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よくある質問

むちうちで症状が出るまでの期間はどのくらい?

後遺障害 交通事故

自動車同士の事故、自動車対自動車の事故、自動車が歩行者をはねた事故など、

交通事故で身体に衝撃が加わったときによく負傷するのがむちうち損傷です。

むちうち損傷は、「頸椎捻挫」、「外傷性頸部症候群」、「頸部挫傷」等と呼ばれることもある首の怪我で、

衝撃によって頭部が振れることにより首が鞭のようにしなる動きをすることで、首周辺の筋肉などの組織を損傷する傷病です。

むちうちでは、事故直後には症状がないことも少なくありませんが、

では、むちうちによる症状はいつぐらいから発症するのでしょうか。

本稿では、むちうちの症状について触れつつ、むちうちの症状が出るまでの期間や、むちうちの治療で気を付けておきたいことについて解説します。

 

むちうちでは多岐にわたる症状が発現することが多いですが、代表的な症状としては、次のようなものがみられます。

・首の痛み(前部、側面、後部など発症範囲も様々です)

・肩や背中の凝り

・頭痛

・めまい、視界のかすみ

・耳鳴り

・吐き気

・肩や腕、手指の痛みやしびれ、脱力感

・握力低下、筋力低下

・全身の倦怠感

むちうちの症状は、人によってその症状の程度や出現期間が異なります。

首の痛みが軽く生じるだけの人もいれば、首の痛み、肩の痛み、頭痛、吐き気、めまいなどを併発してしまう人もいます。

また、むちうちの症状は時間の経過とともに回復が進んで軽減していくことがほとんどであるため、

急性期や亜急性期にはめまい、吐き気、耳鳴り、視界のかすみ等の症状があったとしても、慢性期には消退することが多いです。

ですが、まれにむちうちによって自律神経が乱れてしまうこともあり、これを原因としてバレリュー症候群が惹起することがあります。

バレリュー症候群になると、めまい、吐き気、耳鳴り、視界のかすみ等の症状が中々緩解せず、慢性期にもこれらの症状が続くことが多いです。

 

むちうちの症状についてひととおりさらったところで、本題に入りましょう。

むちうちはすぐに症状が出ないことが多いと言われますが、

では、むちうちの症状が出現するまでの期間はどのくらいになるでしょうか。

一般的には、事故から数時間~事故翌日になって症状が現れるケースが多いです。

そもそもなぜ、事故直後から症状が現れないかというと、主に以下のような理由が考えられます。

まず、事故直後は体が強いストレスを受けているためにアドレナリンが分泌されることとなり、そのため痛みを一時的に感じにくくなります。

そして、炎症は時間をかけて進行することが多いため、事故から数時間~数日かけて炎症が進行し、その結果痛み等の神経症状が現れることとなります。

これが、むちうちの症状が遅れて出現する理由です。

ただし、むちうちの症状については、遅れて発症する場合でも、受傷から3日(72時間)以内に発症するケースが多いとされています。

そのため、それ以降に症状が現れた場合には、交通事故と症状の因果関係について疑義が生じることもあり、

保険会社も、症状の発症が遅すぎる場合には、交通事故とは無関係であることを主張してくる(損害賠償責任を否定してくる)ことがあります。

そのため、事故後は体に異変や違和感がないか注意しておくことが望ましいです。

 

また、症状が現れたら、なるべく早めに整形外科を受診しておきましょう。

これはもちろん治療を行って回復するためという理由もありますが、

病院の医療記録に自覚症状等についての記録が残ることで、確かに事故後に症状があったことを客観的に証する証拠となりうるからです。

実際に保険会社も、「事故後の早い段階で医療機関を受診しているか」を考慮することが多いです。

なぜならば、「痛みなどの症状があるのであれば、普通は医療機関を受診するだろう」と考えているからです。

そのため、症状があったとしても医療機関を受診したような形跡がみられない場合には、

「本当に今回の事故で症状が出ているのか?」と考えて、治療費一括対応や損害賠償請求責任を否定してくることもあります

こうした理由もあるため、事故後の速やかな医療機関の受診が非常に重要となるわけですね。

なのでたとえば、症状はあったものの仕事の都合等でどうしても医療機関を受診することができなかった等の理由がある場合には、

保険会社の担当者にその事情を伝えつつ、その時点でどのような症状が出ているかを伝えておくとよいでしょう。

 

次は、むちうちの治療について、いくつか留意しておきたいことを解説していきます。

①初診時などのなるべく早い段階での画像撮影

事故後、なるべく早い段階で画像撮影検査を行ってもらうことが重要となります。

なぜならば、画像検査による画像所見は、他覚所見として、客観的に症状があることを証明する証拠となりうるからです。

一般的によく用いられるのがレントゲン(XP)画像になりますが、レントゲンでは筋肉や靱帯等の軟部組織の状態を確認することが難しいため、

可能であれば、MRI画像も撮影しておくとよいでしょう。MRIは、軟部組織について描出できるため、損傷なども確認することができます。

②受診の頻度は少なくとも週2~3回が望ましい

のちのちの損害賠償請求のことも考慮した場合、整形外科の受診の頻度は週2~3回以上が望ましいです。

仕事や学業の都合等で中々通院ができない、といった事情がある方もいるかもしれませんが、

その場合でも、週1回は受診して症状経過を確認し、治療を受けておくようにしたいところです。

③整骨院/接骨院は、主治医の許可のもと、病院と並行して通院する

治療は、整形外科を主軸にして行うようにしましょう。

また、整骨院/接骨院の通院に際しては、事前に主治医の指示や許可を取っておきましょう。

病院では西洋医学に基づく治療が行われますが、他方で整骨院や接骨院、鍼灸院などは東洋医学に基づく施術が行われることが一般的です。

東洋医学の中には科学的根拠に乏しいものもあり、医学的に症状への有効性があると言い難いものもあります。

そのため、自賠責の調査において整骨院等への通院事情が必ずしもプラスに捉えられるとは限らない面があるのです。

また、損害賠償請求の実務上、柔道整復・鍼灸・マッサージ等の施術費は、

症状により有効かつ相当な場合、ことに医師の指示がある場合などは認められる傾向がある(赤本4頁)とされており、

裏を返すと、これらの施術費は因果関係が否定される可能性があります。

そのため、主に通院するのは整形外科等の病院にして、医師の指示や許可がある場合に補助的に整骨院等に通院するのが望ましいです。

④治療終盤や症状固定日にも画像撮影をしてもらう

治療の結果、残念ながら後遺症として症状が残ってしまうこともあります。

このとき、病院で症状固定診断をしてもらうことになりますが、その際にも画像撮影をしてもらうことが望ましいです。

治療終盤や症状固定時点で画像上に異常所見がある場合には、自賠責の後遺障害認定調査において有利に働くこともあります。

 

本稿では、むちうちの症状、むちうちの症状が出るまでの期間、またむちうちの治療で気を付けておきたいことについて解説しました。

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また、こちらのページでは、後遺障害の被害者請求に弁護士を入れるメリットについて解説しております。

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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