交通事故で近親者が慰謝料請求できるケースとその基準【弁護士解説】
2024.09.30
損害賠償請求
このページでは、交通事故被害者側専門弁護士が、
- 被害者の近親者の方が固有の慰謝料を請求できるケース
- 近親者の方固有の慰謝料の基準
について解説します。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側専門弁護士による初回無料の法律相談を行っております。
大切な方が事故に遭われ、ご不安をお抱えの方は是非お気軽にお問い合わせください。
近親者が慰謝料を請求できる条件
民法711条の概要
民法第711条は、他人の生命を侵害した場合、被害者の父母、配偶者、子に対して損害の賠償をしなければならないと規定しています。
この条文により、被害者の近親者が交通事故などで失われた生命に対して慰謝料を請求できる権利が認められています。
この規定は、被害者自身の痛みや苦しみだけでなく、近親者の精神的苦痛も賠償の対象となる点が重要です。
近親者固有の慰謝料の意味
近親者固有の慰謝料とは、被害者の近親者が加害者に対して請求できる慰謝料のことを指します。
これは、被害者が交通事故により死亡した場合や、重度の後遺障害を負った場合に適用されることが多いです。
近親者固有慰謝料は、被害者本人の苦痛だけでなく、近親者の精神的な苦痛や翻弄する生活の変化を補償するために生まれた概念です。
請求できる近親者の範囲
民法711条に基づき、慰謝料を請求できる近親者の範囲は「被害者の父母、配偶者、子」と規定されています。
しかし、判例ではこの範囲を広げる傾向があります。
例えば、被害者の祖父母、孫、兄弟、または内縁の配偶者なども、条件によっては近親者として慰謝料請求権が認められることがあります。
最高裁判所第三小法廷昭和49年12月17日判決(民集28巻10号2040頁)でも、上記の条件に当てはまる近親者と実質的に同等の関係にある者にも、近親者固有慰謝料請求権が認められたケースがあります。
交通事故での具体的ケース
被害者が死亡した場合
交通事故により被害者が死亡した場合、近親者は精神的な苦痛を負います。
このような場合、近親者は民法711条に基づき「近親者慰謝料」を請求することができます。
具体的な死亡事故の場合の近親者固有の慰謝料の相場は200万円~300万円ほどです。
これと別に被害者本人固有の慰謝料として、2000万円~2800万円ほどが認められる傾向にあります。
自賠責保険基準においては、例えば請求権者(相続人)が3人以上いる場合は、被害者本人の慰謝料を含めても750万円の支払いにとどまりますから、
裁判基準で死亡慰謝料を請求する重要性をお分かりいただけると思います。
被害者が重度の後遺障害を負った場合
交通事故の結果として被害者が重度の後遺障害を負った場合、その影響は被害者だけでなく、近親者にも及びます。
被害者が日常生活を大幅に制限されることにより、近親者も精神的苦痛を受けるため、近親者慰謝料を請求できる根拠となります。
最高裁判所昭和33年8月5日判決(民集12巻12号1901頁及び判例時報157号12頁)では、
「死亡の場合でなくとも、死亡に比肩するような精神的苦痛を受けた場合には、近親者にも慰謝料請求権が認められる」と判示されています。
後遺障害の場合、精神的苦痛の程度により近親者慰謝料の相場も異なります。
具体的には、後遺障害が特に重度(例:後遺障害等級第1級や第2級)である場合には、200万円から800万円程度の慰謝料が認められることもあります。先例に基づいた交渉や訴訟が必要です。
近親者慰謝料の相場と計算方法
交通事故で近親者慰謝料を請求する際、どの基準に基づいて慰謝料額が算定されるかは非常に重要です。
これには主に
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
の三つがあります。
それぞれの基準には異なる特徴があり、適用される状況によって慰謝料の額が大きく異なることがあります。ここでは、各基準の具体的な内容について説明します。
自賠責基準
自賠責基準は、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)によって定められる慰謝料の算定基準です。
この基準は比較的低額である場合が多いですが、最低限の賠償額を確保するために設けられています。
被害者が死亡した場合の慰謝料は、請求人が1人の場合は550万円、2人の場合は650万円、3人以上の場合は750万円です。
また、被害者に被扶養者がいる場合はそれぞれ200万円ずつ加算され、請求人1人で750万円、2人で850万円、3人以上で950万円に増加します。
任意保険基準
任意保険基準は、自動車の任意保険会社が独自に定める慰謝料の算定基準です。
しかし、その計算方法や基準は各保険会社によって異なるため、具体的な金額はケースごとに異なります。
自賠責基準よりも高額になることが多いのが特徴ですが、最も被害者側にとって適切な基準である弁護士基準(裁判基準)と比較すると低額であることがほとんどです。
弁護士基準
弁護士基準は、裁判所が認める慰謝料の相場に基づいて算定される基準です。
自賠責基準や任意保険基準と比べて高額になることが一般的です。弁護士に依頼することで、この基準に基づく賠償を求めることができるため、結果的に受け取る額が大きくなる傾向があります。
たとえば、重度の後遺障害が残った場合や被害者が死亡したケースでは、近親者慰謝料も含めて数百万円から数千万円にのぼることがあります。
このように、慰謝料の相場や計算方法は非常に多岐にわたります。どの基準を適用するかは、具体的なケースや被害の程度によって異なるため、専門家に相談することが重要です。
弁護士法人小杉法律事務所で近親者慰謝料を獲得した事例
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以下はその一例でございます。
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