交通事故コラム

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弁護士が教える!人身事故後の示談交渉のポイントと保険会社対策

2025.01.26

示談

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 人身事故後の示談交渉
  • 示談金計算の基準と相場
  • 交渉で注意すべきポイント
  • 弁護士に依頼するメリット

等について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による示談金無料査定サービスを実施しております。

人身事故被害に遭い、ご自身が受け取ることができる示談金額について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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人身事故後の示談交渉とは

弁護士小杉晴洋による示談交渉

示談交渉の基本的な流れとその重要性

人身事故後の示談交渉は、被害者と加害者の間で解決金額や過失割合などを協議し、合意に至るまでの過程を言います。

この交渉は、裁判を経ずに早期解決を図るために非常に重要な役割を果たします。

 

示談交渉の基本的な流れは、まず事故後に必要な治療を終えたうえで、保険会社が提示する示談案を確認し、被害者がそれに納得すれば示談が成立します。

示談成立後は、解決金が支払われ、一連の手続きが完了します。

ただし、示談成立後の内容変更は基本的にできないため、慎重な対応が必要です。

 

人身事故における損害の分類

人身事故における損害は、大きく3つにわけることができます。

 

まず1つ目が「積極損害」です。これは、事故に遭ったことで余計に支出せざるを得なくなった損害です。

代表的なものとして、治療費通院交通費、入院雑費などが挙げられます。

 

この積極損害は、支出した実費が基礎となって請求金額が決まることが多いため、

一つ一つの細かな領収証の積み重ねが重要になります。

 

次に「消極損害」です。これは、本来得られるはずであったのに、事故に遭ったことで得られなくなった利益を損害として評価するものです。

例えば入通院のために仕事を休まざるを得ず、給料が減ってしまった場合や、後遺症が残ったことで働きにくくなったため、給料が減ってしまった場合などについて、

休業損害逸失利益という形で請求を行います。

 

最後に「慰謝料」です。人身事故被害者が受ける損害は財産的損害だけではありません。

怪我の苦痛や入通院の手間といった精神的損害が生じますから、これを慰謝するための示談金として、慰謝料が支払われることになります。

 

示談と裁判の違い

人身事故後の解決方法として示談と裁判がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

示談は裁判に比べ迅速かつ柔軟に問題を解決できる点が特徴です。

また、時間や費用の負担が少ないため多くのケースで選ばれる方法です。

 

その一方で、保険会社が提示する示談金が必ずしも妥当な金額とは限らず、被害者が不利益を被るリスクもあります。

 

一方で裁判は、適正な損害賠償額を法律に基づいて明確に算出できる点が利点です。

しかしながら、解決までに時間がかかり、訴訟費用や弁護士費用が別途かかるため、全体的な負担が増える可能性もあります。

 

選択のポイントとしては、保険会社との交渉で提示された示談案が不十分かつ損害賠償金の請求額と大きく乖離している場合に、裁判を検討することが必要です。

弁護士のアドバイスを受けながら、自身の状況に応じた適切な対応を選ぶことが示談成功の鍵と言えるでしょう。

 

示談金の算出基準と相場

過失割合が示談金に与える影響

人身事故における示談金の算出では、過失割合が重要な要素となります。

過失割合とは、事故の責任が被害者と加害者のいずれにどれだけあるかを示す指標です。

 

例えば、被害者にまったく過失がない場合、示談金は損害額の全額が請求できます。

しかし、被害者側にも過失がある場合は、その過失分が差し引かれます。

 

このため、適切な過失割合を主張し、交渉することが示談金の額を決定するうえで重要です。

 

 

怪我の程度や後遺症による示談金の違い

示談金額には、怪我の程度や後遺障害の有無が大きく影響します。

軽い打撲やむちうちで済む場合と、後遺症が残るような重大な怪我の場合では、慰謝料や示談金額に大きな差が生じます。

 

それは、後遺症が残っていることが後遺障害等級という形で認定された場合には、

後遺症慰謝料と後遺症逸失利益を請求することができるようになるからです。

 

後遺症慰謝料と後遺症逸失利益は、認定される後遺障害等級によって大きく金額が変わりますが、

重度の後遺症が残ってしまうような場合には、数千万円から1億円を超えるような金額になる場合もあります。

 

後遺症が残っているにもかかわらず、適切な後遺障害等級の認定が得られなかったために、適切な示談金を受け取ることができなかったという事態は絶対に避けなければなりませんから、

後遺障害等級認定の申請時には弁護士に相談することがお勧めです。

 

3つの示談金算定基準

人身事故の示談金の算出には、「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判基準」という3つの基準があります。

 

自賠責保険は被害者が最低限度の補償を受け取ることができるよう、自動車を運転する場合は必ず加入しなければならない保険になります。

しかし、あくまで自賠責基準は最低限度の補償でしかありませんから、被害者にとって適切な金額を受け取ることはほとんどの事案でできません。

 

 

そのため多くの事案では、自賠責基準に上乗せする形で加害者が加入している任意保険との交渉となります。

任意保険会社は当然任意保険基準で示談金の支払を進めようとします。任意保険会社としては、支払う金額ができるだけ少なく、自賠責基準と同額になるくらい少なくできれば、

自社の利益が大きくなりますから、被害者にとって適切な提案をしてくることはまずありません。

 

 

被害者が適切な示談金を獲得するためには裁判基準での請求が必須です。

裁判基準は過去の裁判例で被害者に認められた金額をもとに定められた基準であり、被害者にとって最も高額かつ適切な基準と言えます。

 

裁判基準での請求を行うためにも弁護士に相談することを検討しましょう。

 

 

保険会社との交渉で注意すべきポイント

自賠責保険による高次脳機能障害の審査

保険会社が提示する示談金の注意点

人身事故後、保険会社から示談金の提示を受けることが一般的ですが、この金額には注意が必要です。

保険会社は、自社の負担を最小限にするため、被害者にとって不利益となる低い金額を提示することが少なくありません。

 

そのため、提示された示談金額が本当に適正であるかを確認することが重要です。

特に交通事故の相場や損害賠償の基準を知らないまま示談してしまうと、本来受け取るべき補償を見逃してしまうリスクがあるため注意が必要です。

 

保険会社の交渉戦略に対する対策

保険会社は示談交渉のプロであり、被害者が知らないうちに自社に有利な条件で合意をさせる戦略を取る場合があります。

 

たとえば、「早く解決したほうがよい」「これ以上の金額は無理だ」などの言葉で早期の合意を促すことがあります。

また、専門的な法律用語を使って被害者に混乱を与えたり、後遺障害の認定を軽視して正当な慰謝料を反映させないケースもあります。

これに対抗するためには、冷静に対応し、一度に合意しないことが大切です。必要に応じて弁護士に助言を求めることで、不適切な示談案を回避することができます。

 

示談書(免責証書)にサインする前に確認すべきこと

示談書は一度署名してしまうと、原則として内容を変更することができません。

そのため、サインする前に内容を十分に確認することが不可欠です。

 

特に、提示された金額が治療費や慰謝料、逸失利益などの損害賠償に照らし合わせて適正であるかを細かく確認することが大切です。

また、示談書には「これ以上の請求を行わない」という免責条項が含まれることが多いため、後になって新たな損害が発生しても補償を求めるのが難しくなる可能性を理解しておきましょう。

弁護士に依頼すると、示談内容を細かくチェックし、不利な内容を避けるサポートを受けられます。

 

弁護士を活用するメリット

弁護士を依頼した方が良いケース

人身事故の示談交渉では、すべてのケースで弁護士が必要というわけではありませんが、以下のような場合には弁護士を依頼することが有効と言えます。

 

例えば、加害者側の保険会社が提示してくる示談金額が被害者の立場から見て納得できない場合です。

このような場合、弁護士は裁判基準に基づいた被害者にとって適切な金額を算定することで交渉を進めることができます。

 

また、後遺症が残る怪我の場合には、適切な後遺障害等級の認定が得られず、結果として適切な賠償金が得られない場合もあります。

このような場合には、弁護士に依頼することで、医師との面談の上後遺障害診断書の訂正を行ったり、医学的な意見書を取り付けたりすることで、

適切な後遺障害等級の認定を獲得できる可能性が大きく上がります。

 

他にも過失割合で争いがあるケースや、保険会社の対応が遅い場合、弁護士の介入による迅速な解決が期待できます。

 

弁護士が示談交渉を行う際の効果

弁護士が示談交渉を行うことで、人身事故の被害者が得られる最大の効果は、示談金の増額が見込まれる点です。

 

保険会社が提示する示談金は、通常、自賠責保険基準や任意保険基準に基づいて算定されますが、

これに対して弁護士は「裁判基準」と呼ばれるより高い基準で示談金の請求を行います。

 

これにより各費目について被害者にとって最も適切な金額での請求を行うことが可能となり、納得の示談解決につながります。

 

また、弁護士が交渉を代行することで、被害者自身が保険会社と直接やり取りする煩わしさを避けることができます。

弁護士の専門知識と経験に基づいた交渉により、事故後の精神的負担を軽減する効果も大きいと言えます。

 

弁護士費用特約を活用する方法

交通事故の被害者が弁護士を依頼する際に懸念するのが弁護士費用ですが、被害者自身が契約している保険に「弁護士費用特約」が付帯されている場合があります。

この特約が利用可能な場合、弁護士費用の負担を気にすることなく弁護士に依頼することが可能になります。

 

たとえ特約を使用しても保険料が値上がりしない点も大きなメリットです。

弁護士特約が付いているかわからない場合は、保険契約内容を確認するか、保険会社に直接問い合わせると良いでしょう。

 

弁護士を選ぶ際のポイント

弁護士を選ぶ際には、交通事故分野に詳しく、経験豊富な弁護士を選ぶことが重要です。

人身事故の示談交渉は一般的な法的知識だけでなく、治療内容や後遺障害等級、示談金の相場といった専門的な知識が必要とされます。

そのため、交通事故案件に特化した弁護士かどうかを確認することをお勧めします。

 

また、相談時には自分のケースに対してどのような対応を考えているのか、見積もりや将来的な示談金額の見通しについて丁寧に説明してくれる弁護士を選ぶと良いでしょう。

初回無料の法律相談を受けてみることもお勧めです。

 

さらに、弁護士との相性も重要なポイントです。示談交渉は長期にわたることもあるため、信頼関係を築ける弁護士を選ぶことが適切な対応につながります。

 

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

人身事故被害に遭い、適切な示談金が得られるかご不安をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。