが難しい場合もあります。

 

通院日数と慰謝料の関係

慰謝料の額は通院日数に応じて変動します。通院した日数が長ければ長いほど、慰謝料の支払額も増加します。

たとえば、自賠責基準では、通院が1日でもあれば一日あたり4300円の慰謝料が支払われます。

 

自賠責基準とは、自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準に定められた基準のことであり、自賠責保険から支払われる損害賠償金をいいます。

 

自賠責保険はその強制加入を義務付けている自動車損害賠償保障法の目的のとおり、被害者救済を目的とした保険ですから、迅速かつ平等な支払がされるというメリットがあります。

自動車損害賠償保障法第1条この法律は、自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立するとともに、これを補完する措置を講ずることにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。

 

しかし、あくまで最低限の基準に過ぎませんから、到底被害者側にとって適切な慰謝料額とは言えません。

ですから、被害者側にとって適切な慰謝料額を獲得するためには、次にご説明する弁護士基準での請求が必須となります。

 

入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料の相場は、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準のいずれを適用するかによって異なります。

一般的に、自賠責基準を適用した場合が最も低額で、弁護士基準を適用した場合が最も高額となります。

 

たとえば、むちうちや軽傷の場合、約90日間通院した場合は、弁護士基準で約53万円程度の慰謝料が支払われるケースもあります。

自賠責基準では最大で約38万7000円となります。

 

このように、交通事故による慰謝料は、その算定において様々な要素が関与し、被害者の状況に応じて適切な基準を選ぶことが重要です。

慰謝料の請求や交渉に関しては、専門の弁護士の相談を受けることが推奨されます。

 

通院慰謝料の計算方法

通院1日あたりの慰謝料額

交通事故における通院慰謝料は、通院日数に応じた賠償金であり、痛みや不便さといった精神的苦痛に対するものです。

基本的には、自賠責保険基準では1日あたり4,300円が支払われます。

 

これに対し、弁護士基準では通院の継続性や被害者の状況を考慮し、通院日数ではなく「原則として入通院期間を基礎として計算がされます

(『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編より)。

 

交通事故で怪我をした直後の方が症状がひどく、通院を続けていく中で症状が緩和してくるという症状経過を想定し、

通院1か月では19万円(日割で6333円)、通院2か月では36万円(日割で6000円)と、だんだんと通院期間1日あたりの慰謝料額は減少していきます。

 

このように、通院1日あたりの慰謝料額は基準によって異なるため、自身の場合の適正な慰謝料を算出するには、しっかりと計算を行うことが大切であり、

特に弁護士基準での慰謝料額の計算は弁護士に相談されることをお勧めします。

 

通院3か月の場合の通院慰謝料の計算

交通事故で怪我を負い、3ヶ月間の通院を要した場合の通院慰謝料を弁護士基準で計算すると、約53万円になります。

一方で自賠責基準では最大38万7000円で、実際はこれより低いことが多いです。

 

任意保険基準は自賠責基準と同じか少し高いくらいになり、弁護士基準には到底及びません。

 

被害者としては、このような基準を理解し、自身の状況に照らし合わせて適切な請求を行うことが重要です。

 

 

むちうちと通院6ヶ月の場合

むちうちは交通事故でよく見られるケガの一つで、慰謝料の対象となります。

仮にむちうちの被害者が6ヶ月間通院した場合、自賠責基準によると約77万円の慰謝料が最大となります。

 

ただし自賠責基準をみると「慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。」(自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の
支払基準より)とされていて、実際の計算では、

4300円×実通院日数の2倍と通院期間のどちらか短い方で、自賠責基準の入通院慰謝料は計算されますから、

基本的にはこの77万円よりは低い金額となります。

 

また、自賠責保険における入通院慰謝料は「第2 傷害による損害」という枠に入っていて、この枠の中には治療費等も含まれており、

トータルの上限額が120万円と定められています。

 

ですから例えば治療費が50万円であれば、最大でも入通院慰謝料は70万円しか出ません。

このほか休業損害や通院交通費なども120万円の枠内で支払がされるため、自賠責基準内で適切な慰謝料を獲得するのはなかなか難しい現実があります。

 

一方弁護士基準では通院期間が同じ6ヶ月であれば89万円が一つの目安となります。

また、当然弁護士基準では裁判例の傾向等から判断される被害者側にとって適切な慰謝料額の中であれば上限額などの設定はありません。

 

以上のようなそれぞれの特性を踏まえ、むちうちで通院が長期化した場合、保険会社と協議し適正な額の慰謝料を請求することが重要です。

弁護士に相談することにより、より高額で適切な慰謝料を得るためのサポートを受けることができます。

 

慰謝料の受け取り方と注意点

適正な慰謝料を受け取るために知っておくべきこと

交通事故の被害者として、適正な慰謝料を受け取るためには、いくつか注意すべきポイントがあります。

まず、通院日数や事故の状況を正確に記録することが重要です。

さらに、自賠責保険基準や任意保険基準、弁護士基準といった異なる基準が存在し、それぞれで算定される慰謝料額が異なることを理解しておくことが大切です。

弁護士基準は通常最も高額となるため、適切なサポートを受けるために、弁護士に相談することも検討してみてください。

 

通院回数を増やすリスクとその影響

通院回数を増やすことで慰謝料を増やすことを考える被害者の方もいらっしゃいますが、これは必ずしも有効ではありません。

通院はあくまでも治療目的であるべきで、必要以上の通院は逆に保険会社とのトラブルを招くことがあります。

通院回数や頻度は、週2〜3回を目安に自身の治療状況に合わせて適切に判断してください。重要なのは、医師の指示に従うことであり、その記録をしっかり残すことです。

 

またここまで見てきた様に、弁護士基準での通院慰謝料の請求は通院実日数ではなく期間で行います。

通院回数が多かったとしても慰謝料金額が大幅に増えるということはありません。

 

逆に治療費が通常より多くかかってしまうことになり、相手方保険会社が早期に治療費の一括対応を打ち切る遠因となりかねません。

 

では通院期間を引き延ばせば慰謝料が増えるのでしょうか?そういった側面がないわけではありません。

しかし入通院慰謝料の計算の基礎となる通院期間は、「治療の必要性かつ相当性が認められる期間」(『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)参照)となります。

 

したがって、医師がこれ以上治療を続けても良くならないと判断した症状固定後の通院や、

事実上症状固定に至っていたと判断される時期を超えての通院は、治療費を支払った分逆に損をする可能性すらあります。

 

医師の指示に従うことが結局のところ最も被害者にとって適切な慰謝料の支払を受けられる可能性が高いです。

 

後遺症が残る場合に請求できる追加の慰謝料

事故によって後遺症が残ってしまった場合、入通院慰謝料とは別に後遺症慰謝料を請求できます。

後遺障害の等級認定が必要であり、自賠責基準であれ弁護士基準であれ、この等級により慰謝料額が決まるため、

まずは自賠責損害調査事務所で適切な後遺障害等級を認定してもらうことを目指すことになります。

損害保険料率算出機構で行う損害調査(損害保険料率算出機構ホームページより)

 

この過程で最も重要になるのが後遺障害診断書の作成です。

 

自賠責損害調査事務所における後遺障害等級認定の判断は原則として書面審査であり、

後遺障害診断書の出来が後遺障害等級認定の可能性を大きく変えます。

 

この良い後遺障害診断書を作成するためには、医学的な知識はもちろん、損害賠償請求実務に精通した弁護士の専門的な知識が必要とされるため、ご相談をお勧めします。

 

後遺障害診断書について弁護士に相談した方が良い4つの理由とは?

 

まとめ

交通事故の慰謝料請求において、専門家の意見を活用することは非常に有効です。

弁護士は、法律の専門知識と経験を活かして、被害者が適正な慰謝料を受け取るためのアドバイスを提供します。

特に、弁護士基準を用いることで、慰謝料の金額が大幅に増額される可能性が高まります。

また、交渉において保険会社とのやり取りがスムーズに進むためのサポートも期待できます。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

被害者の方お一人お一人が適切な慰謝料を獲得できるように尽力いたします。

 

交通事故被害に遭い、慰謝料請求について疑問をお抱えの方はぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

弁護士法人小杉法律事務所へのお問い合わせはこちらのページから。

 

 

 

交通事故慰謝料全般についての詳しい解説はこちら。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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