後遺障害等級の解説

圧迫骨折・体幹骨骨折 下肢 神経症状

仙骨骨折(弁護士法人小杉法律事務所監修)

股関節骨格

こちらの記事では、骨盤骨の一つである仙骨の骨折について整理しています。

骨盤の骨折一般についてはこちらの記事で整理しています。

仙骨とは

仙骨(せんこつ)とは、寛骨、尾骨とともに骨盤を構成する一つの骨で、三角形のような形状をしています。

また、左右の寛骨が前部では恥骨結合、後部では仙腸関節にて仙骨とつながって輪状構造を形成しており、これを骨盤輪と言います。

仙骨には仙椎(脊椎)が5つあり、第1仙椎~第5仙椎と分類できますが(S1~S5)、成人になると癒合して一つの骨としての仙骨(Sacrum)になります。

仙骨骨折の原因

(今日の整形外科治療指針第8版(医学書院)、714頁)

仙骨を含む骨盤輪の骨折や、仙骨関節脱臼について、交通事故や墜落などの高エネルギー外傷にともなう致命的な外傷だと言われます。

他方、近年の高齢化に伴い、転倒などの低エネルギー外傷で受傷する、脆弱性骨盤輪骨折が増えています。

尻もちをついた際に仙骨骨折を受傷することもあります。こちらの記事をご覧ください。

仙骨骨折後の症状

骨折部に痛み等の症状が発生する可能性があります。

重症事案で骨盤輪が破綻したり仙腸関節脱臼になった場合、周囲の血管損傷と骨折部からの出血により、大量出血をきたすことで死亡することもあります。

仙骨骨折や仙腸関節脱臼は腰神経叢損傷を引き起こすことが多く、その場合は運動麻痺・感覚麻痺が出現します。

腰神経叢損傷含む末梢神経損傷についてはこちらの記事でも整理しております。

仙骨骨折後に発生する可能性のある症状についてはこちらの記事でも整理しています。

認定されうる後遺障害について

後遺障害等級

自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害として、以下のようなものが予想されます。

認定区分等の詳細はこちらの記事で整理しています。

神経症状(12級か14級)

骨折部位に痛み等が残存する場合に認定可能性があります。

機能障害(8級、10級、12級)

仙骨骨折の影響で股関節の動きにくさが残ったり、末梢神経損傷を合併し股関節以下の運動麻痺が残った場合に認定可能性があります。

※末梢神経損傷の場合等、態様によっては両下肢や一側でも数個の関節に運動麻痺が生じることはありえます。その場合、6級以上の後遺障害が認定される可能性もあります。

変形障害(12級)

骨盤骨(仙骨含む)に著しい変形を残した場合に認定可能性があります。

弁護士に相談を

交通事故や労災事故等の外傷で骨盤後部の仙骨に骨折を受傷してしまうことがあります。治療費や休業損害、慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、受傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。

弁護士法人小杉法律事務所の関連解決事例

【仙骨骨折】【自転車に衝突された歩行者】保険会社提案130万円→裁判により550万円で解決した事例

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。