コラム
死亡事故の賠償金はいくら?保険金も受け取れる?平均相場・保険の仕組みについても解説
2026.07.17

交通事故でご家族を亡くされたご遺族にとって、示談交渉や保険金の請求は、深い悲しみの中で向き合わなければならない大きな負担です。
しかし、死亡事故の賠償金・保険金には一定の算定基準や相場があり、正しい知識を持って対応することで、適正な金額を受け取れる可能性が高まります。
このページでは、
- 死亡事故の賠償金の内訳や相場
- 保険から支払われる仕組み
- 賠償金と保険金の違い
- 請求時のポイント・注意点
- 税金の扱い
- 弁護士に依頼するメリット
などについて解説します。
交通死亡事故に強い弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償を専門とする弁護士が、
解決に向けて全力でサポートさせていただきます。
交通事故で大切な方を亡くされたご遺族の方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
交通死亡事故被害専門弁護士のサポートの内容についてはこちら。
死亡事故の損害賠償金の内訳・構成

交通事故で被害者の方が亡くなられた場合、ご遺族は加害者に対してさまざまな費目の損害賠償を請求できます。
死亡事故の賠償金は、大きく分けると以下のような項目で構成されています。
- 死亡慰謝料:被害者本人および遺族が受けた精神的苦痛に対する補償
- 死亡逸失利益:被害者が生きていれば将来得られたはずの収入の補償
- 葬儀費用:葬儀・埋葬にかかった費用の補償
- 近親者慰謝料:被害者の配偶者や子、父母など近親者自身の精神的苦痛に対する補償
- そのほか、治療費や付添看護費、文書料など、死亡に至るまでにかかった実費
これらを合算した金額が、死亡事故における損害賠償金の総額となります。以下では、それぞれの費目について詳しく見ていきます。
死亡慰謝料
死亡慰謝料とは、被害者本人が亡くなったことにより受けた精神的苦痛を金銭的に評価したものです。
実務上は、被害者本人の慰謝料と後述する近親者慰謝料をあわせて「死亡慰謝料」として算定されるのが一般的です。
慰謝料の算定基準には
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士(裁判)基準
の3つがあり、どの基準を用いるかによって金額は大きく異なります。
1 自賠責基準
自賠責基準は、3つの基準の中で最も低額な基準であり、自賠責保険金の支払基準(自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準)です。
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法に基づき、自動車の運行供用者に加入が義務付けられている強制保険です。
交通事故被害者に迅速かつ平等に支払がされるように、自賠責基準における慰謝料の計算は、画一的に行われる低額なものになるのが特徴です。
自賠責基準による死亡慰謝料は、請求権者の数や被扶養者の数によって決まります。
| 請求権者1名 | 死亡した本人の慰謝料400万円+550万円=950万円 |
| 請求権者2名 | 死亡した本人の慰謝料400万円+650万円=1050万円 |
| 請求権者3名以上 | 死亡した本人の慰謝料400万円+750万円=1150万円 |
| 被害者に被扶養者がいるとき | 上記金額に200万円を加算 |
自賠責の死亡保険金全体の支払限度額は3,000万円です。
2 任意保険基準
任意保険基準は、3つの基準の中で真ん中に位置する基準であり、文字どおり、任意保険会社が定める基準です。
任意保険は自賠責保険の上乗せとして存在する保険ですから、自賠責基準よりは高い金額になります。
しかし、任意保険会社は、支払う保険金額が低額であればあるほど、自社の利益が大きくなりますから、
任意保険基準に基づき計算される交通事故の慰謝料は、被害者側から見れば低額で不適切であることが多いです。
3 弁護士基準(裁判基準)
弁護士基準(裁判基準)は、3つの基準の中で最も高額な基準です。
過去の裁判例の集積であるいわゆる赤い本『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)に定めのある基準です。
裁判で被害者側に支払われるべき慰謝料額ということで裁判所が決めた支払額をもとにした基準ですから、
当然被害者側にとっては最も適切(かつ高額)な基準ということになります。
弁護士基準における死亡慰謝料は、被害者の属性に応じて次のような目安が設定されています(近親者慰謝料を含む)。
| 被害者が一家の支柱である場合 | 2800万円 |
| 被害者が母親や、配偶者である場合 | 2500万円 |
| 被害者がその他(独身の男女、子供、幼児等)である場合 | 2000万円~2500万円 |
また、「具体的な斟酌事由により、増減されるべきで、一応の目安を示したものである。」という注意があります。
死亡逸失利益
死亡逸失利益とは、被害者が交通事故に遭って亡くなっていなければ、将来にわたって得られていたであろう利益に対する填補です。
死亡事故の賠償金の中でも、慰謝料と並んで金額が大きくなりやすい費目であり、次の計算式で算定されます。
| 死亡逸失利益=基礎収入額 ×(1-生活費控除率)× 就労可能年数に対応するライプニッツ係数 |
各用語について順番に見てみましょう。
基礎収入
基礎収入とは、その被害者が将来にわたってどれだけの収入を得る能力があったかを示す金額になります。
その人がどれだけの収入を得る能力があるか、ということを最も的確に示すのは、事故に遭うまでに実際に稼いでいた金額です。
したがって、基本的には、事故前年の給与・所得などを参考に決定されることになります。
一方で、
被害者がそもそも未就労者で事故に遭うまでに稼いでいた金額がない場合や、
被害者が若年者でこれから給与が上がっていく見込みがあった(事故前年の給与には反映されていない)場合、
被害者が主婦(主夫)であった場合などは、
事故前年の給与・所得などでは、その人が「将来にわたって」どれだけの収入を得られる能力があるかを適切に反映できないことがあります。
このような場合のために、『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)では、
厚生労働省が出している賃金センサスのデータなどから、平均賃金を基礎収入として用いて良い場合について記載がされています(厚生労働省ホームページより「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概要」)。
生活費控除率
生活費控除率とは、その名のとおり生活費を控除する率です。
被害者の方が交通事故で亡くなってしまうと、収入を得られなくなってしまいます。
他方で、将来にわたって発生するはずだった生活費も発生しなくなります。
死亡逸失利益の計算に当たって、この「将来にわたって発生するはずだった生活費」の存在を考慮しないのは、
被害者側に有利になりすぎるということで、この生活費分を差し引く(控除する)ために、一定の割合を乗じることになっているのです。
生活費控除率は、被害者の属性によって異なります。
| 男性(独身、幼児等を含む) | 生活費控除率50% |
| 被扶養者が1人の一家の支柱 | 生活費控除率40% |
| 被扶養者が2人の一家の支柱 | 生活費控除率30% |
| 女性(主婦・独身・幼児等を含む) | 生活費控除率30% |
就労可能年数
就労可能年数も文字どおり、就労が可能な年数のことです。
死亡逸失利益が被害者が将来にわたって得られるはずであったのに得られなくなった利益であるならば、
利益(収入)を得られる期間というのは、被害者が就労している期間のはずです。
原則としてはお亡くなりになられた日から67歳までの期間となりますが、平均余命の2分の1を参照する場合もあります。
ただし、「職種、地位、健康状態、能力等により上記原則と異なった判断がなされる場合」(『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)より)があります。
また、年金の死亡逸失利益計算の場合の就労可能年数は平均余命までです。
ライプニッツ係数
将来の収入を現在の一時金として受け取ることに伴う中間利息を控除するための係数です。
葬儀費用
葬儀費用とは、被害者の葬儀や埋葬、墓石の購入などにかかった実費に対する補償です。
実際にかかった費用の全額が認められるわけではなく、裁判基準では原則として150万円程度が上限の目安とされ、実際の支出額がこれを下回る場合はその実費額が採用されるのが一般的です。
- 通夜・告別式費用: 祭壇代、斎場使用料、棺・骨壺代、遺影作製費など。
- 宗教者への謝礼: お布施、読経料、戒名料(法名料)など。
- 火葬・埋葬費用: 火葬料、納骨にかかる実費。
- 飲食・接待費: 通夜振る舞いや精進落としなどの飲食代(過度でないもの)。
- 供養・装飾費: 供花代、葬儀広告代、看板代など。
- 事務的費用: 死亡通知の郵送費、電話代、会葬御礼(粗供養)など。
- 遺体関連: 遺体の捜索費、処置費、搬送料(霊柩車、遠方からの搬送など)。
- 法要費用: 四十九日までの法要(初七日など)にかかる費用。
これらは、故人を弔うために必要不可欠と見なされ、賠償対象の範囲として認められることが多い項目です。
また、仏壇仏具購入費や墓碑建立費については、葬儀費用とは別枠で認められるという裁判例もあります。
近親者慰謝料
近親者慰謝料とは、被害者本人の父母・配偶者・子など、被害者と一定の身分関係にある近親者自身が受けた精神的苦痛に対する慰謝料です。
民法711条により、これらの近親者は自らの固有の権利として慰謝料を請求できるとされています。
| 民法711条
他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。 |
実務上は、被害者本人分の死亡慰謝料と近親者慰謝料は明確に区別されず、
まとめて「死亡慰謝料」とされることが一般的です。
死亡事故の損害賠償金の相場

死亡事故の賠償金の総額は、被害者の年齢・職業・収入・家族構成などによって大きく異なります。
いくつか例を挙げて見てみましょう。
40歳男性 年収500万円 扶養家族2人の場合
この方の場合、
まず死亡慰謝料としては、2800万円が弁護士基準(裁判基準)での1つの目安となります。
次に、死亡逸失利益は、
基礎収入500万円×(1-生活費控除率30%)×18.3270(就労可能年数37年に対応するライプニッツ係数)=6414万4500円となります。
ここに葬儀費用その他の費目を合わせ、
1億円ほどが賠償金額の一つの目安となります。
80歳女性 年金受給額60万円 扶養家族なしの場合
この方の場合、
まず死亡慰謝料としては、2000万円~2500万円が弁護士基準(裁判基準)での1つの目安となります。
次に、死亡逸失利益は、
基礎収入60万円×(1-生活費控除率50%)×9.9540(令和6年簡易生命表<女>より平均余命11.83年に対応するライプニッツ係数)=298万6200円となります。
ここに葬儀費用その他の費目を合わせ、
3000万円ほどが賠償金額の一つの目安となります。
30歳女性 主婦 扶養家族なしの場合
この方の場合、
まず死亡慰謝料としては、2500万円が弁護士基準(裁判基準)での1つの目安となります。
次に、死亡逸失利益は、
基礎収入 437万0700円×(1-生活費控除率30%)×22.1672(就労可能年数37年に対応するライプニッツ係数)=6780万9465円となります。
ここに葬儀費用その他の費目を合わせ、
9000万円ほどが賠償金額の一つの目安となります。
このように、死亡事故の賠償金は個別の事情によって大きく変動します。
実際にどの程度の金額が見込まれるかは、専門弁護士に相談し、計算をしてもらうことをお勧めします。
死亡事故の賠償金は保険から支払われる?保険の仕組み

死亡事故の賠償金は、基本的に加害者本人ではなく、加害者が加入している保険会社から支払われます。交通事故に関わる主な保険には、次のようなものがあります。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)
自動車やバイクの運行に際して加入が法律上義務付けられている強制保険です。
対人事故のみを対象とし、死亡事故の場合の支払限度額は被害者1名につき3,000万円とされています。
被害者側にも一定の過失がある場合でも、重過失(7割以上)でない限り減額されないなど、被害者救済のための最低限の補償という位置づけです。
任意保険(対人賠償保険)
自賠責保険の支払限度額を超える損害をカバーするために、多くの運転者が加入している保険です。
対人賠償責任保険では保険金額の上限を無制限に設定できるプランが一般的で、自賠責保険では補いきれない高額な賠償にも対応できます。
人身傷害保険・搭乗者傷害保険
被害者自身が加入している任意保険で、自分の過失割合に関係なく、実際の損害に応じた保険金を受け取れる点が特徴です。
示談成立前でも先行して保険金を受け取れるため、経済的な安心材料にもなります。
死亡事故の賠償金は、まずは加害者が加入する自賠責保険から支払われ、それでも不足する部分を加害者の任意保険(または加害者本人)が補うという建付けになっています。
したがって、二重取りをすることはできません。
また、実務上は任意保険会社が自賠責保険が支払うべき部分までまとめて払った後に、任意保険会社と自賠責保険とでその部分の差し引きを行う、いわゆる「一括対応」が一般的です。
加害者が無保険の場合には?
加害者が無保険の場合にはどこに請求したらよいのでしょうか。
無保険といっても、
- 自賠責保険には加入しているが、任意保険には加入していない
- 自賠責保険を更新しておらず一切の保険加入がない
というパターンが考えられます。
1の場合には、自賠責保険をまず満額まで被害者請求にて回収したのち、
弁護士基準で計算した損害額と自賠責保険から支払われた保険金額の差額を、加害者に直接請求することが考えられます。
この場合、加害者本人に資力がない場合には、事実上の回収が困難な場合があります。
他方で、被害者が人身傷害保険や無保険車傷害特約に加入していたような場合には、
加害者に対して裁判を起こし、裁判上で確定した損害額について人身傷害保険や無保険車傷害特約に請求することで、全額を回収できることがあります。
この「読替規定」と呼ばれる規定の利用は煩雑ですので、弁護士に相談しながら進めることをお勧めします。
2の場合でも基本的にやるべきことは1の場合と変わりません。
ただし、自賠責保険がありませんので、自賠責保険分すら回収できない可能性があります。
この場合には、政府保証事業から、自賠責保険相当額を回収することになります。
| 国土交通省自賠責保険・共済ポータルサイトより
自賠責保険・共済はすべての自動車にその加入が義務付けられていますが、加入していない自動車(以下、無保険車という)による事故の場合、事故の被害者は自賠責保険・共済への請求ができず、加害者の経済状態によっては賠償金を受け取ることができないケースが発生します。また、事故の加害者がひき逃げをし、加害者不明の場合も、自賠責保険・共済への請求ができないことから、被害者は賠償金を受け取ることができなくなってしまいます。そうした無保険車による事故、ひき逃げ事故の被害者に対しては、政府保障事業によって、国が自賠責保険・共済と同等の損害を塡補する救済が行われています。 |
死亡事故での賠償金と保険金の違い
死亡事故の損害賠償金とは
死亡事故における損害賠償金とは、民法709条に基づき「加害者」から支払われるお金の総称です。
- 死亡慰謝料
- 葬儀費用
- 死亡逸失利益
など、加害者側から、損害の填補として支払われるお金の全てがここに含まれます。
| 民法709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 |
死亡事故の保険金とは
死亡事故における保険金とは、被害者が自身で加入していた生命保険などから支払われるお金のことです。
亡くなった原因がなんであろうが、交通事故であろうがなかろうが、亡くなった場合にはこれまでの掛け金に応じた金額が支払われます。
死亡事故の賠償金と保険金は両方受け取ることができる?

ご遺族の中には、「加害者側から賠償金を受け取ったら、被害者自身が加入していた生命保険からの死亡保険金は受け取れないのでは」と不安に思われる方もいらっしゃいます。
しかし、結論としては、原則として両方を受け取ることが可能です。
そもそも、なぜ差し引きが行われるという発想になるかというと、「損益相殺」という考え方に関わります。
損益相殺とは、被害者が事故によって一方である種の利益を得た場合、その利益分を損害賠償額から差し引くという公平の観点に基づくルールです。
たとえば通勤中の交通事故で被害者の方が亡くなってしまった場合、
加害者からの損害賠償金はもちろん、労働者災害補償保険からの保険給付を受け取ることもできます。
この労働者災害補償保険からの保険給付は、通勤中の交通事故で亡くなっていなければ支払われていなかったお金であり、
かつ、交通事故被害(損害)に対してそれを埋め合わせるために支払われたお金であるため、
ある種の利益と評価されてしまい、損害賠償金の中から差し引かれてしまうのです。
しかし、生命保険金については、最高裁判例により損益相殺の対象外とされています。
つまり、損害賠償金と生命保険金は、両方受け取ることが可能です。
| 最高裁判所第二小法廷昭和39年9月25日判決
生命保険契約に基づいて給付される保険金は、すでに払い込んだ保険料の対価の性質を有し、もともと不法行為の原因と関係なく支払わるべきものであるから、たまたま本件事故のように不法行為により被保険者が死亡したためにその相続人たる被上告人両名に保険金の給付がされたとしても、これを不法行為による損害賠償額から控除すべきいわれはないと解するのが相当である。 |
生命保険金は、被害者自身がそれまで払い込んできた保険料の対価として支払われるものであり、事故と直接の因果関係なく、契約に基づいて当然に支払われるべき性質のものだからです。
そのため、交通事故で亡くなった場合に受け取る生命保険金は、加害者側から受け取る損害賠償金(賠償金・示談金)とは別に、両方を満額受け取ることができます。
死亡事故の賠償金・保険金を請求する際のポイント
死亡事故の賠償金・保険金を適正な金額で受け取るためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
適切な時期に示談交渉を行う
死亡事故の示談交渉は、四十九日など一定の区切りがついてから始めるのが一般的ですが、慌てて示談を急ぐ必要はありません。
逸失利益の算定に必要な資料の収集や、過失割合の精査などには時間がかかることもあるため、納得のいく金額を提示されるまでは、じっくりと交渉を進める姿勢が大切です。
適切な過失割合を主張する
交通事故では、被害者側にも一定の過失が認められるケースがあります。
過失割合は賠償金の金額に直結する重要な要素であり、加害者側の保険会社が提示する過失割合が、実際の事故状況と比べて被害者側に不利に設定されていることも少なくありません。
死亡事故の場合には、加害者側の証言のみが取り沙汰されてしまうことも少なくありません。
ドライブレコーダーの映像や実況見分調書など、客観的な証拠に基づいて適正な過失割合を主張することが、適切な賠償金を受け取るために重要になります。
弁護士基準で示談交渉する
前述のとおり、慰謝料や逸失利益の算定基準には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」があり、弁護士基準がもっとも高額になります。
しかし、被害者やご遺族がご自身で保険会社と交渉しても、保険会社が任意保険基準や自賠責基準に近い金額を提示してくることがほとんどです。
弁護士に依頼し、弁護士基準を用いて交渉することで、賠償金が大幅に増額される可能性があります。
死亡事故の賠償金・保険金を請求する際の注意点

賠償金・保険金を請求する際には、以下のような点にも注意が必要です。
過失相殺で賠償金が減額されることがある
被害者側に一定の過失が認められる場合、その過失割合に応じて賠償金が減額される「過失相殺」が適用されます。
例えば、被害者側の過失割合が20%と認定された場合、本来受け取れるはずの賠償金額から20%が差し引かれることになります。
過失割合の認定は賠償金の総額に直結するため、安易に加害者側の主張を受け入れず、慎重に検討することが重要です。
なお、人身傷害保険を活用することでこの被害者側の過失部分についても受け取ることができる場合がありますので、
弁護士に相談することをお勧めします。
保険会社の提示額を安易に受け入れない
加害者側の任意保険会社は、自社の支払額を抑えるため、弁護士基準よりも低い任意保険基準や自賠責基準に近い金額を提示してくることがほとんどです。
提示された金額に納得できない場合は、すぐに書面に署名捺印してしまうのではなく、
一度弁護士に相談し、金額の妥当性を確認することをおすすめします。
一度成立した示談は原則やり直せない
示談は、当事者間の合意によって成立する契約の一種であるため、一度成立すると、原則として後からやり直すことはできません。
示談書に署名・押印する前に、金額や条件を十分に確認することが不可欠です。
死亡事故の賠償金・保険金にかかる税金
死亡事故の賠償金・保険金を受け取る際、税金がどのように扱われるのかも気になるポイントです。
損害賠償金(死亡慰謝料・死亡逸失利益・葬儀費用など)は、事故によって生じた損害を補填する性質のものであり、
利益を得たものではないという考え方から、原則として非課税とされています。所得税、相続税、贈与税のいずれもかかりません。
一方、被害者自身が加入していた生命保険から支払われる死亡保険金については、扱いが異なります。
生命保険金は、契約者・被保険者・受取人の関係に応じて、相続税、贈与税、または所得税の課税対象となる可能性があります。
(公益財団法人生命保険文化センターホームページより「保険金・給付金を受け取るとき、税金はどうなる?」参照)
死亡事故の賠償金・保険金請求を弁護士に依頼するメリット

死亡事故の賠償金・保険金請求は、精神的な負担が大きいうえに、専門的な知識も必要となるため、弁護士に依頼することで大きなメリットが得られます。
賠償金や慰謝料が増額できる場合がある
弁護士に依頼する最大のメリットは、
弁護士基準を用いた交渉により、保険会社が当初提示する金額よりも賠償金・慰謝料が大幅に増額される可能性がある点です。
過失割合の見直しや、逸失利益の基礎収入の適正な算定なども含め、
被害者・ご遺族の立場に立った主張を行うことで、より納得のいく解決につながります。
保険会社との手続きや交渉を任せられる
ご遺族が悲しみの中で、専門知識を持つ保険会社の担当者と直接やり取りをすることは、大きな精神的負担を伴います。
弁護士に依頼すれば、保険会社との窓口をすべて任せることができ、ご遺族は心身の負担を軽減しながら、必要な手続きに専念できます。
示談交渉が決裂した場合の訴訟対応についても、弁護士が代理人として対応してくれる点も安心材料となります。
交通死亡事故に強い弁護士法人小杉法律事務所では、交通死亡事故被害を専門としている弁護士が、
解決に向けて精一杯尽力させていただきます。
交通事故で大切な方を亡くされたご遺族の方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
死亡事故の賠償金・保険金請求の主な流れ

死亡事故の示談交渉は、概ね以下の流れで進みます。
- 損害額の確定
- 保険会社からの示談提示
- 弁護士による交渉
- 示談成立または訴訟提起
- 賠償金の分配
1 損害額の確定
葬儀費用・治療費・逸失利益・慰謝料などすべての損害項目が確定した後に示談交渉を行うことになります。
基本的には、四十九日法要以後に加害者側保険会社から示談提示があります。
2 保険会社からの示談提示
加害者側の任意保険会社から損害賠償金の提示がなされます。
この段階の提示額は任意保険基準に基づくものであり、弁護士基準(裁判基準)と比べて大幅に低いことが多いため、
提示額をそのまま受け入れてはいけません。必ず弁護士に相談したうえで内容の妥当性を確認すべきです。
3 弁護士による交渉
ご依頼を受けた場合には、弁護士が弁護士基準(裁判基準)に基づいて損害額の計算を行います。
その計算ののち、保険会社からの示談提示との差額について交渉を進めていくことになります。
4 示談成立または訴訟提起
お互いが納得するラインで示談交渉が成立するに越したことはないです。
他方で、損害額が大きく、保険会社側の決済が下りないケースや、裁判基準満額をいただかないと(いただいてもなお)納得がいかないケースでは、
訴訟提起をすることも考えられます。
この場合、時間と費用がかかるというデメリットは生じますが、裁判所にしっかりと損害額の算定をしてもらうことができます。
5 賠償金の相続人間での分配
被害者本人分の賠償金(慰謝料・逸失利益等)は、原則として法定相続分に従って相続人間で分配されます(民法第900条)。
遺族固有の慰謝料については、各自が直接請求権を持ちます。
相続人間でのトラブルを防ぐため、分配方法について事前に遺産分割協議書を作成しておくことをお勧めします。
死亡事故の賠償金・保険金に関するよくある質問

事故で死亡した場合の保険金はいくらですか?
自賠責保険からは、被害者本人分の慰謝料400万円に加え、遺族の人数や扶養状況に応じた金額(遺族1人550万円、2人650万円、3人以上750万円、扶養家族がいる場合はさらに200万円加算)が支払われます。
自賠責保険の上限額は3000万円です。
ただし、これはあくまで最低限の補償である自賠責基準の金額であり、
弁護士基準で算定した場合には、死亡慰謝料だけで2,000万円~2,800万円程度、逸失利益を含めた総額ではさらに高額になるケースが多くあります。
実際に受け取れる金額は、被害者の年齢・収入・家族構成によって大きく異なりますが、1億円を超えるような金額になることも多いです。
死亡事故の賠償金は誰が払うのですか?
法律上、損害賠償の義務を負うのは加害者本人ですが、実際の支払いは、加害者が加入している自賠責保険・任意保険の保険会社から行われるのが一般的です。
加害者が任意保険に加入していない場合は、自賠責保険の支払限度額(死亡事故の場合3000万円)を超える部分について、
加害者本人に直接請求することになりますが、資力がない場合は回収が困難になることもあります。
人身傷害保険や無保険車傷害特約を利用することで、この回収困難の問題を解決できる可能性があります。
死亡慰謝料の相場はいくらですか?
弁護士(裁判)基準では、
- 被害者が一家の支柱であった場合は2,800万円程度
- 母親・配偶者であった場合は2,500万円程度
- 独身の男女や子ども・幼児等の場合は2,000万円~2,500万円程度
が目安とされています。
ただし、これらはあくまで目安であり、加害者の運転態様が悪質であった場合(飲酒運転、著しいスピード超過、ひき逃げなど)や、
事故後の加害者の対応が不誠実であった場合には、この相場からさらに増額される可能性があります。
今回の交通事故により如何に被害者本人が、ご家族が精神的苦痛を受けたかを立証することが重要になります。
弁護士