交通事故コラム

慰謝料 骨折

人身事故で骨折したらどうする?慰謝料請求の相場やポイントを徹底解説!

2025.01.27

入通院慰謝料 後遺症慰謝料 慰謝料 骨折

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 人身事故で骨折した場合にやるべきこと
  • 人身事故で骨折した場合の慰謝料相場
  • 慰謝料請求の手順と注意点

等について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による交通事故解決サポートを行っております。

人身事故被害に遭い、お困りの方やそのご家族の方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による交通事故解決サポートの詳細についてはこちら。

 

人身事故で骨折した場合にやるべきこと

下肢複雑骨折の後遺障害等級

速やかに警察に連絡

交通事故が発生した場合、可能であれば速やかに警察に連絡しましょう。

事故当事者には道路交通法により警察への報告義務と被害者の救護義務が課せられますから、

加害者側が行ってくれることも多いです。

 

こちらも可能であればですが、加害者側保険会社の連絡先を聞いたり、目撃者の情報を聞いたり、現場の状況を写真に収めておく等ができれば、

のちのち過失割合の交渉でもめた時などに役立つ可能性があります。

 

整形外科で適切な診断を受ける

骨折が疑われる場合、速やかに病院で診断を受けましょう。救急車を呼ぶ場合もありますが、自分が動かせる状態でも、必ず整形外科で適切な診察を受けるようにする必要があります。

 

治療を続けても痛みが改善せず、いざCTを撮影してみたところ骨折が発覚した、ということもありますが、

このような場合でも事故当初から整形外科にて主治医に痛みを訴え続けていた場合と、事故から日が経ってから初めて受診するような場合とでは、

加害者側保険会社や裁判所の認識が大きく異なります。

 

というのも、事故日から初診日までの期間が空いてしまうと、

「その骨折は本当に今回の交通事故で発生したものなのか?」という疑いを挟む余地が生まれてしまうからです。

 

しばらく痛みを我慢していたけれど良くならないので受診してみたら骨折が発覚した。

そこから治療を一生懸命行った。という場合では、適切な賠償を受けられない可能性もあります。

 

将来に憂いを残さないためにも、交通事故被害に遭った後は重傷だと感じていなくても整形外科を受診することを強くお勧めします。

 

 

示談交渉の準備を進めるためのポイント

示談交渉を有利に進めるためには、事故に関する証拠を集めることが重要です。

 

特に治療費や通院交通費など、事故に遭ったことによって余計に支出をせざるを得なくなった損害(積極損害)については、

細かい領収証の積み重ねで損害額が確定することになりますから、

領収証をしっかりと保管しておくようにしましょう。

 

また、骨折による治療が長期化する場合や後遺症が残る可能性がある場合には、弁護士へ相談することを検討するのもひとつの手段です。

弁護士に依頼することで、加害者や保険会社との交渉をスムーズに進めることができるだけでなく、適切な慰謝料を請求するための積極的なサポートを受けられます。

これにより、骨折後の精神的負担も軽減できるでしょう。

 

骨折による慰謝料の相場について

慰謝料の基準となる算定方法とは

交通事故によって骨折した場合、慰謝料の算定には主に「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つが用いられます。

 

自賠責基準は自動車の運行供用者に加入が義務付けられている自賠責保険の支払基準をいいます(「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」)。

自賠責保険は強制加入ですから被害者が事故に遭った際、ほぼ確実に一定程度の補償を受けられるという反面、

多額の保険料を徴収することができないことや、日夜発生する交通事故被害者に迅速かつ平等に保険金を支払う体制を確保する必要があることなどから、

自賠責保険の支払基準自体は3つの基準の中で最も低額です。

 

自賠責保険金だけで被害者に発生した損害の全てが填補されることはまずありません。

 

 

一方、任意保険基準は保険会社ごとに異なった設定があり、詳細が公開されているわけではありません。

とはいえ、これも被害者にとって適切な賠償基準ではありません。

 

任意保険会社は被害者側に支払う保険金額が少なければ少ないほど自社の利益が大きくなりますから、

できるだけ支払う保険金額を少なくしようとしてきます。

 

任意保険会社担当者は被害者側の無知に付け込んで早期示談解決を勧めてきますが、

被害者側としてはその提示が本当に適切かどうかを判断することを求められます。

 

 

被害者にとって最も適切な基準は裁判基準(弁護士基準)です。

裁判基準はその名のとおりかこの裁判例などを基に策定された損害賠償額の基準であり、

いわゆる「赤い本」(『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)というかたちで示されています。

 

裁判所が「被害者にとって適切な慰謝料はこれです」と判示した過去の判例の集積をもとに定められた基準ですから、

被害者にとって最も適切かつ高額な基準になります。

 

人身事故被害者が適切な慰謝料を獲得するためには裁判基準(弁護士基準)での請求が必須といえます。

 

 

骨折部位や態様と慰謝料の関係

人身事故による骨折は、その部位や態様によって慰謝料の金額が変わります。

例えば脛骨(膝下の骨)を複雑骨折(開放骨折)し、複数回の手術や入院、長期間のギプス固定や松葉杖生活を余儀なくされたような場合と、

尾骨にひびが入り、数週間の安静を指示されたような場合では、後者ももちろん賠償を受けるべき精神的苦痛が発生しているでしょうが、

どうしても金額として評価する場合には両者の間に差を設ける方が合理的であるように思われます。

 

実際のところ、先ほどの「赤い本」では、裁判基準の入通院慰謝料の計算方法について、

別表Ⅰという算定用の表を用い、入通院期間を基礎とするのを原則としたうえで、

次のように記載されています。

  • 入院待機中の期間及びギプス固定中等安静を要する自宅療養期間は、入院期間とみることがある。
  • 傷害の部位、程度によっては、別表Ⅰの金額を20%~30%増額する。
  • 生死が危ぶまれる状態が継続したとき、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰返したときなどは、入通院の長短にかかわらず別途増額を考慮する。

 

このように、そもそも骨折の程度に応じて入通院期間が変動しますから、連動して入通院慰謝料の金額が変わります。

さらに、骨折の部位や程度によっては原則の基準額を超える場合もあります。

 

また、骨折の部位・程度が最も大きな影響を与えるのが後遺症による損害(「後遺症慰謝料」及び「後遺症逸失利益」)です。

後遺症による損害は、被害者の方の身体に残存している後遺症の程度に応じて定められる「後遺障害等級」に応じて決まります。

 

この「後遺障害等級」が、骨折の部位や程度で大きく変わります。

 

後遺障害等級と慰謝料

人身事故で骨折が起き、治療やリハビリを懸命に行ったものの、症状が改善せずこれ以上治療を続けても良くならないという状態に達することがあります。

この状態を「症状固定」と言い、この時点で残存している症状を「後遺症」と呼んでいます。

 

後遺症が残ってしまった場合には、将来にわたって精神的苦痛や働きにくさが発生しますから、

これに対する賠償として「後遺症慰謝料」と「後遺症逸失利益」という費目についての請求が可能となります。

 

この「後遺症慰謝料」と「後遺症逸失利益」は、先ほども見たように認定される「後遺障害等級」によって大きく金額が変わります。

 

この後遺障害等級は第1級から第14級まであり、重度になるほど慰謝料の請求額が高くなります。

第1級が認定された場合の後遺症慰謝料の目安は2800万円となりますが、第14級が認定された場合の目安は110万円と、

認定される後遺障害等級に応じて大きな金額の差が生じます。

 

後遺症逸失利益についても、認定される後遺障害等級によって、数百万円から数千万円単位の差が生じる場合があります。

 

 

人身事故での骨折の場合には、痛みが残ることはもちろん、

例えば骨折箇所付近の関節の可動域が狭くなったり、骨折部が変形して癒合してしまったり、

骨折の態様がひどい場合には神経の損傷まで繋がったりする場合もあります。

 

交通事故における後遺障害等級の認定は、主に自賠責保険に対する後遺障害等級の認定申請により行われることが多く、

その際に提出を求められる書類として「後遺障害診断書」という書類があります。

 

この「後遺障害診断書」にきちんと骨折の部位や態様、その骨折に伴いどのような後遺症が生じているのかを記載してもらう必要があります。

後遺障害診断書の作成に当たって弁護士に依頼することで、

主治医に「どのように診断書を書いてもらえば後遺障害等級の認定基準に当てはまる診断書になる」という点をお伝えした状態で後遺障害診断書の作成をしてもらうことが可能になりますから、

症状固定付近で弁護士に相談すると大きなメリットが受けられるでしょう。

 

 

慰謝料請求の手順と弁護士に依頼するメリット

示談交渉の進め方

人身事故により骨折した場合、基本的には完治や症状固定など、損害の確定を待ったうえで、発生した損害の大きさについて加害者側保険会社との示談交渉に進むことが多いです。

 

示談交渉では、治療費や入通院慰謝料、後遺障害慰謝料といった賠償項目について話し合います。

被害者としては、自分の権利をしっかり理解し、適切な賠償額を正確に主張することが重要です。

 

治療費や通院交通費などを請求する場合には領収証の保管を忘れず、

休業損害や逸失利益を請求する場合には源泉徴収票や休業損害証明書、確定申告書などを予め用意しておくと交渉がスムーズに進みます。

 

保険会社との対応で注意するべきポイント

事故後の交渉では、加害者の保険会社とのやり取りが重要な部分を占めます。

 

しかし、先ほども見たように加害者側保険会社はプロですから、被害者にとって不利な示談金額を提示してくることもしばしばあります。

そのため、被害者としては提示された金額をそのまま受け入れるのではなく、裁判基準で計算した場合に適切なのかを確認した上で判断することが大切です。

 

また、示談交渉においては発生した損害の大きさが争いになることはもちろん、

その発生した損害についてどちらがどういった割合で責任を負うかという「過失割合」についても大きな争いになることがあります。

 

「過失割合」の交渉は、事故発生時の状況を示す証拠に基づいて行われます。

ドライブレコーダーや目撃者の証言、事故時撮影した写真、

それ以外にも警察の捜査記録などに基づいた正確かつ客観的な過失割合を提示しましょう。

 

過失割合の交渉は感情的になる部分もありますが、冷静に行う必要がありますので、

場合によっては弁護士に依頼することをお勧めします。

 

 

弁護士に依頼する場合のメリット

人身事故で骨折した場合、弁護士に依頼することで多くのメリットがあります。

一つは、慰謝料の増額が期待できる点です。裁判基準(弁護士基準)での算定により、保険会社の提示額より高額な慰謝料を得ることが可能になります。

 

また、加害者や保険会社との交渉を弁護士に任せることで、自身の負担を軽減でき、治療に専念できる点も大きな利点です。

 

さらに、後遺障害等級認定の申請や必要書類の準備から複雑な手続を一貫してサポートしてもらえるため、安心して交渉を進めることができます。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、治療初期から解決までをしっかりサポートさせていただきます。

人身事故で骨折をされご不安をお抱えの方やそのご家族の方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士との初回無料の法律相談の流れについてはこちら。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。