交通事故コラム

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交通事故後の示談の流れについて専門弁護士が解説!

2025.03.14

全国対応の弁護士 示談

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 交通事故発生後の対応
  • 治療の流れ
  • 示談交渉の準備
  • 示談交渉の進め方
  • トラブルが発生した場合の対処法

などについて解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による交通事故解決サポートを行っております。

交通事故被害に遭い、示談交渉の流れなどについて疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による交通事故解決サポートの詳細についてはこちら。

 

交通事故発生後の対応

事故発生直後は安全を確保する

交通事故被害に遭った直後、まずはご自身の安全の確保が最重要です。

二次災害を避けるために、危険のない安全な場所へ移動し、可能であれば救急車を呼ぶなどの対応をしましょう。

 

また、車両を安全な位置に移動させたり、三角表示板を設置するなどして周囲の安全を確保することも重要です。

 

警察への連絡

交通事故が発生した際には、必ず警察に連絡を入れなければなりません。

車両の運転者や乗務員は、道路交通法第72条後段により、交通事故発生時の警察への通報が義務付けられています。

 

またこの警察への通報は、加害者側だけが行えばよいというものでもありません。

交通事故被害に基づく損害賠償請求にあたっては、まずその被害者と加害者との間で交通事故が発生したという事実を証明するところから始めなければなりません。

警察に通報することで警察から「交通事故証明書」を発行してもらうことができ、これが事故発生の証明として極めて強力な証拠になります。

 

事故の瞬間は軽微な事故だと思い、その場を立ち去ったものの、

家に帰ってから体のいたるところに症状が出てきたので、そこから初めて警察に連絡したような場合には、

事故発生を立証できなければ交通事故被害に基づく損害賠償請求ができません。

 

警察にはしっかりと連絡を行い、現場では事故状況を詳しく説明し、警察官に相手の保険情報や双方の接触状況を正確に伝えましょう。

 

加害者側の連絡先を確認しておく

交通事故の現場では、加害者の情報を収集することが必要です。

具体的には、相手の氏名、連絡先、車両ナンバー、運転免許証の情報、保険会社名などを確認しましょう。

これらの情報が不足すると、示談交渉や損害賠償請求に支障をきたす恐れがあります。

 

また、可能であれば、事故当時の目撃者を探し、連絡先を聞いておくと、後々相手方との交渉や裁判が必要になった際に、有力な証拠となります。

 

治療の流れ

医師面談

できるだけすみやかに医療機関を受診する

交通事故直後には、まず医療機関を受診し、適切な診察・治療を受けることが大切です。

事故後すぐには痛みや症状が現れない場合もありますが、念のため検査を受けることをおすすめします。

 

これはもちろん事故直後には気づいていない症状について気づくきっかけとなり、早期から治療が可能な点でご自身の身体的にも大切なことですが、

事故日と初診日が離れているような場合、「この怪我は本当に事故により負った怪我なのか?」という点に疑問が生じてしまい、

場合によっては加害者側保険会社から治療費の一括対応や、慰謝料の支払を拒否されかねません。

 

事故直後はたとえ自覚症状が出ていなくても、身体のためにも損害賠償請求を見据えるうえでも早期の受診をお勧めします。

 

 

治療費については加害者側保険会社による一括対応が行われることが一般的です。

加害者側保険会社は毎月の治療費を病院に支払うにあたり、病院から診断書と診療報酬明細書という書類を取得しています。

基本的にはその診断書や診療報酬明細書により、どのような治療を受けているか、治療費がいくらかかっているかといった事情について加害者側保険会社は情報を持つことになります。

ですから、改めて示談交渉の際に治療費について被害者側から証明を行わなければならないといったことは起こりにくいです。

 

しかし、例えば過失割合に大きな争いがあり、加害者側保険会社による一括対応が行われず、

治療費について自身で窓口で支払をしているような場合や、

主治医からの勧めでサポーターを自費で購入したり、マッサージ器を購入したりしているような場合には、

それらの領収証を保管しておいて、示談交渉時に提出しなければ、損害として認められないため注意が必要です。

 

症状固定とその判断基準とは?

交通事故被害に遭い、事故直後から懸命に治療やリハビリを続けていたものの、

ある時点から症状が良くならず、残ってしまうような場合があります。

 

これを症状固定といい、損害賠償請求においてはこのタイミングが大きな意味を持ちます。

 

それは、症状固定以前と以後で損害の考え方が変わってくるからです。

 

症状固定以後に残っている症状は、後遺症という扱いになります。

後遺症が残っていると判断された場合、その後遺症の残存する部位や程度により後遺症慰謝料や逸失利益といった費目の金額が変わります。

残存する後遺症の程度によって金額が分かるわけですから、いつの時点からを「後遺症」とするかどうかは重要です。

 

また、症状固定をすると、原則として治療費や休業損害、入通院慰謝料等はそれ以降請求できません。

治療してもそれ以上良くならないわけですから、治療費は必要ありませんし、

入通院のために休業を余儀なくされることも、精神的苦痛が発生することもありません。

 

したがって、症状固定時期が早すぎると、もっと治療費や慰謝料を払ってもらうべきだったのに払ってもらえなくなるリスクがありますし、

症状固定時期が遅すぎると、残存する後遺症の程度が変わってきてしまったり、加害者側から「症状固定はもっと前だった」と言われると、

支払っていた治療費や通院交通費などについての請求が認められないリスクもあります。

 

症状固定時期の決定は、「これ以上治療をしても良くならない」という判断とほぼイコールですから、原則として主治医が行います。

ですから、加害者側保険会社が治療費を打ち切るという連絡をしてきたとしても、

主治医が「治療の効果が出ているから治療を続けるべき」だという判断をしているうちは治療を続けるべきです。

 

このような場合には、弁護士に依頼して治療費対応を延長する交渉を行ったり、

場合によっては健康保険を利用して自費での通院をある程度継続することも視野に入ります。

 

症状固定時期の判断については、主治医や弁護士に相談してみることをお勧めします。

 

 

後遺障害等級の認定とそのポイント

症状固定後、後遺症が残る場合には「後遺障害等級認定」を申請します。

この等級認定を受けることにより、後遺症慰謝料逸失利益の金額が決まります。

 

後遺障害等級認定の審査は、損害保険料率算出機構が設置している自賠責損害調査事務所で行われます。

この自賠責損害調査事務所における審査は、原則として書面審査により行われます。

 

ですから、後遺障害等級認定の申請時に提出する書類、その中でも後遺障害診断書の記載は極めて重要です。

後遺障害診断書の自覚症状欄に記載がない症状については、そもそも審査の対象にさえなりませんし、

記載に過不足があったり、必要な検査が実施されていなかったりする場合には、

たとえ実際には後遺障害等級に該当する症状が残っていたとしても、認定を得ることはできません。

 

後遺障害診断書の作成にあたっては、専門としている弁護士のアドバイスを受けることが重要と言えます。

 

 

示談交渉の準備

示談交渉とは?示談の基本的な仕組みを知る

示談交渉とは、交通事故後に被害者と加害者、またはその代理人が損害賠償額や過失割合について話し合い、裁判所を介さずに合意を目指す手続のことです。

 

基本的に示談交渉は、損害の確定時に行われます。

損害賠償請求権は事故発生の瞬間から発生していますから、事故発生直後から交渉を行ってもいいわけですが、

それでは実際に発生した損害の大きさについて把握ができませんし、その状態で被害者・加害者間での合意を得ることは不可能といって良いでしょう。

 

ですから、お互いがある程度被害の大きさを把握できるようになるまで待つと、

自然と損害の確定時=完治した時または症状固定の上後遺障害等級の認定を得た時が示談交渉のタイミングとなります。

 

示談交渉は裁判手続を経ないため、迅速な解決を図ることができるのが最大のメリットです。

裁判を行うと、裁判所に納付する印紙代や弁護士費用などの費用や、多くの時間、手間を要することになります。

 

一方で示談交渉にもデメリットとして、適切な賠償金を得られない可能性があります。

加害者側保険会社は、被害者に支払う保険金を安く、事件を早く終わらせる方が優秀であると評価されます。

ですから、加害者側保険会社が示談交渉の開始段階で提示してくる金額が、被害者から見て適切であることはほとんどありません。

 

仮に示談が締結し、免責証書や確約書と呼ばれる書類の取り交わしを行ってしまうと、原則として二度とその示談は覆せません。

ですから、示談交渉による解決を目指す場合でも、示談交渉の流れや算定基準を把握し、

適切な金額での示談を勝ち取れるよう尽力することが求められます。

 

損害賠償の内容を整理する:請求できる費目一覧

交通事故被害に遭った場合には、様々な費目が請求できます。

 

まず考えられるのが積極損害と呼ばれる損害です。

この積極損害は、「事故に遭ったことで余計に支出せざるを得なくなった損害」を言います。

典型例としては、治療費や通院交通費、入院雑費などが挙げられるでしょう。

 

次に消極損害と呼ばれる損害についても請求が可能です。

この消極損害は、「事故に遭わなければ得られていたはずなのに、事故に遭ってしまったことで得られなくなった損害」を言います。

例えば事故に遭い、入通院を余儀なくされたためにお仕事に行けなくなってしまい、収入が下がってしまったような場合には、休業損害ということになりますし、

後遺症が残ってしまい、将来にわたって収入の減少が発生する恐れがあるような場合には、逸失利益ということで請求ができます。

 

最後に精神的損害に対する慰謝料についても請求が可能です。

この慰謝料については、症状固定の以前と以後で考え方が異なります。

症状固定以前、つまりは入通院を行っている期間の慰謝料は入通院慰謝料といい、まさに入通院期間の長さによって金額が決まります。

一方で症状固定以後、つまりは後遺症が残ってしまったことに対する慰謝料は後遺症慰謝料といい、これは残ってしまった後遺症の部位や程度により金額が決まります。

 

これらの積極損害・消極損害・慰謝料については、

それぞれについて裁判所の判断が出ていることがほとんどであり、

細かな費目についても裁判所の判断を参考にしながら適切な計算を積み上げていくことが求められます。

 

示談金の相場とは?適正な金額を知る方法

示談金の相場といっても、実際の示談金額の計算においては、

お怪我の大きさや後遺症の程度、事故前のご年収やご年齢など、様々な要因が絡み合います。

 

ですから、被害者のまさにその方の示談金として適切な金額がいくらかについては、

お一人お一人にご事情を踏まえながら計算を行っていかなければなりません。

 

法的に見て、裁判基準に従って計算した場合に妥当かどうかは、

初回無料の法律相談を実施している弁護士に相談するなどして、専門家の見解を伺うことが非常に有用です。

 

示談交渉の進め方

保険会社からの提示内容の確認方法

交通事故の示談交渉では、まず加害者側保険会社から提示される示談案の内容をしっかり確認することが重要です。

提示内容には、先ほど見たような、交通事故被害に遭ったことで発生した費目とその金額が含まれますが、

それぞれの計算が被害者にとって適切に行われているとは限りません。

 

保険会社は基本的に支払を抑えたい立場であるため、提示された損害賠償金額が低く設定されている場合がほとんどです。

 

提示内容を確認する際には、請求できる項目がすべて含まれているかをチェックし、不明点や不足がないかを検討しましょう。

 

示談に応じる前の弁護士への相談のメリット

示談交渉は法律や保険の専門知識が必要な場面が多いため、弁護士への相談が非常に有益です。

被害者として請求可能な損害賠償について把握できないまま示談に応じてしまうと、本来受け取れるべき金額よりも大きく下回ることがあります。

 

特に、後遺障害等級の認定が絡むようなケースでは、弁護士のサポートを受けることで金額が数百万円から数千万円程度変わることもあります。

 

交通事故被害を専門としている弁護士に相談することで、

加害者側保険会社の提示金額が妥当かどうかについての専門家の見解を得られるだけでなく、

依頼をすることで示談交渉を代理で行ってもらうことができます。

 

後遺障害等級の認定に納得がいかないような場合には、異議申立てについてもサポートを受けることができるでしょう。

 

示談成立後の流れと注意点

示談が成立すると、加害者側保険会社から示談金が支払われます。

示談金の支払は、示談書に記載された期日までに一括で行われるのが一般的です。

 

また、示談が成立すると、その内容は法的な拘束力を持つため、新たな請求や条件の変更が認められることはまずありません。

示談成立後に不備や不満を抱えないためにも、納得がいくまでしっかり交渉しましょう。

 

トラブルが発生した場合の対処法

保険会社との意見対立

交通事故の示談交渉において、被害者と保険会社との間で意見が対立することは少なくありません。

特に損害賠償の金額や過失割合の認定について、双方の主張が食い違うことがあります

 

このような場合には、冷静に対処することが重要です。まず、自分の主張を裏付ける証拠をしっかりと集めることが鍵となります。

 

また、交渉を進める際には、話し合いが難航しそうな場合でも決して感情的にならず、専門的なアドバイスを受けることがおすすめです。

 

過失割合についての争いとその対応

交通事故示談において争いが生じやすいのが過失割合です。

過失割合とは、事故の責任をどちらがどれだけ負うのかを割合で表したもので、この割合によって損害賠償金額が大きく変わることになります。

 

被害者として正当な過失割合を主張するためには、ドライブレコーダーの映像や、警察の捜査記録などの証拠を活用することが重要です。

 

過失割合の交渉は、東京地裁民事交通訴訟研究会編別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)を基に、

全【338】の類型のどれに当てはまるかという観点から、事故の状況に則した妥当な割合を算出する形で行われます。

 

弁護士に相談することでこの【338】の類型のどれに当てはまるのか、今回の事故特有の事情により修正できる要素はないかなどを確認することが可能です。

 

裁判による解決という選択肢

示談交渉でどうしても納得する金額の提示を得られないような場合には、

弁護士と相談したうえで裁判という選択肢を取ることが解決に近づく一歩になる可能性があります。

 

裁判を行うと、費用や時間、労力がかかる代わりに、

裁判所が第三者視点で中立な判断を下してくれますから、被害者側として適切な金額を得られる可能性が高まることがあります。

 

また、裁判を行った場合には、示談交渉時点では通常認められない

「弁護士費用」と「遅延損害金」の請求も認められることになります。

 

メリットとデメリットについて弁護士と協議し、場合によっては裁判に移行することで納得のいく解決ができる場合もあるでしょう。

 

 

弁護士に依頼することでスムーズかつ適切な解決を目指す

保険会社との示談交渉で意見がまとまらない場合、弁護士に相談することで有効な解決策を見つけることができます。

弁護士は、法律の知識と交渉の経験を駆使し、被害者にとって有利な条件を引き出すサポートを行います。

 

また、保険会社とのやり取りを弁護士に任せることで、被害者自身の精神的負担を軽減することも可能です。

 

さらに、後遺障害等級の認定に対する異議申立てや、示談交渉が決裂して裁判に移行するような場合には、

そういった手続についても弁護士に代行してもらうことができます。

 

初回相談を無料としている事務所も多いですから、まずはご自身が受け取れる示談金について弁護士に質問してみることをお勧めします。

 

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門としている弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

交通事故被害に遭い、ご自身が受け取れる示談金額について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による初回無料の法律相談の流れについてはこちら。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。