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交通事故における休業損害の計算方法を徹底解説!

2024.10.09

損害賠償請求

休業損害

このページでは、被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 休業損害とは?
  • 職業別の休業損害の計算方法
  • 休業損害の算定基準
  • 休業損害の計算で気を付けるべきポイント

 

について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者側損害賠償請求専門弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

休業損害について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

被害者側損害賠償請求専門弁護士へのお問い合わせはこちらのページから。

 

休業損害とは?

休業損害とは、交通事故による怪我などで勤務できないことにより失った収入を補うためのものです。

これは、所得の減少を意味する消極損害の一種として扱われます。

たとえば、交通事故によって仕事を休まざるを得なくなった場合、その期間中に得られるはずだった収入を算出し、賠償金として請求できます。

休業損害の計算には、基準日額や実際の労働を休んだ日数が用いられます。

 

また、休業損害は給与所得者、自営業者、そして主婦や主夫など、多くの職業の方が請求可能なのも特徴の一つです。

 

休業損害と休業補償の違い

休業損害と休業補償は似た概念ですが、それぞれ異なる点があります。

休業損害は、交通事故による所得の減少を補償し、自賠責保険や任意保険に基づいて請求されます。

 

一方、休業補償は労働者災害補償保険、つまり労災保険によるもので、通勤中や業務中の事故に対応するために提供されます。

具体的には、労災保険では、休業が続く場合、休業4日目以降の1日につき給付基礎日額の60%が支給されます。

このように、休業損害と休業補償は適用される保険や基準が異なるため、どちらの制度を活用するべきかを理解することが大切です。

 

特に交通事故の際には、労災保険を利用した方が結果的に受け取ることができる賠償金の額が増額することもあり、

通勤中の交通事故の場合はその旨弁護士に相談されることをお勧めします。

 

【通勤災害】労災保険利用のメリット2つを専門弁護士が解説!

 

休業損害の基本的な計算方法

交通事故により休業を余儀なくされた場合、休業損害の計算は重要な要素となります。

休業損害とは、事故によって失われた収入を補償するもので、その算出は職種や所得形態によって異なります。

また、計算には様々な基準があり、適宜その基準に従って行うことが求められます。以下では、代表的な職業別に休業損害の計算方法を説明します。

 

給与所得者の場合

給与所得者が交通事故による休業損害を請求する際の計算方法は比較的直線的です。

基本的には、「1日あたりの基礎収入 × 休業日数」によって算出されます。

ここで、1日あたりの基礎収入は、事故前の3か月間の総支給金額(額面)を実稼働日数で割った金額が一般的に使用されます。

 

また、休業日数は治療のために実際に働けなかった日数を指します。この計算によって得られる休業損害は、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準のいずれかを用いて決定され、最も高額となるのは裁判基準です。

 

有給休暇を使用した場合の休業損害の計算についてはこちら。

パート・アルバイトの方の休業損害の計算についてはこちら。

 

自営業者の場合

自営業者の場合、給与所得者とは異なり、収入の変動があるため休業損害の計算がやや複雑になります。

一般的には、事故前の確定申告に基づく年間所得を365日で割り出し、日額を算出します。これに休業日数を掛け合わせることで、休業損害が算出されます。

 

しかし、自営業者の場合は特に、事故の影響で実質的な収入の減少がどの程度あったかを具体的に証明する必要があります。このため、詳細な資料や証拠の準備が不可欠です。

このとき固定経費は損害として計上できますが、流動経費については損害として計上できません。

 

また、申告外所得がある場合や、そもそも確定申告をしていないような場合には、正確な証拠が存在していれば実際の所得で休業損害の計算をされる場合もありますが

その証拠の正確さは厳密に判断されます

(『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻(講演録)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)平成18年版収録 湯川浩昭裁判官の事業者の基礎収入の認定に関する講演(平成17年10月29日)参照)。

 

自営業者の方の休業損害の計算についての詳しい解説はこちら。

 

主婦・主夫の場合

専業主婦または主夫が交通事故により家事を行えない場合にも、休業損害の請求が可能です。

この場合の計算は、厚生労働省が実施している賃金構造基本統計調査の結果(いわゆる「賃金センサス」)の、

第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を365日で割り、1日あたりの家事労働の価値を計算し、

そこに休業日数を掛けることで休業損害が算出されます。主婦・主夫に対する休業損害もまた、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準のいずれかが適用されることが多いです。

 

なお、兼業主婦の方の場合は、実際に労働の対価として得ている収入と、上記平均賃金とのどちらか高い方を基礎収入として計算がされます。

 

主婦の方の休業損害の計算についての詳しい解説はこちら。

 

休業損害の計算基準

交通事故による休業損害の計算において、基準に基づいた賠償額について知ることは非常に重要です。

ここでは、自賠責基準と裁判基準の違い、そして特別な事情がある場合の対応について詳しく解説します。

 

自賠責基準

最低日額6100円が保障されます(自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準より)。

これは交通事故の被害者が、速やかかつ平等に補償を受けられる仕組みを整えることが目的とされています(自動車損害賠償保障法第1条)。

 

裁判基準

一方で、裁判基準は弁護士の助言を受けることにより、より高額な金額が算出されることが多く、

被害者の実際の収入や生活水準に見合った補償を得ることが可能です。

 

自賠責保険は速やかな支払を受けられる反面、発生した被害の大きさに比べて適切な賠償が為されているとは言いづらい側面もあるため、適切な賠償を受けるためには裁判基準での請求が必須です。

 

特別な事情がある場合の対応

交通事故の被害者が個別の事情を抱えている場合、一般的な基準で計算した休業損害が適用されないことがあります。

例えば、長期入院が必要だったり、手術後のリハビリが長引いたりする場合です。

 

このような場合では、勤務日数が足りなくなるために将来の有給休暇取得日数が減少したり、

賞与が減額されたり、昇給や昇進が遅れたり、といった損害が発生する可能性があります。

 

このようなケースでは、証拠となる診断書や医療記録を用意することはもちろん、場合によっては会社の職務規程を調査したり、人事担当者にお話をお伺いして個別の事情を詳細に証明することが重要です。

弁護士の助けを借りることで、より的確な休業損害の算出と請求が可能になります。弁護士の支援を受けることで、特別な事情に対し、賠償額の正当性を強く主張することができます。

 

休業損害の請求手続き

必要な書類と手続きの流れ

交通事故における休業損害を請求するためには、いくつかの書類が必要です。

まず、事故による休業を証明するために「休業損害証明書」が必要になります。

これは勤務先から発行してもらい、事故によってどれくらいの期間、仕事を休まざるを得なかったかを証明する書類です。

 

次に、給与所得者の場合、給与明細や源泉徴収票など、事故前の収入を証明するための書類も揃える必要があります。

自営業者の場合には確定申告書の提出は必須となるでしょう。

 

これらの書類が整ったら、加害者が契約している保険会社に提出します。通常、保険会社は提出された書類を基にして、休業損害を計算し、賠償を行います。

 

休業損害の請求で気を付けるべきポイント

休業損害の請求は、被害者の方の治療期間中の生活を支える重要な補償になりますから、

適切な賠償が得られないということは避けなければなりません。

 

しかし、だからといって正確な金額の算定が終了するまで支払がないとなると、

それでは生活が成り立たなくことも考えられます。

 

休業損害の支払がないことで生活が苦しくなることを理由に、治療期間がやむを得ず短くなってしまうということを避けるためにも、

自賠責保険の仮渡金や、加害者側保険会社の内払の対応、通勤労災の場合は労災の休業給付など、

使うことができる様々な制度をその場その場でどの選択が最も良いかを判断して行う必要があります。

 

弁護士やに依頼することにより、交通事故の休業損害の請求に必要な全ての手続きをサポートしてもらえます。

例えば、弁護士に依頼すると、休業日数や休業損害の妥当な計算を行い、裁判所や保険会社に対して適切な主張をしてくれます。

特に、休業損害の日数や補償額に関して争いがある場合、裁判基準を活用して最大限の補償を求めることができます。

 

休業損害について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度被害者側損害賠償請求専門弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者側損害賠償請求専門弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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