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交通事故で近親者慰謝料が請求できるケースとその基準【弁護士解説】

2026.01.23

損害賠償請求

近親者慰謝料

このページでは、交通事故被害者側専門弁護士が、

  • 被害者の近親者の方が固有の慰謝料を請求できるケース
  • 近親者の方固有の慰謝料の基準

について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側専門弁護士による初回無料の法律相談を行っております。

大切な方が事故に遭われ、ご不安をお抱えの方は是非お気軽にお問い合わせください。

 

交通事故被害者専門弁護士へのお問い合わせはこちらから。

 

近親者慰謝料の定義

近親者固有の慰謝料とは、被害者が交通事故などで死亡したり、重度の後遺障害を負ったりした際に、

被害者の近親者が受けた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料のことを指します。

 

この慰謝料は、近親者固有の権利として請求できるものであり、被害者自身の慰謝料請求とは異なるため、「近親者固有の慰謝料」と呼ばれています。

 

被害者の方が交通事故でお亡くなりになってしまった場合、ご家族の方は耐え難い無念や苦痛を感じることになります。

また、重度の後遺障害が残ってしまうケースなどは、今後の介護生活の負担や心労が生じることになります。

 

このような、交通事故で直接の被害を受けていない近親者の方にも精神的苦痛が生じる場合があり、このようなケースでは慰謝料の請求が認められるのです。

 

ただ、実際に誰が「近親者」にあたるのかという点については判断が分かれるところです。

この「近親者固有の慰謝料」の請求が認められる範囲についてみていきましょう。

 

近親者慰謝料が請求できる範囲と条件

民法711条の規定

民法711条他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

 

このように、被害者の、

  • 父母
  • 配偶者

については、法律上で「近親者固有の慰謝料」の請求が認められています。

 

近親者固有の慰謝料の意味

近親者固有の慰謝料とは、被害者の近親者が加害者に対して請求できる慰謝料のことを指します。

れは、被害者が交通事故により死亡した場合や、重度の後遺障害を負った場合に適用されることが多いです。

近親者固有慰謝料は、被害者本人の苦痛だけでなく、近親者の精神的な苦痛や翻弄する生活の変化を補償するために生まれた概念です。

 

請求できる近親者の範囲

民法711条に基づき、慰謝料を請求できる近親者の範囲は「被害者の父母、配偶者、子」と規定されています。

しかし、判例ではこの範囲を広げる傾向があります。

例えば、被害者の祖父母、孫、兄弟、または内縁の配偶者なども、条件によっては近親者として慰謝料請求権が認められることがあります。

 

最高裁判所第三小法廷昭和49年12月17日判決(民集28巻10号2040頁)でも、上記の条件に当てはまる近親者と実質的に同等の関係にある者にも、近親者固有慰謝料請求権が認められたケースがあります。

 

民法711条に規定がない近親者の方の慰謝料請求を認めさせるために重要なのは、被害者と近親者との特別な関係性です。

 

例えば、同居しているといった、父母や子供と同視できるほどに、日常的に深く関わり合っている関係がある場合、慰謝料が認められる確率が高いです。

また、形式上の家族でなくとも、内縁の夫婦や長期間被害者を介護していた者など、特別な密接な関係が証明できる場合には、近親者慰謝料として認められることもあります。

 

大阪地方裁判所平成9年3月25日判決(交通事故民事裁判例集30巻2号470頁)では、約9年間事実上夫婦として暮らしていた相手を失った内縁配偶者について、

1000万円の近親者慰謝料が認められています。

 

大阪地方裁判所平成14年3月15日判決(交通事故民事裁判例集35巻2号366頁)では、妹と二人暮らしをしていた男性(61歳)が亡くなった交通事故について、

妹の固有慰謝料として300万円が認められています。

 

このように、被害者と近親者の方との間に密接な関係性があること、そしてそれを立証していくことが、近親者慰謝料を請求するうえで大きなポイントとなります。

 

交通事故での具体的ケース

被害者が死亡した場合

交通事故により被害者が死亡した場合、近親者は精神的な苦痛を負います。

このような場合、近親者は民法711条に基づき「近親者慰謝料」を請求することができます。

 

具体的な死亡事故の場合の近親者固有の慰謝料の相場は200万円~300万円ほどです。

これと別に被害者本人固有の慰謝料として、2000万円~2800万円ほどが認められる傾向にあります。

 

自賠責保険基準においては、例えば請求権者(相続人)が3人以上いる場合は、被害者本人の慰謝料を含めても750万円の支払いにとどまりますから、

裁判基準で死亡慰謝料を請求する重要性をお分かりいただけると思います。

 

 

被害者が重度の後遺障害を負った場合

交通事故の結果として被害者が重度の後遺障害を負った場合、その影響は被害者だけでなく、近親者にも及びます。

被害者が日常生活を大幅に制限されることにより、近親者も精神的苦痛を受けるため、近親者慰謝料を請求できる根拠となります。

 

最高裁判所昭和33年8月5日判決(民集12巻12号1901頁及び判例時報157号12頁)では、

死亡の場合でなくとも、死亡に比肩するような精神的苦痛を受けた場合には、近親者にも慰謝料請求権が認められる」と判示されています。

 

後遺障害の場合、精神的苦痛の程度により近親者慰謝料の相場も異なります。

具体的には、後遺障害が特に重度(例:後遺障害等級第1級や第2級)である場合には、200万円から800万円程度の慰謝料が認められることもあります。先例に基づいた交渉や訴訟が必要です。

 

近親者慰謝料の相場と計算方法

交通事故で近親者慰謝料を請求する際、どの基準に基づいて慰謝料額が算定されるかは非常に重要です。

これには主に

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

の三つがあります。

 

それぞれの基準には異なる特徴があり、適用される状況によって慰謝料の額が大きく異なることがあります。ここでは、各基準の具体的な内容について説明します。

 

自賠責基準

自賠責基準は、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)によって定められる慰謝料の算定基準です。

この基準は比較的低額である場合が多いですが、最低限の賠償額を確保するために設けられています。

被害者が死亡した場合の慰謝料は、請求人が1人の場合は550万円、2人の場合は650万円、3人以上の場合は750万円です。

 

また、被害者に被扶養者がいる場合はそれぞれ200万円ずつ加算され、請求人1人で750万円、2人で850万円、3人以上で950万円に増加します。

 

任意保険基準

任意保険基準は、自動車の任意保険会社が独自に定める慰謝料の算定基準です。

しかし、その計算方法や基準は各保険会社によって異なるため、具体的な金額はケースごとに異なります。

 

自賠責基準よりも高額になることが多いのが特徴ですが、最も被害者側にとって適切な基準である弁護士基準(裁判基準)と比較すると低額であることがほとんどです。

 

 

弁護士基準

弁護士基準は、裁判所が認める慰謝料の相場に基づいて算定される基準です。

自賠責基準や任意保険基準と比べて高額になることが一般的です。弁護士に依頼することで、この基準に基づく賠償を求めることができるため、結果的に受け取る額が大きくなる傾向があります。

 

たとえば、重度の後遺障害が残った場合や被害者が死亡したケースでは、近親者慰謝料も含めて数百万円から数千万円にのぼることがあります。

 

このように、慰謝料の相場や計算方法は非常に多岐にわたります。どの基準を適用するかは、具体的なケースや被害の程度によって異なるため、専門家に相談することが重要です。

 

適切な近親者慰謝料を獲得するためには?

家族間でのコミュニケーション

まず何よりも重要なのは家族間でのコミュニケーションです。

慰謝料をはじめとする損害賠償の請求は煩雑です。

 

ただでさえ被害者の方を失ったり、大きなお怪我をした被害者の方を目の当たりにした精神的苦痛を抱えながら、

警察や保険会社の対応をしなければなりません。

 

加害者からは謝罪がないことも多々あります。憤りを覚えることももちろんあるでしょう。

 

その中で、適切な金額として反映させるために、今抱えている想いをまとめるということすら、苦痛であろうと思われます。

だからこそ、ご家族同士でコミュニケーションを取りながら、助け合って進めていくことが何よりも重要です。

 

弁護士の活用

そのうえで、弁護士を活用することが適切な慰謝料の獲得に大きく寄与するはずです。

 

上でみたように、適切な近親者慰謝料を獲得するためには、弁護士基準での請求は必須ですが、

弁護士基準もあくまで「一応の目安」です。

 

弁護士基準について定めている『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)においても、

特に死亡慰謝料については「本基準は具体的な斟酌事由により、増減されるべきで、一応の目安を示したものである。

とされております。

 

具体的な斟酌事由、つまり被害者本人と近親者の方の事故前のかかわりや関係、事故後の苦痛や日常生活の変化等についてしっかりと述べることによって、

金額が大きく変動することがあります。

 

この主張に当たっては、弁護士との打ち合わせや刑事裁判への被害者参加制度の利用などが重要になります。

 

 

被害者側専門の弁護士に相談することで、どう進めていったらよいかわからないという不安が解決するだけでなく、

適切な金額を得ることもでき、少しでもご家族が前を向くきっかけとなるはずです。

 

 

弁護士法人小杉法律事務所で近親者慰謝料を獲得した事例

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者側専門の弁護士事務所として、裁判基準以上の近親者慰謝料を獲得した事例が複数ございます。

以下はその一例でございます。

 

 

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者側損害賠償請求専門弁護士が初回無料の法律相談を実施しております。

近親者慰謝料については専門弁護士にご相談されることをお勧めしておりますので、

ぜひ弁護士法人小杉法律事務所の弁護士にお問い合わせください。

 

損害賠償請求専門弁護士へのお問い合わせはこちらから。

 

 

交通事故慰謝料全般についての詳しい解説はこちら。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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