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自動車事故で死亡してしまった場合の賠償金計算のポイントは?専門弁護士が解説

2026.09.04

死亡事故 死亡慰謝料 死亡逸失利益 相場 賠償金

自動車事故でご家族を突然亡くされたご遺族にとって、

深い悲しみの中で加害者側との示談交渉に向き合わなければならないことは、大きな負担となります。

 

「保険会社から提示された金額が適正なのかわからない」「そもそも何を請求できるのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

死亡事故の賠償金は、死亡慰謝料や逸失利益など複数の項目から構成されており、それぞれに計算方法があります。

 

また、算定の基準によって金額が大きく変わる点も、死亡事故の賠償金における重要なポイントです。

 

このページでは、交通死亡事故被害を専門としている弁護士が、

自動車事故で死亡してしまった場合に請求できる賠償金の内訳と計算方法、適正な金額を受け取るためのポイントについて解説します。

 

交通事故に強い弁護士法人小杉法律事務所では、交通死亡事故被害専門弁護士による無料相談を実施しております。

自動車事故で大切な方を亡くされ、お困りごとをお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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自動車事故の死亡賠償金の内訳

自動車事故で被害者の方が亡くなられた場合、ご遺族は加害者に対して次のような賠償金を請求することができます。

  • 死亡慰謝料:被害者本人が受けた精神的苦痛と、遺族が受けた精神的苦痛に対する賠償
  • 死亡逸失利益:被害者が生きていれば将来得られたはずの収入の喪失に対する賠償
  • 葬儀費用:葬儀や墓石の建立などにかかった費用に対する賠償
  • 死亡までにかかった治療費・付添看護費等:事故から死亡までの間に治療が行われていた場合の入院費・治療費・付添看護費など
  • 死亡までの入通院慰謝料:事故から死亡までに一定の入通院期間があった場合の慰謝料

このうち、賠償金全体に占める割合が大きいのが「死亡慰謝料」と「死亡逸失利益」です。以下、それぞれの計算方法を詳しく見ていきます。

 

自動車事故の死亡慰謝料の計算方法

死亡慰謝料には、算定基準として

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準(裁判所基準)

の3種類があり、どの基準を用いるかによって金額が大きく異なります。

 

順に見ていきましょう。

 

自賠責基準

一つ目は自賠責基準と呼ばれる基準です。

これは、加害者加入の自賠責保険から支払がある保険金の支払基準のことで、3つの基準の中で一番低額となっています。

 

自賠責保険は自動車損害賠償保障法により、自動車の運行供用者は加入が義務付けられている保険です。

これは、交通事故の被害者が何らの補償も得られないという事態を防ぎ、被害者の保護を図るという自動車損害賠償保障法がその第1条で定めている目的を果たすためです。

 

その法律上の目的からも明らかなように社会保障的な性質が強いため、自賠責保険金は基準に基づいた迅速かつ平等な支払が求められます。

 

具体的な基準としては、

死亡したご本人の慰謝料  400万円
請求者(ご家族)が1人の場合 死亡したご本人の慰謝料に加えて550万円
請求者(ご家族)が2人の場合  死亡したご本人の慰謝料に加えて650万円
請求者(ご家族)が3人以上の場合  死亡したご本人の慰謝料に加えて750万円
被害者の方に被扶養者がいる場合  上記金額に200万円を加算

となります。

このように、自賠責基準における死亡慰謝料の計算は、請求者の数等によって変わります。

 

任意保険会社基準

二つ目は任意保険会社基準です。

ここでいう任意保険会社とは、交通事故の相手方(加害者側)の保険会社を言います。

 

先ほどの自賠責基準は被害者保護のため、迅速かつ平等な支払を重視した基準でした。

一方で被害者の方お一人お一人に発生した損害は千差万別です。

ですから、発生した損害の全額を自賠責保険金では填補できない場合があります。

 

このような場合のために自動車運行供用者の多くが加入している保険が任意保険です。

 

任意保険基準は自賠責基準「以上」の保険金額です。

自賠責基準「未満」だと任意保険に加入する意味がないからです。

 

ただし、これ以上の明確さはありません。

任意保険会社は、自賠責基準「以上」の範囲で自由に、支払金額が少なくなるように金額を設定します。

 

任意保険会社の利益の計算を最も単純化すると、

利益=保険契約者から支払われた保険料の総額-交通事故被害者に支払った保険金の総額

となります。

 

交通事故被害者に支払う保険金の総額が少なくなれば利益が大きくなるわけですから、

当然任意保険会社はできるだけ支払う金額が少なくなるようにしようとします。

 

しかし、それは被害者側から見ると到底妥当な金額、基準であるということはできません。

この被害者側から見た場合の妥当な金額、基準こそが弁護士(裁判)基準です。

 

弁護士(裁判)基準

弁護士(裁判)基準は、最も高額で被害者側に有利な基準です。

実務上最も用いられている交通事故死亡慰謝料の基準は、『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部編)に記載されている基準です。

 

その基準は以下のとおりです。

被害者が一家の支柱である場合  2800万円
被害者が母親や、配偶者である場合  2500万円
被害者がその他(独身の男女、子供、幼児等)である場合  2000万円~2500万円

 

この基準額は本人固有の慰謝料だけでなく、近親者固有の慰謝料も含まれています。

 

 

また、「具体的な斟酌事由により、増減されるべきで、一応の目安を示したものである。」という注意があります。

被害者の方お一人お一人の生前の生活を適切に主張していくことで、金額は大きく変わります。

 

 

自動車事故の死亡逸失利益の計算方法

死亡逸失利益とは、被害者が事故に遭わなければ将来得られたはずの収入を、賠償金として請求できるものです。計算式は次のとおりです。

死亡逸失利益 = 基礎収入額 ×(1-生活費控除率)× 就労可能年数に対応するライプニッツ係数

基礎収入額

原則として、事故前の実収入(給与所得者であれば源泉徴収票等に基づく年収)を基礎収入とします。ただし、次のような場合には別の考え方が用いられます。

 

  • 若年労働者(おおむね30歳未満):将来の昇給が見込まれることから、賃金センサス(統計上の平均賃金)を用いて算定されることがあります
  • 専業主婦(主夫):家事労働にも経済的価値が認められるため、賃金センサスの女性の平均賃金を基礎に算定されます
  • 無職の方・学生:将来的に就労する蓋然性が認められる場合には、賃金センサスを用いて算定されることがあります
  • 高齢者・年金受給者:受給していた年金額を基礎収入として算定される場合があります(年金の種類によっては逸失利益の対象とならないものもあります)

 

生活費控除率

被害者が死亡したことにより、将来かかるはずだった生活費の支出を免れることになるため、その分を差し引くのが生活費控除率です。

被害者の家庭内での立場や性別に応じて、次のような目安が用いられています。

被害者が一家の支柱(被扶養者1人)である場合  40%程度
被害者が一家の支柱(被扶養者2人以上)である場合 30%程度
被害者が女性(主婦・独身・幼児等を含む)である場合 30%程度
被害者が男性(独身・幼児等)である場合 50%程度

 

 

就労可能年数に対応するライプニッツ係数

逸失利益は、本来であれば将来にわたって少しずつ得られるはずだった収入を、示談や判決の時点でまとめて一括で受け取るものです。

将来受け取るはずだったお金を先に受け取ることになるため、その間に生じる運用益(中間利息)を差し引く必要があり、この調整のために用いられるのが「ライプニッツ係数」です。

 

就労可能年数は、原則として67歳までとされていますが、事故時点の年齢が高い場合には、平均余命の2分の1の期間などを就労可能年数とする考え方が用いられることもあります。

 

また、年金などは平均余命まで請求可能とされることが一般的です。

 

 

葬儀費用その他の計算方法

葬儀関係費用

葬儀費用についても、加害者に対して賠償を請求することができます。

弁護士基準では、、150万円程度を上限の目安として認められる運用が一般的です(実際の支出額がこれを下回る場合は、実費相当額が認められます)。

 

一般的に葬儀費用として損害賠償の対象として認められるものは以下のようなものがあります。

  • 通夜・告別式費用: 祭壇代、斎場使用料、棺・骨壺代、遺影作製費など。
  • 宗教者への謝礼: お布施、読経料、戒名料(法名料)など。
  • 火葬・埋葬費用: 火葬料、納骨にかかる実費。
  • 飲食・接待費: 通夜振る舞いや精進落としなどの飲食代(過度でないもの)。
  • 供養・装飾費: 供花代、葬儀広告代、看板代など。
  • 事務的費用: 死亡通知の郵送費、電話代、会葬御礼(粗供養)など。
  • 遺体関連: 遺体の捜索費、処置費、搬送料(霊柩車、遠方からの搬送など)。
  • 法要費用: 四十九日までの法要(初七日など)にかかる費用。

これらは、故人を弔うために必要不可欠と見なされ、賠償対象の範囲として認められることが多い項目です。

 

香典返しの費用など、通常の葬儀に必要な範囲を超える支出については、賠償の対象外とされる場合があります。

 

死亡するまでの治療費・付添看護費等

事故から死亡までの間に一定の治療期間があった場合には、

その間にかかった治療費・入院費・付添看護費や、入通院慰謝料についても、死亡慰謝料や逸失利益とは別に請求することができます。

事故直後に亡くなられた場合はこれらの項目が発生しないこともありますが、救命措置や集中治療が行われた場合には、入通院慰謝料だけでも高額になることがあります。

 

 

死亡事故の賠償金の計算例

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死亡事故の賠償金の総額は、被害者の年齢・職業・収入・家族構成などによって大きく異なります。

いくつか例を挙げて見てみましょう。

 

40歳男性 年収500万円 扶養家族2人の場合

この方の場合、

まず死亡慰謝料としては、2800万円が弁護士基準(裁判基準)での1つの目安となります。

 

次に、死亡逸失利益は、

基礎収入500万円×(1-生活費控除率30%)×18.3270(就労可能年数37年に対応するライプニッツ係数)=6414万4500円となります。

 

ここに葬儀費用その他の費目を合わせ、

1億円ほどが賠償金額の一つの目安となります。

 

80歳女性 年金受給額60万円 扶養家族なしの場合

この方の場合、

まず死亡慰謝料としては、2000万円~2500万円が弁護士基準(裁判基準)での1つの目安となります。

 

次に、死亡逸失利益は、

基礎収入60万円×(1-生活費控除率50%)×9.9540(令和6年簡易生命表<女>より平均余命11.83年に対応するライプニッツ係数)=298万6200円となります。

 

ここに葬儀費用その他の費目を合わせ、

3000万円ほどが賠償金額の一つの目安となります。

 

30歳女性 主婦 扶養家族なしの場合

この方の場合、

まず死亡慰謝料としては、2500万円が弁護士基準(裁判基準)での1つの目安となります。

 

次に、死亡逸失利益は、

基礎収入 437万0700円×(1-生活費控除率30%)×22.1672(就労可能年数37年に対応するライプニッツ係数)=6780万9465円となります。

 

ここに葬儀費用その他の費目を合わせ、

9000万円ほどが賠償金額の一つの目安となります。

 

このように、死亡事故の賠償金は個別の事情によって大きく変動します。

実際にどの程度の金額が見込まれるかは、専門弁護士に相談し、計算をしてもらうことをお勧めします。

 

賠償金から差し引かれる場合がある項目

死亡事故の賠償金は、常に上記の計算どおりに満額受け取れるとは限りません。

次のような事情がある場合、賠償金が減額されることがあります。

 

  • 過失相殺:被害者側にも一定の過失があると判断された場合、その過失割合分の金額が減額されます
  • 既払金の控除:自賠責保険から先に支払いを受けている金額や、加害者側から支払われた治療費などは、最終的な賠償金額から差し引かれます
  • 損益相殺:被害者やご遺族が、事故に関連して別途利益を得ている場合(一定の年金給付など)に、その金額が調整されることがあります

 

特に過失相殺については、賠償金が1億円、被害者の過失が10とすると、過失相殺分として差し引かれる金額は1000万円にもなります。

自動車事故で亡くなってしまった方は、自分の言葉で事故状況を説明することができません。

 

加害者側の意見が通ってしまい、過失相殺で不利になるようなことは絶対に避けなければなりません。

だからこそ、警察や検察の捜査記録を入手し、場合によっては刑事裁判に被害者参加をしたりして、しっかりと事故状況についての証拠を集めて主張することが重要になります。

 

自動車事故で死亡した場合の賠償金を適切に受け取るポイント

死亡事故で適切な賠償金を受け取るためには、次のようなポイントを押さえておくことが重要です。

 

弁護士基準での算定を求める

保険会社から提示される金額の多くは任意保険基準に基づいており、弁護士基準より低額になることがほとんどです。

適切な賠償金を得るためには、弁護士基準での算定が必須です。

基礎収入・生活費控除率・就労可能年数の設定を確認する

保険会社の提示額が、被害者の実態(実収入や家族構成など)に沿った前提で計算されているかを確認する必要があります。

死亡逸失利益は、死亡事故の賠償金の中でも大きな金額を占めるので、計算に出てくる要素については細かく検討する必要があります。

過失割合の妥当性を確認する

死亡事故では被害者本人から直接事情を聴くことができないため、

実況見分調書やドライブレコーダーの映像など客観的な証拠に基づいて過失割合を精査することが重要です。

 

示談を急がない

死亡事故の示談交渉は精神的に大きな負担を伴いますが、内容をよく確認せずに示談してしまうと、後から金額を見直すことは原則としてできません。

弁護士に相談するメリット

死亡事故の賠償金請求では、弁護士に相談・依頼することで様々なメリットがあります。

 

  • 弁護士基準に基づく適正な金額での交渉・請求が可能になり、大幅な増額が期待できる
  • 基礎収入や生活費控除率、就労可能年数など、専門的な判断が必要な項目についても適切に主張できる
  • 保険会社との直接のやり取りによるご遺族の精神的な負担を軽減できる
  • 過失割合に争いがある場合や、加害者側が任意保険に加入していない場合など、複雑な事案にも対応できる

 

大切なご家族を亡くされた深い悲しみの中で、保険会社との交渉に向き合うことは大きな負担です。

弁護士に手続きを任せることで、ご遺族は心身の回復に専念することができます。

 

交通事故に強い弁護士法人小杉法律事務所では、交通死亡事故被害を専門としている弁護士による無料相談を実施しております。

自動車事故で大切な方を亡くされ、お困りごとをお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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よくある質問

死亡事故の賠償金は誰が請求できますか?

死亡慰謝料や逸失利益などの賠償金は、被害者本人の損害賠償請求権を相続した相続人が請求することになります。

また、近親者固有の慰謝料についても、配偶者や子など被害者と一定の関係にあった遺族が請求できる場合があります。

 

民法711条の類推適用により、相続人でない方も固有慰謝料の請求可能性があります。

 

 

加害者が任意保険に加入していない場合、賠償金は受け取れませんか?

加害者が任意保険に未加入の場合でも、自賠責保険(強制保険)からは一定額の支払いを受けることができます。

ただし、自賠責保険には支払限度額があるため、死亡事故の賠償金全体をまかなえないことも多く、その場合は加害者本人に対して直接請求する必要があります。

 

加害者に十分な資力がない場合、ご自身が加入する保険の人身傷害補償特約や無保険車傷害特約などの利用も検討する必要があるため、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。