慰謝料 過失割合
10対0事故の示談金の相場は?いくらもらえるかを専門弁護士が解説!
2025.03.11
このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
- 10対0事故とは?
- 10対0事故の示談金相場
- 示談金を増額させるためのポイント
- 示談交渉をスムーズに進めるために必要な知識
などについて解説します。
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交通事故被害に遭い、ご自身が受け取れる賠償金(示談金)がいくらもらえるのかについて疑問をお抱えの方は、
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10対0の事故とは?基本知識を解説
過失割合10対0のケースとは?
民法では「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定されています(民法第722条2項)。
これを「過失相殺」といい、過失相殺によって定められた被害者及び加害者の過失の割合を「過失割合」といいます。
この「過失割合」は、実務においてはどちらがどの程度の責任を負うべきなのかを具体的に示す指標となります。
たとえば、発生した交通事故について双方の過失割合が9:1であれば、事故の90%が加害者の責任であり、残りの10%が被害者の責任ということになります。
この割合は事故後の損害賠償の基準となるため、非常に重要な役割を果たします。
今回の事故により被害者に生じた損害が1000万円であった場合、被害者の過失が10%となると、この1000万円×10%=100万円は自己過失分ということで相手に請求することができず、
受け取ることができる金額は自己過失分を差し引いた900万円となります。
交通事故の過失割合が10対0とされる場合は、被害者に全く過失がなく、加害者側に全ての責任があると判断されます。
このようなケースでは、被害者は過失分を差し引かれることなく、提示された損害額の全額を請求する権利があります。
過失割合が10対0となるケース
典型的な過失割合が10対0となる交通事故の例として、追突事故や信号無視が挙げられます。
そもそも交通事故の過失割合は、
原則として東京地裁民事交通訴訟研究会編別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)を基に、
全【338】の類型のどれに当てはまるかという観点から、事故の状況に則した妥当な割合を算出します。
よく交通事故被害に遭った場合に、加害者側保険会社から「動いている者同士の事故で10:0はない」と言われることがあります。
これは100%間違いというわけでもありません。
実際各類型で「基本過失割合」として表記されている過失割合は、被害者側にも一定程度の過失を設定しているものがほとんどです。
しかし、各類型にはそれぞれ「修正要素」というものがあります。
例えば、加害者側がスマホを注視していたり、著しい速度違反があったりというような事情が認められる場合には、「著しい過失」として評価され、
基本過失割合から被害者側に有利に修正する要素となります。
適切な修正要素を用いることで、過失割合を10対0にしたり近づけたりすることが可能になるわけですが、
修正要素の認定にあたっては、事故時の正確な状況と、各修正要素の定義をしっかりと把握しておく必要があります。
ドライブレコーダーや刑事記録、目撃者の証言や事故後の現場の写真、防犯カメラの映像などを基にしながら、
修正要素に該当することを主張していくことが必要になりますから、
交通事故を専門とする弁護士に依頼することで、これらの証拠に基づいた主張を代理で行ってもらうことができます。
物損事故の場合の特徴と対応
物損事故においても過失割合が10対0と認定されるケースが存在します。
例えば、駐車中の車両に一方的にぶつける事故や、停止中の車に追突した場合などです。
物損事故の場合、示談金の算定は修理費用や時価額・買替諸費用や代車費用など、実際に発生した費用を基に計算されます。
ただし、物損事故であっても保険会社の提示額が低すぎる場合があるため、相場を把握し適切な請求を行うことが重要です。
10対0事故でも注意が必要なケース
10対0の事故であれば当然に適切な示談金が受け取れるというわけではありません。
後述するように、示談金の計算は、発生した損害の大きさを確定させたうえで、そのうち加害者が責任を負うべき額(被害者の過失を差し引いた額)はいくらかという計算により算出することになります。
したがって、そもそも発生した損害の大きさを適切に認定してもらわなければ、
いくら自身の過失が0でも適切な示談金を受け取ることはできません。
加害者側保険会社はできるだけ支払う保険金を少なくしようとしてきますから、
保険会社から提示された金額ですぐに示談してしまうことはお勧めしません。
弁護士に相談し、加害者側保険会社の提示が適切な示談水準かどうかを確認しましょう。
10対0事故の示談金相場を知る
示談金の内訳
交通事故で支払われる示談金というのは様々な費目から構成されています。
例えば怪我を負い入通院を余儀なくされるような場合には、治療費や通院交通費、入院雑費などが発生しますから、
これらも損害ということで請求が可能です。
また、入通院を余儀なくされるような場合にはお仕事をお休みせざるを得ず、収入が減ってしまうような損害(休業損害)なども発生するでしょう。
後遺症が残り、将来にわたって不利益が発生し続けるような場合には逸失利益という損害も発生する場合があります。
さらに、入通院や後遺症に対する精神的苦痛に対する慰謝料も発生します。
このように、示談金と一言に言っても内訳は様々です。
各費目について適切な計算方法や基準がありますから、相手方から提示された金額は細かくチェックする必要があります。
10対0事故であろうが、被害者に過失があろうが、
まずは発生した損害の大きさを適切に評価することが大切です。
むちうちの場合の示談金相場
むちうちは、10対0の交通事故(追突)でよくみられる怪我の一つです。
この場合の示談金相場は、通院期間や症状の程度によって大きく異なります。
例えば、通院期間が1か月の場合は約19万円、6か月の場合は約89万円が目安とされています。
この計算は、裁判基準(弁護士基準)によるものです。
加害者側保険会社が提示してくる金額は裁判基準(弁護士基準)に満たないような自賠責基準や任意保険基準によることが多いため、
適切な金額とは言えません。
適切な入通院慰謝料を獲得するためには弁護士に依頼して裁判基準(弁護士基準)での請求を行うことが重要です。
- 関連記事:入通院慰謝料の計算方法徹底ガイド!正しい金額を知ろう
- 関連記事:交通事故被害者が知っておくべき自賠責保険の慰謝料の基準
- 関連記事:両方もらえる!?交通事故慰謝料の自賠責と任意保険を賢く活用する方法
後遺症が残った場合に請求できるもの
後遺症が残った場合には、後遺症が残ってしまったことで将来にわたって日常生活などに支障が生じるという精神的苦痛に対する慰謝料である後遺症慰謝料と、
後遺症が残ったことで労働能力が喪失(低下)し、事故に遭わなければ得られていたはずなのに得られなくなった利益に対する填補である逸失利益とが請求可能になります。
この後遺症慰謝料と逸失利益は、当然ですが残った後遺症の程度が、金額に大きな影響を及ぼします。
ですから、残った後遺症の程度をしっかりと加害者側に認めてもらうことが必要なわけです。
ところで、後遺症が日常生活にどれほどの支障を与えるかは千差万別です。
一方でそれを金銭で評価する場合には一定の平等さが担保されていなければなりません。
この一人一人に残った後遺症の程度を平等に評価するために設けられているのが、後遺障害等級です。
この後遺障害等級については、それぞれの被害者の身体や精神に残存する症状が
第1級~第14級のどの等級に当てはまるかという観点から判断がされます。
交通事故事案におけるこの後遺障害等級の審査は、損害保険料率算出機構内部の自賠責損害調査事務所において行われます。
この自賠責損害調査事務所は、日々全国で発生する交通事故事案について、迅速かつ平等に処理することを求められていますから、
後遺障害等級の認定にあたっては書面による審査を原則としています。
ですから、後遺障害等級認定の申請時に提出する書面の記載が極めて重要になります。
なかでも後遺障害診断書は重要で、この後遺障害診断書の出来で、認定される後遺障害等級が変わると言っても過言ではありません。
もちろん身体に残存する症状以上の後遺障害等級の認定を得るために診断書の作成を医師に依頼することはできませんが、
身体に残存する症状を適切に評価してもらうための後遺障害診断書の作成は依頼すべきです。
主治医は患者の身体や精神の症状を少しでも軽減させることについては専門家ですが、
後遺障害診断書にどういう記載をすれば後遺障害等級認定基準に該当する診断書になるかどうかについては専門家ではありません。
この点についての専門家が弁護士であり、後遺障害等級認定の申請にあたっては弁護士に依頼するメリットが大きいと言えます。
示談金を増額させるためのポイント
加害者側保険会社との交渉で気をつけるべきこと
加害者側保険会社との交渉では、感情的にならないことが重要です。
10対0の事故だからといって必ずしも被害者の希望する額が得られるわけではありません。
ここまで見てきた様に、過失割合と発生した損害の認定は基本的には全く別物です。
冷静かつ丁寧に対応し、客観的な証拠や根拠に基づいて交渉を進めることが大切です。
また、加害者側の保険会社はできるだけ示談金を抑えようとすることがほとんどですので、
提示された金額を素直に受け取るのではなく、適切な計算が行われているかをしっかり確認しましょう。
証拠と裁判基準に基づいた適切な主張
示談金を増額させるためには、証拠が必要です。
交通事故証明書や病院の診断書、通院交通費の明細書などはもちろん必要です。
そのうえで、例えば重度後遺症が残り家屋の改造が必要となるような場合には、実際に生活の様子を撮影し、日常生活における支障を実際に見てもらうのも大きな証拠になるでしょう。
また、仕事における支障について職場の方から陳述書を作成してもらったりすることで、逸失利益の金額の交渉を優位に進められる可能性もあります。
このように、裁判基準に基づいた請求を行いながら、その金額が妥当・適切である理由を示す効果的な証拠を提出していくことで、
示談金を増額できる可能性が高まります。
弁護士に依頼するメリット
交通事故に詳しい弁護士に依頼することで、示談金を大幅に増額できるケースがあります。
弁護士は裁判基準に基づいた適切な請求を行うとともに、その請求に当たり必要な証拠についてアドバイスをしてくれます。
加害者側保険会社が提示してくる金額は、適切な金額ではないことがほとんどですから、
弁護士の交渉により金額が上がるケースがほとんどです。
ご自身が加害者側保険会社から受けている提示金額が妥当かどうか疑問をお抱えの場合は初回無料相談などで弁護士の見解を訊いてみることも有用です。
裁判を視野に入れるべきタイミング
裁判を行うことのメリットは、裁判官が認定した損害額の支払を受けることができるという点です。
10対0事故の場合は認定を受けた損害額の全額の支払がなされます。
また、裁判所は当然裁判基準に基づいて計算を行うため、示談交渉よりも金額が増額しますし、
裁判を提起した場合は、示談交渉時には慣習として請求ができない「弁護士費用」と「遅延損害金」の請求も可能になります。
一方で、裁判を行う場合は1年単位で時間を要するため、事件解決が遠のきます。
また、裁判所に納める印紙や、提訴時の弁護士費用が追加で発生することになり、
時間と費用をかけるだけの価値(裁判を行ったことで増額した金額との衡量)があるのかをしっかりと検討する必要があります。
この時間と費用をかけるだけの価値があるのかどうかについては、
見立てをしっかりとたてる必要がありますから、弁護士に相談することが有用です。
示談交渉をスムーズに進めるために必要な知識
示談交渉の基本的な流れ
10対0の交通事故における示談交渉は、被害者と加害者(またはその保険会社)の間で協議し、賠償額について合意を得る手続です。
基本的な流れとしては、まず事故発生後に保険会社へ報告を行い、次に被害の程度を明確にするため医療機関での治療やリハビリ、後遺障害等級認定の申請等を進めます。
その後、示談金の提示を受け、それに基づいて交渉を進めていきます。
先ほども見たように示談金は様々な費目から構成されているため、被害者としては適切な金額が提示されているかしっかり確認することが大切です。
保険会社の対応で知っておくべきこと
10対0の事故では、加害者側の保険会社とのやり取りが中心になります。
保険会社は示談を早期に締結するため、提示額を低く抑える傾向があるため注意が必要です。
また、被害者の損害を査定する際、必要な書類や証拠が不足している場合には、適正な金額が支払われないケースもあります。
必要な証拠を的確にそろえ、それらに基づいた適切な主張を行うことが求められます。
弁護士への依頼
弁護士に依頼することで、必要な証拠に基づいた的確な主張が可能になります。
スムーズに適切な示談金を獲得するためには、弁護士に依頼することが非常に有用です。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
後遺障害等級認定の申請から、示談交渉、解決までをしっかりサポートいたします。
10対0の交通事故被害に遭い、ご自身が受け取れる示談金について疑問をお抱えの方は、
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