骨折 下肢 神経症状
脛骨骨折(弁護士法人小杉法律事務所監修)
こちらの記事では、脛骨の骨折について整理しています。
脛骨とは
人体の下腿部には2本の長管骨があり、体の内側の太い骨を脛骨(けいこつ)(本記事冒頭のイラストでオレンジ色に着色)、外側の細い骨を腓骨(ひこつ)と言います。
2本合わせて下腿骨といいます。
脛骨は細長い棒状の骨ですが、膝に近い部分を近位部、足首に近い部分を遠位部、その中間を骨幹部といいます。
脛骨は近位部で膝関節、遠位部で足関節を構成します。いずれも下肢の3大関節です。
脛骨の骨折はどのように受傷するか
交通事故による打撲などの直達外力や、スキーでの捻転力による介達外力で受傷することがあります。
脛骨の骨折の症状
受傷直後から起立不能になります。疼痛、腫脹、変形を認め、圧痛と異常可動性が著明です。
下腿は外傷を受けやすい部分になり、脛骨は皮下の浅層にあって軟部組織の被覆も少ないため解放骨折になりやすい部分です。
※解放骨折
皮膚や軟部組織に創が存在し、骨折部と外界が直接交通するもの。
骨折した骨が皮膚を突き破って露出したりして、骨折部とつながる傷が皮膚にあるもの。
※皮下骨折(単純骨折)
骨折部に皮膚軟部の創がなく、外界との交通がないもの。
→骨折の種類についてはこちらの記事で詳細を整理しております。
脛骨の骨折の種類
骨折部位によって次のように分類できます。
遠位部の骨折
脛骨高原骨折
→脛骨高原骨折について症状や合併症、後遺障害認定のポイント等はこちらの記事をご確認ください。
骨幹部の骨折
→脛骨骨幹部骨折についての症状、治療法、後遺障害認定等についてはこちらの記事をご確認ください。
脛骨遠位部骨折
脛骨の足首関節部分を内果といいます。
脛骨の骨折に対する治療
(標準整形外科学第15版(医学書院)、838~839頁)
保存療法
下腿皮下骨折の多くは保存的に治療可能です。特に、転位の少ないもの、変形が屈曲のみのもの、腓骨の骨折がないものなどは仮骨形成の中心となる下腿骨間膜が健全で、骨折部への血行もよく保たれているため、保存療法のよい適用だとされます。
長下肢ギプス固定を1~2週間行います。その後、膝蓋腱支持ギプスに変更します。膝蓋腱支持ギプスは8~12週装着した後、単純X線像で骨癒合を確かめて除去します。
手術療法
脛骨骨幹部の骨折、特に横骨折は髄内釘固定が優れています。手術の翌日から膝・足関節の運動を始め、数日以内に荷重歩行を開始することができます。遷延癒合(せんえんゆごう)(骨折治癒に必要と予測される期間を過ぎても癒合がみられない状態で、骨折部の癒合過程は残存しているもの。)や癒合不全例(骨折部の癒合過程が止まってしまった状態。)に対しても、自家骨移植を併用した髄内釘固定法が行われます。
脛骨近位または遠位に近い部分の骨折にはプレート固定を行うことが多いです。
解放骨折の治療
下腿は解放骨折になりやすい部位です。骨癒合と感染予防には、早期に骨折部を結構の豊富な軟部組織で覆うことが重要だと言われています。
弁護士に相談を
交通事故等の被害で脛骨に骨折を受傷した場合、損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うためには、骨折態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。