慰謝料
人身事故被害者必見!弁護士が教える適切な慰謝料相場と請求方法
2025.01.25
このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
- 人身事故の慰謝料の相場
- 適切な慰謝料を獲得するためのポイント
- 慰謝料請求時の注意点
- 弁護士に依頼するメリット
等について解説します。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による交通事故解決サポートを行っております。
人身事故被害に遭われた方やそのご家族の方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による交通事故解決サポートの詳細についてはこちら。
人身事故の慰謝料とは?その基本と相場
慰謝料の定義と交通事故による精神的苦痛
人身事故における慰謝料とは、事故によって受けた精神的な苦痛に対する損害賠償金のことを指します。
民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
民法710条「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」
交通事故では、被害者が負った怪我や事故による心理的影響により、日常生活や仕事に支障をきたす場合が多々あります。
これらの精神的苦痛に対し、被害者が正当な補償を受けるための手段として、慰謝料が設定されています。
入通院慰謝料・後遺症慰謝料・死亡慰謝料の違い
人身事故の慰謝料は、大きく3つのタイプに分類されます。
まず、入通院慰謝料は、被害者が治療のために入院や通院を行った際に発生する治療期間の精神的苦痛に対する賠償金です。
次に、後遺症慰謝料は、事故後に身体に後遺症が残ってしまう場合、その苦痛や生活の困難さを補償するためのものです。
交通事故による怪我に対する治療を続けていく中で、これ以上治療をしても良くならないという状態に達することがあります。
この状態を症状固定と言い、症状固定に達した時点で残っている症状を後遺症と言います。
後遺症が残っているかどうかの判断は、被害者に残っている症状が後遺障害等級に該当するかどうかという視点から判断がされ、
後遺障害等級に該当すると認められる場合には後遺症慰謝料を請求することができるようになります。
そして、死亡慰謝料は、被害者が事故で亡くなった際、被害者が負った苦痛や無念に対して支払われる慰謝料です。
また、死亡慰謝料については、被害者を失ったことにより近親者の方に生じる近親者の方固有の慰謝料についても請求が認められます。
慰謝料計算の3つの基準(自賠責基準・任意保険基準・裁判基準)
慰謝料は計算基準によって金額が変動します。主に、自賠責基準、任意保険基準、そして裁判基準の3つが存在します。
自賠責基準は、最低限の補償を目的とした基準であり、一般的に最も低額になります。
任意保険基準は各保険会社が独自に設定するもので、明確な基準があるわけではありません。
しかし、自賠責基準と同じかやや高い程度に収まります。
任意保険会社は、被害者側に支払う保険金額が少なければ少ないほど自社の利益が大きくなるわけですから、
任意保険会社がおのずと被害者にとって適切な慰謝料を支払うことはまずありません。
裁判基準は、過去の判例を基に算定される最も高額な基準です。
このため、被害者が適正な補償を受けるためには、裁判基準での請求を行うのがほぼ必須と言えます。
裁判基準による各慰謝料の相場
被害者が適切な慰謝料を獲得するためには、裁判基準での請求がほぼ必須と言えますから、
ここで「赤い本」と呼ばれる『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター編)を見ながら、
各慰謝料(入通院慰謝料・後遺症慰謝料・死亡慰謝料)の裁判基準相場についてみていきましょう。
入通院慰謝料
裁判基準における入通院慰謝料は、入通院の期間で決まります。
入通院慰謝料には、別表Ⅰと別表Ⅱという2つの計算方法がありますが、原則として別表Ⅰを使用することとされています。
例外的に別表Ⅱを用いる場合は、「他覚所見のないむち打ち等(軽い挫創・軽い打撲等)」とされています。
負った怪我の部位や程度にもよりますが、交通事故による怪我の治療は一般的には6か月を目途とされることが多いです。
6か月の通院を行った場合に別表Ⅰを用いて計算した入通院慰謝料は116万円となります。
同じく6か月の通院を行った場合に別表Ⅱを用いて計算した入通院慰謝料は89万円となります。
入通院慰謝料は、怪我の程度や手術回数、ギプス固定の有無などにより別途増額が考慮されることもありますから、
適切に治療期間の事情を主張することが重要です。
後遺症慰謝料
後遺症慰謝料の金額は、後遺障害等級に応じて決まります。
後遺障害等級は第1級から第14級までが用意されており、数字が小さいほうが後遺症の程度が重いという評価になります。
後遺障害等級第1級の場合は2800万円が、第14級の場合は110万円が、それぞれの等級が認定された場合の後遺症慰謝料の目安となります。
お分かりいただけるように、後遺障害等級に応じて後遺症慰謝料の金額は大きく変わります。
ですから、適切な後遺症慰謝料の獲得のためにはまずは適切な後遺障害等級の認定を得ることを目指す必要があります。
後遺障害等級の認定は、自賠責損害調査事務所における書面審査が原則とされますから、
認定の申請時に提出する書類、その中でも後遺障害診断書の記載が極めて重要となります。
後遺障害診断書の記載は医師の専権事項ですが、医師は症状の改善の専門家であり、「どのように記載したら後遺障害等級の認定を得られるか」という点については専門家ではありません。
この点の専門家が弁護士であり、だからこそ交通事故被害専門の弁護士に相談する意味があります。
症状固定付近で専門弁護士に相談することで、より詳細な後遺障害診断書の作成が可能となり、適切な後遺障害等級の認定可能性が大きく上がるでしょう。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、亡くなった被害者個人の慰謝料と、被害者を失った近親者の方の固有の慰謝料の合算で金額の基準が決められています。
- 被害者が一家の支柱であった場合:2800万円
- 被害者が母親、配偶者であった場合:2500万円
- 被害者が独身の男女、子供、幼児等であった場合:2000万円~2500万円
が一つの目安となります。
死亡慰謝料は赤い本にも「具体的な斟酌事由により、増減されるべき」とされており、
被害者の方の生前の様子や亡くなったことによる無念、被害者を失ったことで近親者の方が受けた苦痛などを細かく述べることで、金額を上げることができます。
刑事裁判への被害者参加での心情意見陳述や、民事裁判での陳述書の提出などで、適切な慰謝料を獲得するよう努めなければいけません。
金額の問題ではありませんが、受けた精神的苦痛に対する慰謝料が不当に低く評価されること等あってはなりません。
慰謝料を増額するためのポイント
的確な診断を受けるために病院での対応が重要
人身事故に遭った場合、適切な慰謝料を受け取るためには、事故後すぐに病院で診断を受けることが重要です。
交通事故による怪我の有無や程度を早期に確認することにより、相手方から因果関係について疑義を挟まれるリスクを小さくすることができます。
特に軽傷であっても、見逃されやすい症状が後々問題になる場合もありますので、できるだけ早く専門の医師に相談しましょう。
通院頻度と治療内容が示談交渉に与える影響
通院頻度と治療内容は、慰謝料請求においては重要です。
まず第一に、交通事故によって負った怪我に対する治療が行われていることが入通院慰謝料請求の前提になります。
当然ですがその交通事故では受傷していないのに、受傷したと嘘をついて通院をしても慰謝料の請求はできませんし、
事故で怪我を負ったのは首なのに歯の治療をしても慰謝料請求はできません。
また、通院の頻度も重要です。
通院の頻度が少ないと、「大した怪我ではなかったのだ」と加害者側保険会社が判断し、
治療費の一括対応を早期に打ち切ったり、自賠責保険での後遺障害等級の認定が難しくなったりする可能性があります。
過剰な通院は治療費がかさむリスクもありますから、主治医と相談しつつ適切な通院頻度を守るよう心がけましょう。
慰謝料の請求手続と注意点
警察への届け出と事故証明書の取得
人身事故が発生した場合、まず警察への届け出を行うことが必要です。
警察に届け出ることで事故の客観的な記録が残り、「交通事故証明書」や「刑事記録」といった重要な証拠を取得できます。
これらの証拠は、慰謝料請求や示談交渉(過失割合の検討)等において不可欠なものです。
また、事故直後に届け出を行わないと、加害者側が事実を否認したり保険会社が手続きに応じないケースもありますので、必ず迅速に対応しましょう。
保険会社との交渉における注意点
保険会社と交渉する際は、自賠責基準や任意保険基準が使われることが多いため、その基準額が適正かどうかを把握しておく必要があります。
保険会社はあくまで営利企業であるため、被害者に支払う慰謝料の金額を抑える傾向があります。
そのため、裁判基準を元に主張することで、より高い金額を得られる可能性があります。
さらに、保険会社が提示する示談案を急いで受け入れることは避け、十分に検討する時間を確保しましょう。
弁護士に相談するタイミングとその重要性
弁護士が介入した場合のメリット
人身事故の被害者にとって慰謝料請求は、非常に重要な手続ですが、加害者や保険会社との交渉は精神的にも負担が大きいです。
このような状況では、弁護士を依頼することで多くのメリットが得られます。
弁護士は法律の専門知識を活用し、交通事故の基準や相場を踏まえた適正な慰謝料を計算することができます。
特に、保険会社は任意保険基準を用いて低額な提示をする傾向がありますが、弁護士が介入することで裁判基準による高額な慰謝料を請求することが可能になります。
また、弁護士が代理人となることで被害者が直接交渉を行う必要がなくなり、精神的な負担も軽減されます。
トラブルを未然に防ぐ
人身事故における慰謝料請求では、加害者や保険会社と意見の食い違いによりトラブルに発展することがあります。
特に過失割合や後遺障害等級の認定においては、被害者が一人で対応するには限界がある場合もあります。
このようなトラブルを未然に防ぐためにも、弁護士の専門的なサポートを受けることが重要です。
弁護士は法律と事実関係をもとにした客観的な視点で対応するため、解決までスムーズに進む可能性が高まります。
どの弁護士を選ぶべきか
弁護士を選ぶ際には、一言でいえば信頼できる弁護士を選ぶべきです。
では、その信頼できるかどうかをどうやって判断したらよいでしょうか。
まず、交通事故問題に特化した経験豊富な弁護士を選ぶのが理想です。
交通事故のケースは専門的な知識と実績が鍵となるため、適切な慰謝料を請求するためには、その分野に長けた弁護士を探しましょう。
また、実際に依頼した際の費用やサポート内容についても確認することが大切です。
さらに、初回無料相談を利用して弁護士との相性や対応力を測ることも効果的です。
適切な弁護士を選ぶことで、より有利な結果を得ることができるでしょう。
弁護士に相談すべきタイミング
弁護士に相談すべきタイミングは、負った怪我の内容や、弁護士費用特約の有無によって変わります。
例えば骨折をした場合や脊髄損傷を負った場合、高次脳機能障害の診断を受けた場合といった、後遺障害等級の認定可能性が高い怪我を負ってしまったような場合だと、
弁護士に依頼することで増額する幅が大きいことが事故直後から予測ができます。
このような場合、弁護士に依頼したことによる費用を超える増額が期待できるため、事故直後から弁護士に依頼しても問題ありません。
一方で、軽度の打撲やむち打ちといった怪我の場合、治療期間がどれくらいになるか、後遺症が残るかどうかなどが事故直後には判断がつきません。
「後遺症が残ると思って事故直後に弁護士に依頼したが、治療の効果がてきめんですぐに完治してしまった」といった場合には、
弁護士の介入による増額幅よりも弁護士報酬が高くついてしまう、いわゆる費用倒れになるリスクが生じます。
このような場合には、治療をある程度続けて、後遺症が残りそうだとわかった段階で弁護士に依頼すべきでしょう。
ただし、これは弁護士費用特約がない場合です。
弁護士費用特約が付帯されている保険に加入していたような場合には、弁護士費用を保険が代わりに支払ってくれますから、
費用負担なく弁護士に依頼ができます。
依頼時期が早期であればあるほど治療や物損、休業中の対応など様々な疑問や不安を弁護士に相談することができますから、
弁護士費用特約が付帯されている場合には怪我の内容にかかわらず早期に弁護士に相談することがお勧めと言えるでしょう。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。
交通事故被害に遭い、ご不安をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。